武道必修化 「相撲」選択と女生徒の人権
武道必修化で、柔道の安全性が議論になっているが・・・ 相撲にはまた別の問題がある。
今週号の「高知民報」が詳しい。武道必修化で、高知県は、相撲を選択した学校が多数にのぼっている。「簡易まわし」を使うことになるのだろうが・・・それに対し、少なくない女生徒から拒否反応が出ている、という。 柔道、剣道に比して個人負担が少ないというので相撲になったと報道している。・・・それを元に考えて見た。
まわし姿だけではない。まわしのとり方やぶつかり稽古など・・ どこまでするのか分からないが、体を密着させたものが多い。指導者が男性の場合は、どうなるか。
現時点では、学校の選択はしらされず、情報提供すると、女生徒から「ありえない」「その日はやすむ」との声がでている。
好きで相撲をしている女性は基準にならない。必修として強要しているのだから別次元の問題である。
恥ずかしさを感じるとして拒絶したのを強要すると、どうなるか。
セクハラについて、多くの法律事務所の説明では・・・
1.企業内や学校内等での、権力的な上下関係により行われる性的な言動
2.それにより、行為を受けた側が苦痛・不快感を伴う事(受けた側の主観を重視)
3.又は、それにより就業環境・学習環境などが悪化する事
拒否して体育の成績が下がることがあれば、「セクハラ」の規定に、ぴったり当てはまる。
教師の側が犯罪者にならないためには大量の見学、「簡易まわし」をつけない範囲での授業・・どちらかしかない。
教育というなら・・・
①神にささげる神聖な相撲道で「八百長」が起こったことを、きちんと説明しないと(もともと奉納というか、スポーツでなく、筋書きがあったものなので・・・ 儀式からスポーツへの変化という難しい問題がある。)、日本古来の武道による「礼節」「相手に対する敬意」を培う・・・といってもね。生徒は納得しないだろう。
ここで、人の心を蝕む市場主義の負の側面を学習できる。
②大相撲の伝統は「女性」を不浄なものとして「神聖」な土俵にあげないでいない。
これも大きな教材。なぜ、『不浄』とされたのか(もともと生産物を生み出す自然を女性ととらえたので、奉納する役は男性となった。それが歴史の変化の中で変わったとも聞く。)、それを今,どう捉えるか(女生徒が、土俵にあがらず、見学にまわることが『伝統』に沿ってるかどうか)。男女平等、女性の人権確立の歴史を学ぶ契機にできる。
このくらいの教育的効果を狙わないと意味がない。
そんなこともなく、こんなことを押し付けられる生徒も教員もたまったものではない。民事訴訟に備えるか覚悟がいる。
なにより、今、最大の教育効果は、原発利益共同体に連なり、「安全神話」を流布してきたという政治家、研究者、メディアの真摯な自己反省を見せることであろう。
原発の「安全神話」の流布に、文部科学省も大きくかかわっている。
子どもにいろいろ言わなくても・・・大人社会がきちんとすれば、それは伝わる。強制は、権力者の自信のなさの端的な表現である。
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