用品選びは、人生選び。フロアポンプ編 SKS RENNKOMPRESSOR
このポンプが海外から届いた時、家で受け取った奥さんから電話がかかってきた。
でかくて重いハコが届いたけど、また何を買ったの?と。
その時、私は本当に思い出せず、分かんない、としか言えなかった。
注文したことを覚えてなかったのは、すぐに必要ではなかったし、どうしても欲しくて選んだ商品でもなかったから。
なので、開封する前の箱は、奥さんの言う通り、クロモリのフレームでも中に入ってるんじゃないか?という位のボリュームと重さだったから、開封の瞬間はそれなりに緊張した。
で、他の何点かの小物と一緒にこのSKS RENNKOMPSESSORが出てきて、手に取った時に、やっとすべての事情が分かり、ほっとした。
このフロアポンプは、なんかもう無茶苦茶重いのだ。
この、不必要に人を不安にする重さの原因は、シリンダーとメーターにつながってる本体部分が鋳鉄製であることと、シリンダーもいかにも丈夫で重そうな鉄でできてるためだ。
バルブは、見た目はどうってことのない樹脂製で、そもそも最初はヒラメ社製の高機能品に交換するつもりだったので、どうでもよかった。
そもそもフロアポンプをもう一つ買おうと思ったのは、現在メインで使用してるスペシャライズドの全体がプラスチック製のものが、メーターのガラスにヒビが入ってどうにも気分がよろしくないので替えちゃおう、と思い立ったから。
バルブについては、いままで色んなフロアポンプを購入してみたが、セットされてるバルブで安定して作動するものが一つもなかったので、このドイツのSKS社の製品にも一切期待してなかったが、いちおう試しに使用してみたら、ちゃんと使えるのでビックリした。
チューブのバルブをくわえる部分がその加減を微調整できてしっかり固定できるし、一番大切なリリース時の切れが素晴らしく良い。ここでもたつくと、せっかく入れた空気が一気にぬけちゃうのだ。
よくよく見たら、基本構造が、誰もが絶賛するヒラメ社のバルブと同一である。というか、ヒラメ社のほうがマネした可能性が高い。もしくは、必要とされる要件を突き詰めて考えたら、結果的に同じになった、かも。
というわけで、フロアポンプ本体並に高価なヒラメ社のバルブにわざわざ交換する理由がなくなり、退役したフロアポンプからはずしてしまっておく。
出来が良いのはバルブだけでなく、いかにもなめらかに作動するシリンダー部の安定感、安心感も素晴らしい。ドイツ製品がイメージさせる美点をしっかりと持ち合わせている。
あとで、国内価格を調べたら、1万円以上もする商品だった。海外価格もそんなには安くなかったし。
どうも基本構成は何十年もそのままに作り続けられてる製品みたいだが、確かにその価値はある。
製品も重いが、伝統も重い。
* いっしょに写ってるのは、いっしょに買ったレザイン社のフロアポンプ。こちらは、静岡の私の会社の店舗で、お使い用の自転車のメインテナンスに使うため。素早い操作は出来ないが、誰でも失敗が無いネジ式バルブ仕様なので採用した。
SKS RENNKOMPRESSOR の3分の1位の重量。
* いちおう、ヒラメの金属製バルブの画像も参考に。