ある日の事だった・・・もう夕方で、辺りは薄暗かった。しかも雨が降っている。ピッピは、1匹だけで、雨が降る中の道を走り続けていた。 はぁ、はぁっ・・・とピッピは息せき切っていた。薄暗くて雨が降っているので、前の道がよく見えない。しかも道に迷ってしまったようで、家に帰れなくなってしまったのだった。 「どうしよう、道に迷っちゃったみたい・・・あっ、あそこに小屋がある。行ってみよう!」ピッピは、近くに木でできたような小さな家があるのに気がついて、走って行った。 「・・・誰もいないのかな・・・?」雨が降っているので、ピッピはとりあえずその家の中に入った。鍵はかかっていなく、もう誰も住んでいないようで、随分と古い家のようだったので、中にはすぐ入れた。 家の中に入ったピッピは、バタン!とドアを閉める。「・・・ふぅ・・・」やっと一息ついたピッピは、疲れたのか、座り込んでしまった。 やっぱりその家の中には誰も住んでいないようで、誰もいないようだった。「・・・引っ越したのかな・・・?」ピッピは少し不思議に思ったのだった。 でもその家は廃墟になってからもう随分と経っているようで、木でできているので、随分と古いようだった。激しい雨が降ったら、もしかして家は壊れてしまうのではないか・・・?と、ピッピは不安に思った。 でもこの家以外には、周りに隠れられるような建物は何もなかったのだった。ピッピが窓から外を見てみると、ほこりがかかっていてよく見えなかったが、ザァァ・・・と、雨が段々激しくなって来ているのがわかった。 雨漏りもしているようで、木でできた家の天井から、雨水が落ちて来ている。もしかしてこの家、壊れてしまうんじゃ・・・ピッピは物凄く不安になって来た。 でもこんな凄い雨の中、外に出たら他に隠れられる場所も無いし、ピッピはどうなってしまうだろう。「・・・・・。」ピッピは無言になってしまった。 もう夕方を過ぎて夜になってしまったようで、窓の外も暗くなっていた。物凄い雨の音。そして、雷も鳴り出したのだった。激しい雷鳴の音が響く。 「・・・・・!!!!!」ピッピはあまりの怖さに、泣き出してしまった。家の中は電気も無いので、物凄く暗くなっていた。いや、真っ暗になりかけていたのだった。 ・・・すると、ピッピはふと、その家の中の壁に、何か絵のようなものがかかっているのに気がついた。近付いてほこりを取ってよく見てみると、誰かポケモンの肖像画のようなものだった。 その肖像画には、♀らしきエーフィの絵が描かれていた。これは、誰・・・?とピッピは思った。随分と古いようだし、昔の人なのだろうか。この家に住んでいた人・・・? ・・・その時だった。ピシャーン!!!と物凄い雷鳴の音がして、「!!!!!」ピッピは目を瞑った。どうやら、雷が近くに落ちたようだった。 「・・・・・!?」ピッピが目を開けると、なんと家の付近に雷が落ちたようで、木でできた家の隅っこが燃えて来ていたのだった。「・・・・・!!!」ピッピは恐怖のあまり真っ青になった。 この家は木造だから、火がついたらすぐに燃えてしまうだろう・・・それよりも、自分の命が危ないと思った。でも、雨が火を消してくれないのだろうか・・・? 火はどんどんと家の中を燃え広がって、ピッピの近くまで来ていた。あのエーフィの肖像画にも火がついて、ゴォッという音と共に絵を燃やしていった。 天井にまで火がうつっていたので、ドォッと音を立てて、木でできた天井が落ちて来た。「・・・・・!!!」とりあえず、逃げなければ!!! ピッピは、必死で家のドアを開けて、外に飛び出したのだった・・・そして外に出たピッピが振り返ると、ドォッという音と共に、火でも燃え上がった家は崩れてしまった。間一髪で逃げ出したのだった。 「・・・・・。」あまりの物凄い出来事に、ピッピは言葉を失い絶句して、燃え上がる家を見つめていた・・・。あまりの怖さに、涙がポロポロとこぼれ落ちて来る。 木でできたあの古い家はもう完全になくなってしまったようで、炎で燃え上がっていた・・・。そして、物凄い雨のおかげで、炎も次第に消えていって、やがて火は完全に消えてしまった。 木でできた家の破片は真っ黒焦げになってしまっていて、何もなくなっていた・・・。ひたすら、雨の音だけがして、雨が降り続けていた・・・。ピッピは、その中を立ち尽くしていた・・・。 -------------------------------------------------------------------------------- これは随分前に絵本用のシナリオとして書いたものです が、同じ内容を小説用として書き直しました。 なんかか なり怖い話になっちゃいました・・・。 |