2011年7月6日17時30分
東京電力福島第一原発から放出された放射性セシウムによる関東周辺の汚染を予測するプロジェクトを、国立環境研究所(茨城県つくば市)が始めた。生物や汚泥などに蓄積されるセシウムが、生態系や人体に及ぼす影響を評価する基礎データを得るのが狙いだ。
大気中に放出された放射性物質は、雨などで地面に降り、土壌から河川に入って、海に流れ出すと考えられている。セシウム137は半減期が30年と長く、影響が長期に及ぶと考えられる。しかし、広がり方の実態はよくわかっていない。
同市周辺は筑波山や霞ケ浦があり、市街地の周辺に田園地帯が広がるなど、自然環境の縮図のような地域。大原利眞・地域環境研究センター長らは、このエリアで森林の土壌や湖底の泥、貝や水草、市街地の水道水などに含まれるセシウム137を継続的に測定する。得られたデータからセシウムの動きをモデル化し、それをもとに、関東地方を中心とした汚染の推移をシミュレーションする。
セシウムは、予想外の場面で住民に影響を及ぼす可能性も捨てきれない。シミュレーション結果は国や自治体などに提供され、対策の検討にいかされる。
大原センター長は「適切な対策のためにもセシウム汚染の全体像の把握を急ぐ」と話している。(中村浩彦)
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