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[28619] IS<インフィニットストラトス> the other
Name: 青い虫さん◆c00e24c6 ID:bba67529
Date: 2011/07/06 00:07
※実はpart1を書き始める前に誤爆したもの

始めて投稿させていただきます、青い虫さんと申します
初めてで慣れぬことも多いですが、原作に泥を塗らないように頑張りますので
暖かい目で見てくれるとうれしいです

P,Sここから先は修正報告です、念のため

七月三日、part2,part3,part4修正完了

7月6日、指摘されたところを修正



[28619] IS<インフィニットストラトス>the other part1
Name: 青い虫さん◆c2b4dfe9 ID:bba67529
Date: 2011/07/06 00:05
現在地球最強とされる人型汎用兵器IS

その搭乗者は原則女性である、と言うことが世界の常識であった

しかし、いつの時代にも常識が通用しないイレギュラーと言うのは存在するものだ

ISの基礎構造理論を築いた篠之乃束もまた然り

そのISの女性しか操縦する事ができない、という常識を打ち破った少年、織斑一夏もその一人だ

この物語はもう一人のイレギュラー、つまりもう一人のISを操縦できる男の物語だ


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ISを操縦できる男が発見された、という事実は、すぐさま世界中を駆け回った

この報せを受け各国では色々な反応があった

ある国は、一夏に利用価値を見出しIS学園卒業後どうにかして自国に引き入れようとしたり

ある国は無関心を貫いたり

ある国−−−某A国は自国にもISの男子の適合者いるんじゃね?とか思って一夏と同年代の少年達を審査にかけてみた

結果−−−−

居たのだ、一人だけ、ISの男子適合者が

その某A国は慌ててIS学園に連絡をとった

ここで別の話となるが、IS学園には2年に一度プロのIS操縦者と戦ってみよう!というイベントがある

今年はどんなもんなのかな?といった国の視察であり、緊急事態にどこまで対応出きるかと言った試金石でもある

聞こえは良いかもしれないが要するに見せ物だ

この見せ物は二年毎にやるため三年生は一年生のときに体験している、なので参加することはない

さらににIS学園の上級生には箝口令をしかれてたりしてそのイベントを知るものは1、2年生ではほぼ皆無だ

そんなことを思い出したIS学園の学園長轡木十蔵が次はどの国に頼もうかと思っていたところ

ISの男子適正者を見つけ出したその某A国から連絡が来たのだ

初めは十蔵も普通に受け入れようと思っていたのだが、いかんせん間が悪かった、

取り合えずその適正者を隠蔽して育成し今年度のイベントに使うのはどうか?というほぼ面白半分な提案をしたのだ

その連絡を受けた機関が上に進言したところ、乗りのいい某A国、

「良いんじゃね?面白そうだしそうしようじゃないかwww」という返事を返す

こうして某A国所属、クレイド・フォートマンの地獄が始まった

「・・・・・え?何それふざけんな。」

「事実だぜ?残念ながら、おお神よ!この子羊にご慈悲を!」

そういっておどけた調子で神に祈るA国所属IS操縦者イーリス・コーリング

彼女は件の少年、クレイド・フォートマンの戦闘訓練の講師だ、

現在は休憩中で上から聞かされた眼前の少年がここにいるいきさつをサラッと話した

「え?てことは何?その学園長がそんなふざけた事抜かしたから俺こんな目にあってんの?

それが無きゃ今頃俺IS学園で女の子たちとキャッキャウフフしてたんじゃね?」

「まぁ、・・・・そうなるな、キャッキャウフフしてるかどうかはともかく。」

「・・・・・・・・・・。」

面白い感じに大口を開けて固まってる彼をイーリスは観察する

やや日系寄りの彼はジャパニーズとアメリカンのクォーターらしく

容姿は普通より少しイケメンくらい

ぶっちゃけ日本で話題になってる一夏とやらには若干劣るだろう

性格は明るい方だが、家系の性か多少ネジが外れてると言わざるを得ない

中肉中背、普通過ぎて面白みなし、−−−ネジが外れたときは別だが

総合的な評価は残念な部類に入る人間だ

ただ−−−−才能、IS適正、ともに普通の人間とは一線を画すそんな少年だった

さらに性格からして戦場に好まれるタイプの人間だろう

いくらかイカれていた方が戦場で生き残るには好都合なのだ

「調子はどう?イーリ・・・・ってなんで固まってるの?クレイド?」

鮮やかな金髪が特徴の特に仲のいい同僚が話しかけてきた、

つい先日暴走したISに取り込まれ、完全に暴走する前に救出された操縦者だ

「おうナタル、こいつにどうしてこうなった・・・って聞かれたから

懇切丁寧に教えてやったら固まっちまったんだよ、てか大丈夫なのか?動いて。」

「なるほどね・・・、体の方は大丈夫よ、問題はあの子が起きてくれるかどうか、・・・・?」

「どうした?」

ナタルが何かに気づいたようだ、視線を追って気づく、クレイドがうつむき何か呟いている

「・・・・・て・・・・、・・・・・んで・・・・・、も・・・・れは・・・・。」

訝しげに聞いていると−−−暴発した

「絶望したぁっ!」

「「うひゃっ!?」」

突然大声で叫び、そして愚痴り始めた

なぜあのイケメンランク1(笑)にだけいいおもいを、云々かんぬん

「・・・・・イーリ。」

「おっけー。」

「はうっ!?」

ガスリとヤバい音で部分展開した『ファング・クエイク』の爪がめり込む、どこにとは言わないが

当然失神するクレイドに水をぶっかけ起こさせる、端から見ると只の拷問にしか見えないのはきっと気のせい、・・・・多分

「・・・・・ハッ・・・・ここは・・・・?」

何か体が痛い、それに目の前に居る鬼と話してたようなな気もするんだが

「お目覚めか?さっさと訓練再開するぞ」

「・・・・・うへえ。」

どう考えても鬼畜としか言いようがない、朝6時から始めて今午後2時っすよ?イーリスさん

「何言ってんだ、私らの頃なんか多対一で数時間ローテだぞ、休憩なしで。」

「・・・・あれ?口に出しましたっけ?俺・・・・へぶぅ。」

言い終わる前に殴りますか、そうですか

ちなみに俺はこれをIS適正があると申告されこのわけの分からん施設に閉じ込められて

・・・・そうか、もう4ヶ月になるのか、

・・・イーリスさんが言うには11月までには6対1を出きるようにしとかなきゃいけないらしいけど・・・・、

無理じゃね?特別パック配給とか言ってたけどそれでもタダの無理ゲじゃね?

