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【芸能・社会】新垣勉「さとうきび畑」続編 「緑陰〜こかげ〜」8・3発売のCDに2011年7月6日 紙面から
全盲のテノール歌手新垣勉(58)が、8月3日発売のアルバム「平和の歌」で、01年にヒットしたデビュー曲「さとうきび畑」の続編として制作された「緑陰〜こかげ〜」を歌っていることが5日、分かった。作詞作曲の故寺島尚彦さんから、生前に「歌ってほしい」と直々に託されていた、歌手にとって“運命の1曲”だ。 「ざわわ ざわわ」の歌い出しで知られる「さとうきび畑」は、第2次世界大戦の沖縄戦が題材。父親を戦争で亡くした「私」が、さとうきび畑で風に吹かれ、悲しみに暮れている−という歌だ。69年の森山良子(63)から、THE BOOM、夏川りみ(37)らが歌い継ぎ、新垣版は1万枚でヒットと言われるクラシック界で、14万枚の記録的ヒットになった。 続編の「緑陰」は00年ごろの作品。戦争で燃え尽きた沖縄ではなじみの深いクワディーサーの木に「枝を伸ばせ 茂れその葉」と呼びかけ、命を慈しむ内容だ。 新垣が歌うことになった背景には、寺島さんとの10年越しの約束がある。 寺島さんは99年、テレビのドキュメンタリーで知った新垣の歌唱に「さとうきび畑の広い空間を感じさせる包容力がある」と感銘を受けた。01年暮れに初めて対面。沖縄で在日米軍の父親と日本人の母親との間に生まれた新垣の境遇にも触れ、熱い言葉を送った。「沖縄生まれの新垣さんに、第2次世界大戦がなければ生まれてくることのなかったその命だからこそ、あえて沖縄戦がテーマの『緑陰』をいつか歌ってもらいたい。そう言われたんです」(新垣) しかし寺島さんは04年3月、肺腫瘍のため73歳で死去。直後の4月、妻の葉子さんは新垣を呼び出し、「これが遺言です」と言って「緑陰」の楽譜を手渡した。 命がテーマの「緑陰」を大事に歌い込んできた新垣は「東日本大震災でたくさんの尊い命が奪われた。この楽曲は今こそ発表されるべきだと思った」と、今作への収録を決意。「さとうきび畑」の続編にふさわしい、壮大なスケールの曲が出来上がった。新垣は「この楽曲を通して、多くの人に活力を与えられたらと思います」と意気込んでいる。 PR情報
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