2011年7月4日 15時0分 更新:7月4日 15時24分
政治献金が禁じられているNPO法人や補助金交付団体の私立学校から顧問料を受け取っていると届け出た国会議員が少なくとも4人いることが4日、所得等報告書と同時に公開された関連会社等報告書で分かった。政治資金規正法は補助金受給団体による献金を禁じ、特定非営利活動促進法(NPO法)は法人が特定の政党や政治家などを支持する政治活動を禁じている。
自民党の森喜朗元首相(衆院石川2区)は金沢医大(石川県内灘町)の運営法人から昨年約216万円を受け取っていた。森元首相の顧問弁護士は「仕事の内容は理事長の諮問に答えること。昨年は大学を3回訪問。それ以外に7回仕事をした。顧問料は仕事の対価で政治献金とは性格を全く異にする」とコメントした。
たちあがれ日本の園田博之幹事長(衆院熊本4区)は福岡県で高校を運営する九州産業工学園から昨年約74万円を受け取った。学園は「4年ほど前、生徒数が減って経営を見直す際に理事長が依頼した。理事長が東京出張した時に国の動きなどをお話しいただいている」。その後、「直接関係があるか分からないが入学者は回復した」(同学園)という。
自民党の古賀誠元幹事長(衆院福岡7区)は福岡市で高校を経営する九州中村高等学園から年50万円の顧問料を受け取っている。また、同党の丸山和也参院議員(比例代表)は神奈川県のNPO法人の顧問だと届け出た。丸山氏の事務所は「献金とは性格が違うもので問題はないと考える」とコメントした。
また、NPO法人や補助金交付団体を含め、企業や法人から顧問料を受け取っている国会議員が4月1日現在で衆参合わせて50人(民主23人、自民20人、みんな1人、社民1人、国民1人、たちあがれ日本1人、無所属3人)いた。顧問料を支払った企業・団体は85社だった。議員秘書の男性は「景気低迷で以前より減ったが、企業や業界団体が議員の威光を借り、広告塔に利用することはある」と語る。
企業・団体からの資金提供について、民主党は09年のマニフェストで「政治資金規正法を改正し、その3年後から企業・団体の献金とパーティー券購入を禁止する」と明記し、論議が続いている。
一方で、顧問料は論議の対象にさえなっていない。岩井奉信・日本大教授(政治学)は「支払う上で、勤務実態を問われることがなく、実態は政治献金というのが多いと思う。政党が所属議員の顧問料受領を認めないようにすべきだ」と話している。【青島顕、浅野翔太郎】