日本の某鬼畜ロボゲーも最大5対2とかっすよ?

「集中しろぉ!何やってんの!左腹部ガード甘いよ!」

「ゲフッ!?ちょ、まっ!!?オグゥッ!?」

「・・・・相変わらずねー・・・、キョウモオソラガキレイダナー。」

そんな超無責任なナターシャさんのつぶやき

ボコボコにされながらも俺は思う、・・・・・ここ地下っすよ姐さん

−−−−−−−−−−合流まであと90日


後書きー

面白かったでしょうか、緊張でガタガタ震えながら初投稿です
ちなみに90日って言って一日づつ進んでくわけじゃないっすよ?
さすがにもちませぬ

てなわけで今回はこんな感じで終わらせていただくでありんす

P,S追投稿するんすね・・・前書きだけ見させてしまった皆さんすいません
  これから頑張るっす



[28619] IS<インフィニットストラトス> the other part2
Name: 青い虫さん◆c00e24c6 ID:bba67529
Date: 2011/07/03 17:28
バシュウッ!キュイィイン!

各方位からレーザーが降り注ぐ
レーザーを射出しているのは新型自立兵器のプロトタイプだ、なんでもデータ取りのためにこんな物を用意したらしい

最近はこんな物騒な物まで作ってんだなこの国・・・

ぶっちゃけてしまうと完全に対IS兵器だ
ちなみに何故この兵器のテストをクレイドが受けているのか、というと
単純な話だ、新型兵器のテストとクレイドの訓練が同時に行うことができるからだ
何とも横着である、俺の命の危険は考えていないらしい
いくらモルモット扱いでもひどすぎだろ・・・・

でもまあ、初見でも全て回避が可能ってことはそれほど精度が高いものではないんだろう、
徐々に砲口が口を閉じて地面に落ちる

「・・・・あ?エネルギー切れかよ、情けねえ・・・、もっと動かねぇのか?これ」

って操縦してんのイーリスさんだったのかよ、通りでぐるぐる動いてバカスカ撃ってたわけだ
エネルギー残量の概念なしっすか

「ない!」

自信満々にそんなことをのたまう、国家代表の言葉じゃないと思うのは俺だけ?

「いや、胸張って言わんで下さい、あと俺口に出しました?」

いつものことだが軽く突っ込んでおく

「・・・チッ、折角最後の訓練だから落そうと思ったのに・・・・。」
「聞こえてますから、ボソっと言っても、てか落とすつもりだったんすか、これ国から借りたものなのに。」

そう、今俺が乗ってるのはフランスの量産二世代型ISラファール・リヴァイブ、『疾風の再誕』だった
本来ならあの新型兵器のテストと同様にプロトタイプのISが支給されるはずだったのだ
しかし、ある問題によって支給が4カ月経っても支給はされていない

「・・・?・・・・イド!クレイド!」

思考をいきなり中断される、なぜなら目の前にナーシャの姐さんの顔があったからだ
いかんね、この考え出すと周りが見えなくなる癖は、・・・しかし姐さんいつ見ても美人だなぁ・・・
そんな不埒なことを考えつつも、どぎまぎした内心を隠しながら返事を返す

「あ、はい何でしょう?」
「全く・・・、イーリが言った通り今日の訓練は終わりよ、部屋に戻って頂戴。」
「了解です、姐さん!」
「その姐さんってのやめてくれないかしら・・・?」

ゴゴゴ・・・・!と妙な効果音が聞こえる、怖いっす姐さん、
どうやらお気に召さなかったようなので少し考えて・・・・

「マム!イエスマム!」

ブチリ、と何かが切れた音がする、これは・・・プランD、いわyギャアアアァァ

―――――――――――――――――――――――

「あだだだ・・・・、素敵だと思うんだけどな・・・姐さんって呼び方。」

あの後こってり絞られた、体の各所になぜか痣、ISのバリアあるはずなのになんで生身で殴って痣が出来るんだよ・・・。

「そりゃ、お前何が何でも、じゃねーの?ナタルはああ見えて芯が強えからな、
ま、これから名前で呼ぶんだな、それが身のためだ。」

むう・・・言われればその通りだ、命は惜しいし心の中だけで呼んでおくのが無難だろう

「そういやあ、お前今日は定期連絡の日じゃねーのか?端末がブイブイなってたぜ?」

・・・・ああ、そう言えば今日は木曜日だったっけ

「あー・・・、面倒くさいですけどやらないとですねぇ、ほっとくと不味いですし
。」

むぃーー、と突然携帯端末の古めかしいマナーモードのバイブの音が鳴り響く、
イーリスさんだ、なんでもこの音だと落ち着くらしい

「ん、ん?ああ、アタシだ、ああ、・・ああ、・・・了解、
・・・悪い、クレイド、アタシは急用出来たんで、ここでな、んじゃ。」
「え?はい、分かりました、任務なら気を付けてくださいね。」

