稽古後にファンに囲まれる白鵬=名古屋市緑区の宮城野部屋で
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名古屋場所(10日初日、愛知県体育館、中日新聞社共催)で史上初の8連覇に挑戦する横綱白鵬(26)=宮城野=は5日、出稽古には行かず、名古屋市緑区の宿舎で部屋の若い力士を相手に調整した。
余裕たっぷりの調整だが、その裏には尊敬する元横綱双葉山の言葉があった。「双葉山関の本を読んだんです。理事長のときにインタビューを受けていて、何で勝ち続けたのか、と聞かれて『調子を下ろしたからだ』と答えていた」と報道陣に説明した。
相撲用語で「調子を下ろす」とは「相手を甘く見ること」。いい意味で使われることは少ないが、横綱は「焦って切羽詰まってやるといいものはできない。落とし穴や墓穴がある。そうじゃないですか?」と、「甘く見ること」ではなく「余裕を持つこと」だと解釈する。
双葉山の言葉を実践したのか。この日も行くと思われていた出稽古には行かず。すでに調整ができているからか、と理由を聞かれると「まあ、そうですね」。4日に時津風部屋へ出稽古したのが初めての本格的な稽古だったが、その1日で8連覇の手応えをつかんだようだ。
「きのう、いろんな関取と稽古をして、攻めても守ってもいい稽古ができたし。余裕? 多少余裕ないとやってられないでしょ」。今場所の横綱はこの「余裕」がキーワードになりそうだ。 (岸本隆)
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