2011年3月29日
株式会社野村総合研究所
東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:嶋本 正、以下「NRI」)は、震災発生後一週間強が経過した2011年3月19日から3月20日にかけて、「東北地方太平洋沖地震に伴うメディア接触動向に関する調査」を実施しました。
この調査は、人々が震災関連の情報を入手するに当たって、どのようなメディア(情報源)を重視したか、またインターネットを含む様々なメディアへの信頼度が変化したかどうかを調べることを目的としています。
調査方法としては、インターネットを用いたNRIのマーケティングリサーチサービスである「インサイトシグナル」を利用しています。インサイトシグナルでは、テレビの視聴やwebサイトへのアクセスについて毎日の実績を把握しています。そのため、メディア接触の実態に基づいて、各メディアの評価を行うことができます。調査は、関東(一都六県)在住の20歳から59歳のインターネットユーザー3,224名を対象に行いました。今回の調査から得られた主な結果は、以下のとおりです。
東北地方太平洋沖地震に関する情報の取得に際して、重視する情報源を尋ねたところ、NHKのテレビ放送を重視する人が80.5%、同じく民放を重視する人が56.9%で、一位と二位を占めました(図1)。調査対象はインターネットユーザーですが、災害時におけるテレビ放送の重要性が、改めて確認されました。
インターネットで得られる情報の中では、「ポータルサイト(Yahoo!、Google等。新聞社や放送局のポータルサイトは含まない)」の情報を重視すると回答した人が43.2%で最も多く、第三位でした(「新聞」の情報が36.3%で第四位)。さらに、twitter、mixi、facebookなど「ソーシャルメディアの情報(18.3%)」が、「インターネットの新聞社の情報(18.6%、第六位)」とほぼ並んで七位に登場しており、ソーシャルメディアが震災情報の取得において、一定の役割を果たしている状況がうかがえます。
東北地方太平洋沖地震に関する情報に接して、様々なメディアや情報発信主体に対する信頼度の変化(「上がった」、「下がった」、「変わらない」、「わからない」から一つを選択)を尋ねたところ、「信頼度が上がった」との回答が最も多かったのがNHKで、28.8%の人が「信頼度が増した」と答えています(図2−1)。それに続くのが、「ポータルサイトの情報(17.5%)」、「ソーシャルメディアで個人が発する情報(13.4%)」でした。
一方、「政府・自治体の情報」に対しては、「信頼度が低下した」と答えた人が28.9%に達しています(図2−2)。「ソーシャルメディアで個人が発する情報」に関しては、「信頼度が上がった」との回答で第三位でしたが、「信頼度が下がった」との回答(9.0%)においても、同じく第三位となっています。この理由として、震災関連の情報取得において、ソーシャルメディアの利便性を多くの回答者が実感した一方で、デマやウソの情報に触れる機会も結果として増加した可能性が高かったことが考えられます。
インサイトシグナルでは、企業の広告や販売促進などの「マーケティング活動」と、消費者が購入に至るまでのステップである「消費行動のプロセス」とを、同一の被験者で調査した「シングルソースデータ」を提供します。
具体的には、同一被験者から、TV視聴履歴やweb閲覧履歴、雑誌や新聞の購読履歴、といった「刺激系データ」と、商品別の認知、購入意向、購入経験、リピート状況といった「購買系データ」を把握します。消費者を軸とした本来の広告効果や販促効果を明らかにすることにより、科学的なマーケティング戦略の立案を可能にします。