どうやら本当に急いでいるようで「ん。」と言っただけでさっさと行ってしまった
何か、あったんだろうな、まぁ呼ばれるわけでもないのでさっさと部屋に戻ることにする
力無き援軍はただの足手纏いということは分かり切っているからだ

部屋に戻ると端末を起動し、着信をチェックする、
うお、なんだこの着信量、全部親父という悪夢、まぁいいやとりあえず呼び出しっと、
暇なので改めて今自分が居る部屋を見てみる、ふかふかのベッドに、最新機種の端末、調度品も中々のレベルだろう
地下だというのになぜか部屋は豪華という無駄、
・・・・いろんな設備整ってるし不便しないから別に文句は言わないけどな

「よう、ダディ。」
「よう、マイサン。」

これが俺の親父、クランツ・フォートマンとの挨拶だ、実家にいたときこれだけは毎日欠かさずやっていた
時々変な目で見られることもあったが、気にしてりゃ切りがない

「んで?定期連絡ってこともあるだろうけど嫌がらせの如く連絡入れて来たからには
何か良い連絡があるんだろうね?”アレ”は完成したの?」
「ふふふはははは・・・・・、聞いて驚け!」
「おお!」
「ガトリング付きリニアライフルが完成したぞ!!まさにロマン!!」

思わず携帯端末にひび入れちゃった、殺してもいいよね?こいつ

「何やってんだよ!IS作れよ!ガトマシ付きリニアなんて変態武器誰が頼んだ!?」
「俺だ!」

キリッ!じゃねえ!

「いやぁ・・・、実はIS自体は出来てるんだがな・・・、ハハ・・・。」
「・・・てことは・・・、ハァ・・・、やっぱり”特異点”か。」
「ああ、実はまだ調整が終わってない、とんだじゃじゃ馬だよ。」

・・・”特異点”というのは世界中でISに使用されている467個+a・・・つまり500個程あるコアの中でも特殊なコアだ
篠ノ之博士が開発した通称”ネクストコア”その出力は通常のISコアの2、3倍上を行く、
周りから見ればノドから手が出るほど欲しいものだった
しかし、博士はこのコアを世に出そうとはしなかった、が、しかし、
このコアが作られたという事実と世に出さないという情報を得た某A国は行動に出、そして手中に収めた

奪取に成功した某A国は何故世に出さなかったのかをすぐに思い知った

まず、コアがISを選ぶ、という事態が発生した、当然と言えば当然かもしれない完全な企画外の代物なのだから、
まず、供給するエネルギー量にISが耐えられずショートするという事態が発生した
それ以上に問題となったのが

狂ってしまうのだ、IS操縦者が、

このコアをつけた機体がワンオフアビリティーを発生したときにIS操縦者は人知を超えた身体能力、判断能力を手に入れる、
しかし、その副産物がこれだった
思えば当たり前かも知れない、最悪のドーピング、という奴なのだから
ワンオフアビリティー、というのは搭乗者とISの思いが一致したときに発生するそのペアだけの、いわば特殊能力だ
このコアは、どんな機体につけてもワンオフアビリティーが初期状態から設定されている、原理としてこんな事は無い筈なのに
ゆえに付けられた名が”特異点”、しかし、これに対しての適正者が発見された

それが、俺だ、

…しかしトライアルでいくら適正者が居ないと思っているからって、まさか試験で特異点積んだの操縦させるってどうよ・・・

<あとがき>

~吾輩は一般人である、読み方はパンピー~

キリが悪いですが、今回はここで終了です
ええ、すいません、設定だけで終了しちゃって
思ったより長くなるなあ・・・これ
あ、コメント、ありがとうございます
評価されるってすごい緊張する!何これ怖い!!
まあそれはさておき励みにして頑張りますので、これからもよろしくお願いします
一日で全部書ききれるような設定ではないので
次もやや設定回寄り、かな

ふえええ・・・きつい・・・・












[28619] IS<インフィニットストラトス> the other part3
Name: 青い虫さん◆c2b4dfe9 ID:bba67529
Date: 2011/07/03 17:04
−−−−−−−−−−−−−−−−

「・・・・・まぁ、いいさ、んで?調整には後どれだけかかんの?・・・・まさか、11月までに間に合わないってことは無いんだろ?」

親父はISの開発を第一世代型から関わって来た、いわゆるIS開発の権威だ
現在世界各国が開発を進めている第三世代型も親父が関わっていないものはほとんどない
ファング・クエイク然り、ブルーティアーズもまた然り

「間に合わないというのはおそらく無いだろうな、調整ももう少しで終わるし・・・、そうだな遅くて一週間だろう。」

それを聞いて俺はほっと胸を撫で下ろす、4ヶ月も待たされたのだ、もはや待ちきれない

それがどんな”ゲテモノ”でも

そういえば、と思いだし一応聞くことにする

「ああ、そうだ、さっき言ってたガトマシ付きリニアだっけ?それうちに送ってくるんだろ?」

「ほう、よく分かったな、クレイド、ついにお父さんの思いが通じたか。」

試作品ができた、とか言って毎度毎度ゲテモノを押し付けて来たのはどこのどいつかと問いたくなる

「ああ、そうそう、スペックデータ今から送るから、適当に見ておけよ?」

その点は抜かりない、そんな物騒なものをテストしていて頭に疑問符が浮かぶことはまずあってはならないからだ
仮にも人の命を奪う道具、持つ者もそれ相応の覚悟を持って挑まなければならない、例えテストであっても

「はっ、何回親父の作った物騒な物テストしてきたと思ってんだよ?その点は抜かりないさ。」

敢えて口に出して伝える、親父もその点は分かってるようでうれしそうに口元を歪めながらデータを送ってきた

「ま、お前の優秀さは俺が一番分かってる、期待してるぜ?マイ・サン。」

含みのある言葉を吐き親父は回線を切る、画面にはガトマシ付きリニアのスペックデータが表示されている、
・・・・・スペックを見て俺は愕然とした、エネルギー消費量、リコイル、弾頭のサイズ、そしてこれ自体のサイズ、はっきり言って完璧な規格外だった

