松本復興相、たった９日で辞任…菅政権、末期的状況に

辞任の記者会見に臨む松本復興相

　「知恵を出さないやつは助けない」―。松本龍復興対策担当相（６０）＝衆院福岡１区＝が５日、東日本大震災で被災した岩手、宮城両県を訪問した際に暴言を連発した責任を取り、菅直人首相（６４）に辞表を提出、受理された。同相と防災担当相の後任には、平野達男復興担当副大臣兼内閣府副大臣（５７）が昇格したが、迅速な復興を最優先に掲げ新設した閣僚が就任わずか９日目に辞任。退陣表明しながら延命を図る首相への嫌悪感も加わり、菅政権はいよいよ末期的状況に陥った。

　「今の言葉はオフレコだぞ。書いたらその社は終わりだから」。３日に宮城県庁でひとしきり放言した後、報道陣を恫喝（どうかつ）するように話していた松本氏だったが、終わったのは自身の大臣任期だった。

　菅首相の強い慰留を振り切り辞表を出した松本氏は、辞任会見ではさばさばした様子。３日に岩手県の達増拓也知事にサッカーボールを蹴り「復興のキックオフ」をアピールしたことを思い出してか「岩手でキックオフして３日でノーサイドになった」。辞意を固めた時期については「昨日（４日）午後９時半ごろ、店で音楽を聴きながら」と無表情で話した。

　岩手、宮城両県で達増、村井嘉浩知事とそれぞれ会談した３日。「知恵を出さないやつは助けない」などと知事に“上から目線”で説教し、反発を招いた。「言葉が足らなかったり、荒かったりして被災者の心を痛めた」と振り返る一方で、辞任にあたり記者団に「謎掛けをしようと思ったが」と言って上を向いたまま黙り込む場面も。被災した子どもの作文集「つなみ」を掲げ「岩手で読んで１００冊購入した。皆に売りつけようとしたが（記者に）プレゼントします」と真意を測りかねる発言で、会見を打ち切った。

　環境相在任中はかりゆしシャツ姿で「スーパークールビズ」をＰＲするなど話題の中心にいながら、全く注目されなかったが、先月２８日の復興対策担当相就任会見では、サングラスをかけ「３月１１日以来、私は民主も自民も公明も嫌いだ」と仰天発言。突然のイメージチェンジに、民主党幹部も「（最近になって）目立つようなことを始めた。なぜだか分からない」と首をかしげるしかなかった。被災地での問題発言が起きてからは、福岡の地元事務所には「慎重に言葉を選ぶ龍さんに戻って」などと苦情の電話が多数寄せられた。

　辞任を否定した４日の会見から一夜で心変わり。「個人的な都合」とだけ辞任理由を語った松本氏が身を引き、チームドラゴンはわずか９日で解散した。

（2011年7月6日06時01分スポーツ報知）