先輩インタビューNO.2 テレビを見ている皆さんが何かを始める
きっかけづくりを。

鈴江 奈々[スズエ ナナ]

2003年入社。経済学部卒。
現在の担当番組は「NEWS ZERO」(月曜〜木曜22:54〜23:58)、「ザ!世界仰天ニュース」(水曜21:00〜21:54)、「真相報道 バンキシャ!」(日曜18:00〜18:55)。趣味はダンス(JAZZ、GIRLSHIPHOP、日本舞踊、創作ダンス)、映画・舞台鑑賞。動物好き。

鈴江 奈々[スズエ ナナ]

INTERVIEW アナウンサーの仕事の醍醐味

いろんな化学反応が起こるプロセスを楽しめる仕事。
時の人と時の場所に出会える、最高に幸せな仕事。

バラエティにしてもニュースにしても、番組づくりには多くの人々が関わります。
本気で"いい番組をつくりたい!"という想いは強く、それぞれの想いがぶつかり合い、融合しながら、そのプロセスでさまざまな化学反応が起こります。ひとつのアイデアを起点に、いろいろな知恵や工夫が加わり、1+1が3にも4にもなる!その連鎖が大きなパワーとなって番組に結実する!そして視聴者の皆さんの気持ちも動かしていきます。

テレビの役割は、視聴者の皆さんが何かを始めるきっかけをつくることだと私は考えているので、これらの"化学反応"や"連鎖パワー"をどれだけ生みだせるかが私たちの使命であり、また、それが仕事の醍醐味にもなっています。

私にとって今までで最大の"醍醐味体験"は北京オリンピックです。キャスターとして現地入りして、数々の感動の瞬間に立ち会いました。北島選手の金メダル獲得の瞬間にも、その場にいて、感動を深く心に刻みました。
金メダルを取る人はその会場の空気や観客の気持ちなど、まるですべてを引き寄せるパワーを持っているように感じたんです。特に北島選手の平泳ぎ200mの時には、入場のときから"王者の風格"が漂っていて、レース前から勝利を予感させました。あの空気感に観客も吸い込まれているような不思議な感覚を味わったのを覚えています。
"時の人"と"時の場所"に出会える最高に幸せな仕事、それがアナウンサーである!と心から感じた忘れられない思い出です。

かけがえのない

アナウンサーの仕事をしていると、実にさまざまな出会いがあります。
例えば、北京オリンピックの開幕直前にスタッフとマラソンコース周辺を取材していたときに、白血病を患う少女"フナちゃん"と偶然出会いました。

フナちゃん一家は、医療保険が整っていない中国で治療費を工面できないという現実を前に途方に暮れていました。北京オリンピックの華やかな舞台の裏で出会った厳しい現実。自分たちに何ができるのか悩みました。私たちは直接助けることはできないけれど、この現実を、メディアを通じて伝えることはできるはず。そう思い、北京オリンピックが閉幕した後も取材を続け、私が担当する「ザ!世界仰天ニュース」で放送することができました。

その結果、反響を呼んで、募金が集まり、フナちゃんは手術を受けることができ、今も元気で暮らしています。私たちのチカラは微力かもしれません。
でも、スタッフの思いをひとつにして取り組めば、時に思わぬ化学反応を起こすこともできる!…この可能性を信じて、これからも私としては、かけがえのない"出会い"を大切にして、テレビを通して人と人をつなぐことが出来たら…と考えています。

ONE DAY REPO.入社9年目 鈴江奈々のとある一日

sun 18:00 真相報道 バンキシャ!リハーサル

真相報道バンキシャ!は、ある事件やニュースの背景を"番記者"のごとく深く掘り下げて、その真相を浮き彫りにする特報番組。

「メーンキャスターは大先輩であり、私の入社時の教育担当だった福澤朗さんです。もちろん今でも、すべてにおいて"お手本"になる存在で、毎回、アナウンサーとしての心得から技術まで、多くのことを教わっています」

sun 18:00〜18:55 真相報道 バンキシャ!生放送本番

同じ事件やニュースでも、表現の"切り口"を変えれば、伝わり方も変わる。また、どんな事象にも光と影があり、どこを切り取るかで、浮き彫りになる"答え"も違ってくる。

「バンキシャ!は、ひと味違う"切り口"や"答え"を求めて番組づくりをしています。また、真相に深く切り込む"ご意見番"も多種多彩なフィールドからご登場いただいており、毎回のように"深く考える"きっかけが生まれています」

MON 20:00〜 ザ!世界仰天ニュース 収録前日打ち合わせ

ディレクターや番組スタッフなどを交えて、台本チェック。進行をイメージしながら、ディレクターが、こうした方がいい!こうすればもっと良くなる!というアイデアを出して、修正していく。

「もちろん私も台本アレンジに関わります。特に私が担当するフリップを掲げての解説コーナーの展開については、その内容や表現も含めて、積極的に意見を述べて、理想的なカタチを模索します」

TUE 13:30 麹町Gスタジオ入り メイク・衣装合わせ

スタジオ入りしたら、まずはヘアメーク。続いて衣装合わせも行う。

「衣装についてはスタイリストさんと相談しながら、季節感や自分の好みも踏まえて選びます。また、出演者の衣装も事前にチェックして、同じようなコーディネートにならないよう気を配りながら、最終的な衣装を確定します」

15:00 ザ!世界仰天ニュース  リハーサル開始

カメラリハーサルをしながら、ディレクターと台本チェック。番組構成上、特にポイントとなる場面は綿密な打ち合わせを行う。

「番組アシスタントである私の役割は全体の進行の流れをコントロールすることです。通常リハーサルは出演者抜きで行われますが、それぞれの出演者がどう振る舞うのかを何パターンも想像して、リハを進めていきます」