「・・・・馬鹿だろ、・・・エネルギー消費量も、イコライザもこんな物装備したら足りねーぞ!」

そういってから、直感した、これはおそらくあの”ゲテモノ”用、だと、それ以外に考えられない、まず普通のISで到底扱うことはできないのだから
端末に記憶させている俺の専用ISの予想スペックデータを呼び出す、しかし代わりに飛び出したメッセージにはこうかかれていた

”誕生日おめでとう!物騒だがプレゼントは用意した、幸運を祈る。”

そこで俺は苦笑しつつため息を付く、そういえば今日は俺の誕生日だっけ、
親父なりのサプライズ何だろうが、いい加減普通にやって欲しいものだ

「やっと、完成したか・・・、親父も相変わらずだなぁ・・・、素直に言えば良いのに。」

−−−−−−−−−−−−−−−翌日

俺の目の前にはIS<ディスタンス・ディザスター>が鎮座していた

機体は人間的な丸みと金属特有の直線的なデザインは中々どうして来るものがある
そのデザインを更に引き立たせるかのようにスティールブルーをメインとし、シルバーが各所に散りばめられている
絶妙な色遣いと機体のデザインにクレイドは目を輝かせていた
機体の装甲は頭部、胸部、脚部、腰部、腕部と、標準的な第三世代型ISよりもやや多めにカバーされている
中でも第三世代型では珍しいフルスキンタイプのバイザーが有り、ラインアイはカーマインレッドに輝いている
しかし、それを差し置いて最も目を引くのは、四つの爪が喰いこんだように見える胸部装甲だろう
これはネクストコアの制御装置で、どんなに消費エネルギーを多くしても
規格外の出力を誇るこのコアはIS自体をショートさせてしまう
そのために、エネルギー制御装置が必要となり、このような形になるのだ
つまり、この機体は常に最低限の出力しか確保していない、と、言うことになる、だが
消費エネルギーの高く、性能がいい物が機体に付いているのでそれほど困りはしないだろう

ちなみに、ネクストコアは、汎用性がかなり高く、武器はなんでも使えるようにはなっているらしい
うん、いかにもテスト機

クレイドはほう、と熱っぽい息を吐き、呟く

「親父に感謝しないとな・・・・、いい、すごくいい、色と機体のデザイン・・・絶妙にマッチしている・・・。」

端から見ればかなり気持ちが悪い、ISにべたりと張り付き恍惚とした顔でブツブツ呟いているのだから

「「・・・・・。」」

彼の訓練官を務めるイーリス・コーリング、ナターシャ・ファイルス両名も引いている、ドン引きだ
イーリスがこれでは始まらないと思い切り、口火を切る

「と、取り合えず、ISに乗れ、始まる物も始まらねー。」

かなり引きぎみだが話しかけられるだけでも結構すごい、普通の人から見ると話しかけられた物では無いからだ

「了解です、イーリスさん。」

べたりと張り付きつつもクレイドは返事をしてISに乗った
つながると言う感覚、いつも乗っているラファールとはまったく別の、妙にフィットすると言う感覚
意識がISと融和していく、目を開くと今までラファールに乗っていたときはやや不明瞭だった視界がクリアになっていた

処理速度も尋常ではない、一瞬で−−−−−−−−−−

−−−−−フォーマット、フッティング、完了、確認ボタンを押してください、ファーストシフト、完了しました

ためらい無く目の前に現れた確認ボタンを押し、一次移行を完了させる

「な・・・・!嘘だろ・・・おい・・・・!もうファーストシフトしたってのか!?」

イーリス・コーリングは驚愕し、叫んだ、ナターシャ・ファイルスも口を開けて固まっている

そう、身体データを先に入れていたわけでも無いのに一瞬で、このISは一瞬でクレイドの事を理解していたのだ
むろんクレイドの方も同じく、このISを、ISの思いを理解する、そして

−−−−−−すぐに異常が発生する

「・・・・っ!くあ・・・・ああ・・・っ!!」
「!?どうした!?」

異常を感じたのだろうイーリスさんが駆け寄ってくる、が反応する暇など無い
・・・・なるほどね、これは狂うわけだ・・・、と胸中でクレイドは呻く
このISが放っていた思い、それは言語化するのは容易な、”怒り”だった
単純故の、あまりに大きな思い、一個体が受けつづけるには膨大過ぎる”怒り”
クレイドは歯を食いしばり、耐え続ける、怒りの奔流のなかをこのISの本意を確かめるために

やっとの思いで、掴む、ISの”思い”、真意を

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・”寂しい”・・・寂しい、寂しい、寂しい寂しい・・・・・誰か、・・・・助けてよ!!

それは・・・・・狂おしいほどの感情だった、

実のところこのISコアは開発され、失敗作−−−−ある意味では成功していたのだが−−−−として篠ノ之博士に廃棄されるところを奪い取ったのだ
いわば、生まれてすぐ、親に捨てられた、という事だ、
なまじ知能があったばかりにこの事態を理解してしまったがために、心を通じ合わせた人に当り散らした

結果、完全には適正してなかった者はワンオフアビリティーを発動することで、この感情を受け止め、狂い
適正していた者は徐々にこの思いに蝕まれ、狂って行った

-----------なんで?なんでそんな目で見るの?どうして私は捨てられちゃうの?ニクイニクイニクイニクイニクイ

あらゆる疑問符と篠ノ之博士に対する憎悪、クレイドはすべてを受け止める。

実はこのコアとクレイド・フォートマンの生い立ちは酷似していた

ある種よくある話だ、金に困った親が子供を捨てていく、どこの国でも少なからずあることだった
しかしクレイド・フォートマンの場合恵まれていた方だろう、たまたま通りがかったクランツ・フォートマンという、いわばエリートに拾われたのだから
クランツの家は子供に恵まれず子供を欲しがっていたのもあるのだろう、クランツの家族は厳しくも優しく指導してくれた
ある日、クレイドは自らの事情を知りこの恩を返したいとクランツと家族に懇願したことがある

