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【長野】

各地で爪痕色濃く残る 松本市、地震発生後初の週末

2011年7月3日

地震で壊れた屋根瓦の応急処置をする業者。他の民家の屋根にもブルーシートが目立つ=松本市平田東で

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 震度5強の地震に襲われた松本市は2日、地震発生後初めての週末を迎えた。爪痕が色濃く残る各地で、住民らは崩れ落ちた屋根瓦の修理や、室内に散乱した食器などの片付けなどに追われた。被害の大きかったのは市南部。路地を歩くと、あちらこちらから復旧に向けたつち音が聞こえてきた。

◆屋根シートで応急措置、平田町 

 築30〜40年の民家が多く残る同市平田東の住宅街の一角。会社員古畑賢治さん(60)宅前では、業者の小型クレーンがコンクリート片を片付けていた。高さ1・5メートル、幅10メートルほどのブロック塀が根本から折れ、敷地内の植え込みに倒壊した。「通学路だから道路側に倒れなくてよかったよ」。古畑さんはほっとした表情を見せた。

 一家5人が総出で後始末をする最中も、体に感じる余震があった。「今まで大地震の経験がなかったから、辺りの古い塀は軒並み被害を受けたようだ。いい機会だし、うちも塀を鉄製の柵に変えるつもり」と古畑さん。地震の怖さを思い知った様子だった。

 瓦屋根にブルーシートがかかる家もあちらこちらに見える。棟と呼ばれるてっぺん部分から瓦がずれ落ちた家だ。軒下では、砕け散った破片を住人がかき集めていた。

 「梅雨時だから急いだ。予約もいっぱいのようで、うちは早く来てもらって助かったほう」。星野元さん(74)の自宅に、依頼していた修理業者が到着した。

 比較的新しい隣人の家は一見したところ被害はなさそう。星野さんは「瓦屋根の耐震化には200万円ほどかかると聞いた。家の中の修理もあるし、年金暮らしにはつらい」と頭を抱えた。

地震で散乱した日用品などを片付ける住民=松本市双葉で

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◆住民ら散乱品の片付け、双葉町

 「棚から食器が飛んできた。あれは『落ちる』なんてものじゃなかった」

 松本市双葉の県営住宅団地。7階に住む会社員の女性(59)は、朝食の後片付けをしていた時に、猛烈な縦揺れと、続く横揺れに襲われた。「仏壇に化粧棚にパソコン、全部倒れて部屋中めちゃくちゃ。何から手を付けたものか」。長男(31)と二人がかりで片づけ、何とか座るスペースは確保。夜は「不安だから」と駐車場の車の中で寝るという。

 家具類は、倒れないように100円ショップで買ったひもや留め金具で応急処置した。「浅はかかもしれないけど、何もせずにはいられないから」。女性は疲れた表情で話した。

 1階の集会所には、団地の住民が集まっていた。「麦茶いれたから休める人は休んできな」「うちは少し落ち着いたから手貸すよ」。復旧に向けて力を合わせようとしていた。

 「要援護者の安否確認も速やかにできた。近所付き合いの大切さを痛感した」と団地の伊藤和彦副町会長(51)。上階の住民から倒れたテレビの配線を頼まれ、階段を駆け上がっていった。

 防災倉庫の備蓄が十分でなかったなど、団地では地震によってさまざまな問題が見つかった。行政と連携して防災力を高めることが望まれる。

 (安藤孝憲、今泉慶太)

 

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