全原発に対する6日の政府のストレステスト(耐性試験)実施発表は、再稼働に地元が前向きだった九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)だけでなく、再稼働に向け準備中の他の原発を抱える自治体にも波紋を広げた。
定期検査中で今夏に再稼働できる伊方原発3号機がある愛媛県の中村時広知事は「突然出てきた話で、どうなっているのか。内容や期間、位置づけなどまったく情報がなく、何とも言いようがない。再稼働への判断が白紙というのは変わらない」と国の対応を批判。同原発が立地する伊方町の山下和彦町長も「正式に文書が届いていない。どういう意味なのか分からない」と戸惑いを見せた。
商業用原発13基が集中する福井県では、県議会原子力発電・防災対策特別委員会で、委員から「国がもう1回(安全性について)確認するという判断なのか。浜岡原発以外は安全とし、無理に再稼働しようとしたのは間違いだったという意味なのか」などの質問が飛んだ。
石塚博英・県安全環境部長は記者団に「報道で実施を知った。我々が求めているもの(福島第1原発事故の知見を踏まえた新しい安全基準)との関係は分からない」と語った。
2号機が定期検査中の志賀原発(石川県志賀町)を抱える同県の中島和弘・原子力安全対策室長は「国は早く詳細な情報を伝えてほしい。安全・安心のために行うというなら、福島第1原発事故後に取った緊急安全対策を『妥当』としてきたのは何だったのか」と話した。
1、3号機が再稼働待ち状態の泊原発が立地する北海道の多田健一郎副知事はストレステスト実施について「安全対策の取り組みは重要」と評価しつつも、「具体的には内容を見てみないと分からない」と語った。
【栗田亨、安藤大介、横田美晴、高山純二】
毎日新聞 2011年7月6日 22時29分(最終更新 7月6日 23時17分)