その時クランツ達はこういったのだ、「私たちには何もいらない、代わりに同じ境遇の人や物を見たら私たちがお前にしたことをしてやれば良い、それで私たちは救われる。」と

その日から、心に誓った、だから、物でも何でも良い、俺はこいつを救う、矜持にかけて

「お前は・・・・一人じゃない、俺が・・・・受け止めてやる、だから・・・。」

----------ほんと?友達になってくれる?
泣き濡れた少女が、こちらに目を向け尋ねてくる

「男に二言は無いさ、ずっと一緒にいてやる、だから、共に生きよう。」

次の瞬間、クレイドは意識を取り戻していた
ISから流れてくる怒りは、ほとんど無くなっている、どうやら落ち着いたらしい

「おいっ!大丈夫か!?」

イーリスさんの顔が度アップ、・・・・近い、近い、一応俺男の子なんですよ?緊急事態とはいえ
そんなに近づかれるとまずいっす、性欲を持て余す?
しかし美人の顔は見飽きない、薄目開けて見てても良いんだろうけど、まぁばっちり目を開けちゃってるしそれは無理か。

「はーい、大丈夫ですよ?」

倒れたまま軽い調子で返事をする俺、ため息を吐きながら姿勢を正し離れていくイーリスさん、の顔、勿体ないことしたかな・・・・
はぁー、と逆サイドの姐さんも安堵したようにため息をつく

「で、いきなり倒れちゃって、どうしたの?」
「ああ、ちっとばかし長くなりますが・・・・−−−−−−−−。」

−−−−−−−−−−−−−−−−

ISコアによる補則を加えた説明を終える

「成程・・・ね、そんなことが・・・・・。」

姐さんはそう呟き、半ば呆然とする
ショックを隠せないようだ、まぁ当然と言えば当然か、ちなみに俺の事情については話してはいない、同情はまっぴらだ

「で・・・、つまりそれはお前がワンオフアビリティーを使っても後遺症で狂わないってことも言えるのか?」
「そういうことだよな?」

待機状態になっている俺のISに話しかける

【はい、その通りです】

AIとはまた別にネクストコアは自我を持っているらしい、クールに返してくる、・・・・あんだけ寂しい寂しいっつってたのに・・・、何この変わり様

【私のワンオフアビリティーの元々の名前はOSS<オーバードサポートシステム>ですから】

【ただ単に私の暴走によってその人を狂わせてしまった、と言うことです、・・・・謝っても戻ることは無いのがとても悔しいです・・・・。】

うん、反省しているらしい、基本的にはいい子なんだな

「いや、うんうん頷いてないで説明しろよ、結局どうゆう事なんだ?」

・・・そうか、他の人には聞こえないんだな、取り合えず行った通りの事を伝える

「ほお・・・・なるほどねぇ・・・・、しかし面倒くさくなったな、ナタル、どうするよ?」
「・・・取り合えず、今から訓練するのは結構きついということは確かね、かなり消耗してるみたいだし、それに上に報告するのも億劫だわ。」

よく気づくものだ、姐さんの言う通りぶっちゃけ精神は限界だった、表面上はいつも通りを装っているが、今すぐにでも眠りたい

「お前がぶっ倒れて苦労すんのはお前もお前もそうだがアタシ達もだ、仕方ねぇ今日は解散するか。」

そう言って今日はお開きとなる

廊下を歩いている途中であることに気づき待機状態のIS<ペンダント>に話しかける

「そういえばお前何て名前なんだ?」

【ディザスター、で構いません】

disaster、災害、ね、・・・まぁあいつらが付けそうな名前だよ、

「そうじゃねーよ、開発されたときとか、お前自身が呼んでほしい名前があんだろ?」

【・・・・・。】

考えている様だ

【白銀。】

「ん?」

【それが開発された当初、束様がつけてくださった名前です。】

「・・・・そうか、じゃあ白銀、よろしくな。」

【ええ、これからよろしく、マイ、フレンド】

うれしそうに、しかし表面上は事務的に、
それでも、友達が増えることはうれしかった

−−−−−−−−−−−−−−合流まで83日

<後書き>

〜インスタントはうまいのにカップはあんまおいしくないチキラー〜

連日うp、体力的に結構きついけど楽しいです、書いてて
後書きのタイトルは気にせんでください
私の集中力が足りない故にpart2、3とわけてるのに完全に前後編となってしもうた、何かほんとすいません
コメントであったんですが、完全見切り発射です、ええ、
オリジナルで話進められるほど優秀じゃないんですよ、馬鹿なもんで
展開としては合流直後くらいまでは詰めてはいますけど
多分8、9巻出るまで結構gdgdな展開が続きます、
できるだけ楽しめるように書いていきたいとは思いますけどね・・・

ちなみに白銀、読み方は、はくぎん、ではなく、しろがね、です

・・・でっていう!!