16:00 台本の流れに沿って リハーサル

出演者役を演じる番組スタッフとともにリハーサル。

「収録本番では中居さんや鶴瓶さんのアドリブに、どう応えるかが勝負どころ(笑)。お二人はアドリブトークの天才です。想像もつかないような展開に毎回驚かされるばかりですが、私としてはそのトークテクニックを盗み、いつか自分の仕事に活かしたいと思っています」

17:30 リハーサル終了

台本の流れの最後。出演者全員が揃ってのエンディングシーンをチェックして、リハーサル終了。

「リハーサルはあくまでも想定のひとつでしかありません。収録本番では、どんどん展開が変わります。だから、リハーサルの最中にどれだけのイメージトレーニングができるかが重要です。この番組に参加して6年目。ようやく場の空気のつくり方のコツがわかってきたような気がします」

17:50 収録直前

ディレクターから台本の変更指示が出る。

「生放送の経験が長いので、台本変更への対応力は鍛えられていると思います。瞬時の判断で、どう振る舞い、どう発言すればいいか…を組み立て直して、本番に備えます。 アナウンサーの場合、機転で乗り切らなければならない場面が多く、それがこの仕事の難しさであり、そして面白さでもあります」

18:00 収録スタート

オープニングは司会の中居さんと鶴瓶さんのフリートーク。鈴江アナはステージ横でスタンバイ。

「一気に場の空気を盛り上げるお二人の軽妙な掛け合いは見事で、まるで漫才の名コンビのようです。毎回、ここで緊張感がほぐれ、リラックスして収録に入っていけます」

18:15 400回記念を祝して

今回の収録で放送回数400回目となる。スペシャル版と合わせると440回。総放送時間は522時間10分。

「改めて数字にしてみると、感慨深いですね。振り返るとテーマも多種多様。"事実は小説より奇なり"と思える仰天ネタをはじめ、社会派ネタやヒューマンドラマなど、まさに人生勉強の場だったと改めて考えさせられます」

18:20 鈴江アナの解説コーナー

今回のフリップは、これまで柳沢慎吾さんが「仰天ニュース」にゲスト出演した際に展開したネタやトーク内容をまとめたもの。

「どうしたら面白く紹介できるか?自分なりに下調べをして、解説トークの表現を工夫して臨みます」

19:10 出演者とともに再現映像を鑑賞

真剣なまなざしで再現映像を見つめる。

「あえて一視聴者としての感覚で見ることを大切にしています。気持ちを揺さぶられたり、深く考えさせられたり、物語世界に引き込まれたり…世界の仰天エピソードを素直に受けとめて、出演者の皆さんとともに"感動"や"驚き"を共有します」

7:00 番組を進行

仰天ニュースの再現映像に対する出演者のコメントは、番組成功への重要な鍵を握る。

「司会の中居さんや鶴瓶さんが他の出演者たちのコメントをうまく引き出してくださいますが、私も、出演者について事前に調べたことなど"隠し玉"を投げ込みスタジオを盛り上げられたら、といつも考えています」

19:30 収録終了。出演者を見送り

中居さんと鶴瓶さんのエンディングトークを見守り、約90分の収録が終了。最後に出演者の皆さんを拍手で見送る。そして本日は、20:00から2本目の収録へ。21:30終了。

「衣装を着替えたら、すぐに汐留本社へ。NEWS ZEROのオンエアに向けて、タクシーで移動します。約30分、資料に目を通しながら、バラエティ番組から報道番組への気持ちの切り替えをします」

22:00 報道フロアへ

報道フロアに入る頃には、ニュースキャスターの顔に。

「ニュース原稿のチェックと読み合わせを行います。ただ、最新ニュースはオンエアぎりぎりまで、次々と原稿の内容が変わります。まさにニュースは生もので、その鮮度が問われるのです」

22:54 NEWS ZEROオンエアスタート!

NEWS ZEROの番組コンセプトは、"ZERO(原点)にかえって、はじめる。すべての情報をZEROから考えなおす"というもの。

「ニュースの背景を深く知ることで、表面的ではない伝え方を考えたり、キャスター自らニュース現場に足を運んでリポートしたり、時の人や世界的重要人物にフォーカスしたり、収録後にキャスター陣が本音の舞台裏トークをして、それを番組ホームページで公開したり…等々。これまでのニュース番組の枠に縛られず、さまざまなチャレンジをしています」

COLUMNウラ話・こぼれ話

ひとの3倍、汗をかけという教えをお守りにして。

入社当時、私の教育担当だった福澤朗アナウンサーの言葉"ひとの3倍、汗をかけ"は強烈に印象に残っています。
福澤アナウンサーをはじめ先輩アナウンサーたちは、皆さん影でもの凄い努力をしています。例えばスポーツ実況のアナウンサーは、地道な取材活動を行います。その取り組みは凄まじく、実況資料にはびっしりと暗号のような文字が並んでいます。
それらはすべて足で稼いだ"生きた情報"です。"生きた情報"は時に奇跡を起こします。実況中に生まれる"奇跡の名台詞"は放送前の準備や努力の賜物だと思います。
私も時には奇跡を起こしたいのですが、まだまだ努力や修行が足りないようです。でも、番組のために"ここまで準備したんだ"という想いを自分の中の"お守り"にして、常にそれをスタジオに持っていくようにしています。
いつかこの"お守り"が感動の奇跡を起こしてくれる!と信じて、これからも"ひとの3倍、汗をかく"努力を続けていきたいと思います。