[28619] IS<インフィニット・ストラトス> the other part4
Name: 青い虫さん◆c2b4dfe9 ID:bba67529
Date: 2011/07/03 16:57
強い−−−−−−−

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

つい先日俺の手元に来た第三世代型IS<ディスタンス・ディザスター>
今現在俺はそれの各部テストを行っていた、
この機体のコンセプトは”ディスタンス”の名が現す通り、長期戦に特化した機体だった
イコライザ容量は二世代型の最大積載を誇るラファールを軽く超え、マシンガンやアサルトライフルを突っ込んでもガトマシ付きリニア、通称<メルト>が問題なく積める程
スラスターも従来のISコアでは供給量が足りなかった為に作られたまま放置された大出力の物を使っているためスピードも申し分ない

普通こんなに積載したらスピード落ちるんだけどね、ネクストコアパねぇ

ちなみに今はその変態ガトマシ付きリニア<メルト>の性能テストを行っていた
どうやらリニアとガトマシは同時には撃てないらしい、いやできたら相当な変態武器っすけどね?
機構は結構リアルでリニアを撃つ時はガトマシは折り畳まれる、弾倉が砲身下部にあるため外側にパタンと、
ぶっちゃけ砲身が長すぎて支障になるんじゃね?とか思ったけどそんな事は無くて普通に取り回しが良い、肩部アーマーが無いことがでかいんだろうね
ちなみにガトマシの時はリニアの方の砲身がちょっと縮むだけだ、うん別に支障は無い

取り敢えずターゲットを撃ち抜きまくる、集合しているところはガトマシをばら撒いて、他はリニアで着実に狙っていく
反動がでかいんだよね、リニア、電磁加速砲なのになぜ?ゲームでは結構軽く撃ってたりするんだけどな

「そりゃ、おめー弾頭の質量考えりゃ反動きつくなんのあたりめーだろ、ま、火薬で爆発させないってだけ良いかもしんねーけどな。」

後でイーリスさんに聞いたらこんな回答が返ってきた、意外とインテリジェンスなんですね、よく考えりゃ国家代表だから当たり前だけど
そうこうしてるうちに次のテストを知らせる通信が入る

「データはとったわ、次はアンロックユニットのテストよ。」

・・・そんなもんまで用意してたのか、てっきりワンオフアビリティーのテストかと思ったよ、
あ、そうか、今やってんの特別パックのテストだっけ、<メルト>を扱うために
コアのエネルギー解放状態だし、すっかり忘れてたよ

「・・・えーと、確か換装可能な・・・・。」

【アンロックユニット、<ノブレス・オブリージュ>】

「そうそう、それそれ、確か何にでも換装出来るんだっけ?」

【はい、つけようと思えばブースターだろうがミサイルポッドだろうが何でも付けることが可能です】
【現在登録されているのは、大口径グレネード砲とチェインガンです】

・・・・大雑把ながら正確な武装情報を教えてくれる、うん、とっても優しいね、別に台詞とられたからちょっと悔しいってわけではないよ?

「サンキュー、白銀、さ、気を取り直してもう一丁!」

ほら、ちゃんと礼はしたし
ガシャリ、と両肩にあるアンロックユニットを展開し、出てきたターゲットを撃ち抜く、うん、もはや作業ゲー。

−−−−−−−−−−−その頃、管制室では

「よーし、そろそろだな!楽しみだ!マッハで蜂の巣にしてやんよ!」
「ちょっとは落ち着きなさい、イーリ、まだ出番じゃないわ。」
「いいじゃねーか、久々の実践的なIS戦闘だ、手を抜かずにやれんのは超久しぶりなんだよ!」
「全く・・・・、まぁいいわ、どうせやるつもりだったんだし、ワンオフアビリティーは実践で慣れさせましょう。」
「イーリス・コーリング!!いっくぜー!!」
「あっ、・・・・・まあ、あの様子だと大丈夫か。」
「クレイド、聞こえる?予定を少し早めることになったわ、ISの実戦テストに入ります。」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

『クレイド、聞こえる?予定を少し早めることになったわ、ISの実戦テストに入ります。』

ブツリ、通信が一方的に切られる
・・・・いや、いやいや、え?何事?いきなり”実戦”とか言われても困るんスけど!?

【IS反応、急速接近しています、機体認証、−−−−−来ます!】

白銀がオペレートしてくれる、どうにもつっかかった感が否めないがハッチが開くのを肉眼で確認
と、同時にタイガーストライプの機体が襲いかかってきた

「・・・・・っ!」

本能的に危機を感じ急速後退をする

「へぇ・・・、今のを躱すか、なかなか板に付いてきたじゃねーの。」

そういって目の前で不敵な笑みを浮かべるファング・クエイク、とその操縦者イーリス・コーリング
心中で呻く、・・・・成程、実戦テストね・・・、多分今の速度から鑑みるに・・・・

「悪いが全力で行かせてもらうぜ、大分溜まってたんでなぁ・・・・!」

やはりか・・・、訓練の時全力を出してないなんてしばらくやってれば馬鹿でも分かる。
普通に考えて拮抗出きるはずもない、始めてたった4ヶ月のひよっこと、国家代表に選ばれるまで努力した戦闘員、全力でやった結果ボコボコにされるのは目に見えている

「・・・・けど、勝負を投げるわけにもいかない、力を貸してくれよ、白銀。」

もっとも信頼する父親が作り上げたのだ、それに、知り合って数日とはいえ友と戦う、これは思ったよりクレイドの戦意を湧き立たせた
そんな思いに答えたのか、白銀からは無言の戦意が伝わってくる

【・・・・・・・・・・・・・・・行きましょう。】

ほぼ同時に二人はイグニッションブースト<瞬時加速>で距離を詰める
クレイドの左手に有るのは大出力エネルギーブレード<破刃>
まともに当たればISのシールドエネルギーを蒸発させることのできるその武器を殴るように振る
ファング・クエイクも馬鹿正直にその硬拳をぶつける、結果

「・・・・まさか制限しているとはいえこの出力で相殺になるとは思ってませんでしたよ、どんだけですかそのナックル。」

つばぜり合いをしながら互いの隙を狙う

「はん!こいつは特別製だ、簡単に壊れるようならアタシはつかわねー・・・・よっ!」

ガチィンと音を立て距離を一旦開ける、イーリスさんはアサルトライフルを、俺はガトマシ形態の<メルト>を牽制にぶっ放す
見事なまでのサークルロンドを繰り返し、何度も何度も切り結ぶ、
ある人は芸術、と言うだろう、それほどまでに完成された戦闘だった

しかし・・・、

(つ、強い・・・!さすがに完成されてるか・・・!ガトマシもリニアも残弾が不味い、どうにかしねーと・・・!)

やはりというか、クレイドがやや押されぎみだった。急速接近も防御もイーリスに合わせて何とかやっているとしか思えない
徐々に、しかし確実にシールドエネルギーが削られ、そんな状況に焦りを感じていく

−−−-−−−−−−−−−−−−−

強い・・・!

国家代表、イーリス・コーリングも真剣だった、とてもではないが4ヶ月とは思えないその動きに、たまに一瞬の虚を突かれることがある
クレイドが思っているよりもも実力は拮抗していた
現状油断すればどちらが負けるか、ほとんど分からない状況なのだ
こちらが攻撃を仕掛ければ反応し、そしてカウンターを確実に狙ってくる、事実イーリスはこんな敵に会ったことは無かった
さらに−−−−気づいてはいない様だが−−−−敵にはOSSという絶対的なアドバンテージが有る
使われればすぐさまイーリスの勝率は0パーセントになるだろう

「・・・・仕掛ける・・・・!」

まるで宿敵を見つけたときの様に目を細める、そして取り出したグレネードの狙いをつけた

−−−−−−−−−−−−−−−−−

集中が切れたのかクレイドの駆る<ディスタンス・ディザスター>が被弾しぐらりと傾く

「・・・・・っ・・・クソ・・・っ!」

その一瞬を突き零距離に来たイーリスは、渾身の一撃を小さく悪態を吐くクレイドのどてっ腹に叩き込む
正直−−−−−危なかった、というのが結論だった、そう、教え子と戦っている、と言う事態を忘れるほどに

「あ、やっべえ・・・。」

気づく、が、もう遅い、ナタルの叱咤が飛んでくる

『なにやってるのよ!確かにテストだけどそこまでやる!?普通!』
「はは・・・・悪ぃ、ナタル。」

乾いた笑いを浮かべ教え子を起こしにいく
予想通りと言うか何というか、クレイドは伸びていた

「あちゃー・・・・フェードアウトしちゃったか、全力叩き込むんじゃなかったなぁ・・・・。」
「それに結局ワンオフは使用しなかったし、ハァ・・・・後でこってり絞ろうっと。」

消えゆく意識の中でそれを聞いたクレイドが抱いた感想は

「ナニコレ酷い。」ごもっともだ

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−合流まで、78日


=後書き=
〜暇も肥満も大敵だ〜

と、いう訳で、やってもうたin徹夜でうp、どうせ日曜だもん!
夜のテンションって怖いですね、妄想が逆流しました・・・ギャアアアァァァ
始めてまともな戦闘描写書いてみました、うん、けっこうきつい
大変でしたよ、無駄なことに頭フル回転!いや勉強に回せって言うね

そうそう、書き終えた後に修正入れておきました、見やすくなってるといいなぁ
前回のコメントはこういうことで良いんだろうか・・・?




[28619] IS<インフィニットストラトス> the other part5
Name: 青い虫さん◆c2b4dfe9 ID:bba67529
Date: 2011/07/04 02:54

「何だてめえ、邪魔すんだったらぶち殺すぞ!?」

何この血の気の多いタコ女、年上の女性みてこんなに萎えたの初めてだわ
まあいいや、取り合えずこいつ追い返したら良いんだったな、萌えない女に構ってる暇は無い

「・・・・騙して悪いが、仕事なんでな、消えてもらう、この場から。」
「・・・!男!?」

あァ、そういやデータ上織斑一夏以外に男のIS操縦者はいないんだっけ、

「おっと、不味い不味い、白銀、頼むわ。」

【了解、−−−−ボイスチェンジャー起動確認、どうぞ。】

「あー、あー、よし、『騙して悪いけど、仕事なの、消えてくださる?』」

完璧に女性の声が俺の口から流れる、臭い台詞を吐いてちょっと後悔しないでもない、そもそもなんでここにいるんだっけ
俺の意識は昨日に巻戻る−−−−−−−

-−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

俺がいつもの訓練を終えデータの整理をしている時だった

「ねえ、クレイド、あなた少し外に出てみる気はない?」
「・・・・・へ?」

それは願ってもないことだった、さすがにこの施設が広いとはいえ、空を見れるのが、訓練場の天窓だけっていうのは人間腐っても不思議じゃない、
まぁここまで耐えられたのは一重に美人のお姉様方に訓練してもらっていたってことだった

「外に出れるんですか?確かバレたらマズいって事でIS学園のテストまで俺ここに軟禁されるんじゃ・・・?」
「特例よ、一週間ぐらいなら外に出ても良くなったわ。」
「や、やったー!!」
「ただし、あなたがIS操縦者だということは内緒にしておくこと、これが大前提よ。」
「ええ、ええ!外に出られるんなら何とでも!」

この時、俺は気づくべきだったのだ、無邪気に喜んでる後ろで、計画通り、と言わんばかりに邪悪に微笑む姐さんの姿を
ただ、白銀は気づいていたようで

【・・・・クレイド、もしかしたら騙されているのでは?】
「やったーー!!」

うん、うれしくても人の話はちゃんと聞くべきだね、でも仕方がないじゃない、嬉しかったんだもの
だって4ヶ月ちょいぶりだよ?

【・・・・・・・阿呆ですね】

もうちょっと粘ってくれたらこんなことになってなかったのに、ちゃんと止めてくれよ・・・白銀・・・

−−−−−−−-−−−−−−

回想を終える、まあ何はともあれ

「どうして止めてくれなかったし・・・・。」
【話を聞かないあなたが悪いのです、日本のことわざで言うなら自業自得、というやつです】

・・・・にべもない
まあいいさ、一日で来てくれるとは、まさに僥倖だ、一応前もって話された仕事の内容をおもいだす
ある機密物資を奪取しようと目論む輩を迎撃せよ、報酬と猶予は一週間、こんなところだったはずだ
一度痛めつければ戻っては来なくなるだろう、というクソ甘い推測付きだったはず
予防策は打っておいたし、言いがかりを付けられても言い返せる、物資なんざどうでも良い、大したもんじゃねーんだから

せっかくこんな状況になったのでノリノリで言い放つ、どうせバイザーで隠れてる、なりきってたら女か男か分からないだろう

「あなたを倒して、私は自由を手に入れますわ、消えなさい!イレギュラー!」
「てめえ・・・・!上等だぁッ!!」

乗せられやすい性格らしい、売り言葉をホイホイ買ってくれる
ちなみに今の俺のIS<ディスタンス・ディザスター>は通常状態だ、
<メルト>や<破刃>は装備されてはいない、アレは特別パックの装備だからな
代わりに初期装備として装備されてるのは、アサルトライフル<AR−734G−IS>と近接ブレード<キリサキ>、そしてハンドグレネード<ミカズチ>等、結構数が多い
ちなみに<ノブレスオブリージュ>にはブースタが付いてたりしてる、高機動戦用だよね今の装備、室内なのに

そんなことを考えているとタコ女が先手を打ってきた、タコ足のうちの一本が俺に向かって飛んでくる
刹那、俺の右手には<キリサキ>が展開され、居合の要領で振り抜く
次の瞬間、タコ足のうちの飛んできた一本が斬り飛ばされていた

「・・・・。」
「なっ!・・・クソがぁッ!!」

顔真っ赤して襲いかかってきた、タコ足を器用に操り猛攻を仕掛けてくる
一見して、完全にクレイドの方が追い詰められている、と思うだろう、しかし

「ハハハァ!さっきまでの威勢はどうした!?クソガキィ!」
(なんだこいつ、お粗末過ぎる、防御の事なんて丸で考えてないじゃねーか、何のための八本足だよ、ったく、よっと。)

イグニッションブーストで一瞬にして背後に廻りアサルトライフルを零距離でぶっ放す、素人ができる事ではない、
思ったよりダメージは低い様だ、一瞬で俺は距離を取る、あちらはすぐに体勢を立て直す

「チッ・・・、ちょこまかと逃げ回りやがって!!黙って串刺しにされろ!クソガキ!」

苛立ちつつも自分が優勢な事をどうやら確信しているらしい、まだ余裕を見せるタコ女
俺を突き刺そうとビュンビュン足を飛ばしてくる、適当に<キリサキ>でいなしていく、と、突然通信が入る

『仲間が助太刀にくれば面倒だわ、ワンオフアビリティーのテストがてら撃退しなさい、クレイド。』
「えー・・・・、あれ結構苦手なんですけど・・・・。」
『いいからやる!−−−−それとも報酬が欲しくないの?』

クレイドはハァとため息を付く、・・・いくら何でもそれを人質はずるいっすよ、と呻きながら

「いけるか?白銀」
【問題ありません、ワンオフアビリティー、オーバードサポートシステム、起動します】
「あ?何やってんだてめ・・・っ!!」

視界がさらにクリアになり、判断力、体力が上昇する、次の瞬間、俺は一瞬でタコ足をバラバラに刻んでいた、それと同時に、近辺に他のISがいることも気づいた
敵のタコISの足のパーツが爆散する音が部屋に響く

「てめえ・・・!このオータム様を・・・!コケにしようってえのか!!」

憎ましげに、ギロリとこちらを睨んでくる、しかし−−−−−−それは残像だ
俺は一瞬でオータムとやらのISに肉薄する、オータムもハイパーセンサーの警告で気が付いた様で目を丸くしていた、呟きが聞こえる

「そんな・・・・死ぬってのか、俺様が・・・!」

だが、その言葉は現実とはならなかった、オータムとクレイドの間を光が駆け抜ける

「・・・・やっと来たか、サイレント・ゼフィルス、いつまで隠れているのかと思ってたぜ、ああ、そうそうあんたは引け、タコ女。」
「・・・・・・・一旦引け、オータム、貴様ではこいつの相手は勤まらん。」
「んだと!クソガ・・・。」
「「いいから引け!!」」

二人の少年少女に怒鳴られる、・・・・かなり扱いが酷いね
しょんぼりとして帰っていくオータムを見届け、もう一度意識を互いに向ける
先に口を開いたのはサイレント・ゼフィルスだった、

「いい加減、無駄な装いは止めたらどうだ。」
「その口ぶりからすると、あーあー、うん、ほぼ最初からいたみてーだな。」

ボイスチェンジャーを解除し言葉を続けるクレイド、口をつぐみ、その端を持ち上げるサイレント・ゼフィルス
両者は動き出す、敵を破壊するために

先手を取ったのはビットを飛ばしたサイレント・ゼフィルスだった、あらゆる方向にビッドを操作し撃ち落とそうと偏向射撃も使用し連射してくる、
対するOSS状態のクレイドは三次元機動を楽々と応用しあっという間に距離を詰める

「−−−−−頂く!」
「させるか!」

超高速で飛んでくる<キリサキ>を銃に付いている剣で弾くという芸当をやってのけ、至近距離のビッドによる連射を躱しつづける、常人のついていける戦闘ではなかった
そんな戦闘がせまっ苦しい室内で収まるはずもなく、やがて屋外へと押し出される二人
サイレント・ゼフィルスに乗る織斑マドカは初めての感覚に襲われていた

(・・・・!フフッアハハハハハハッ、・・・楽しい!)

事実、戦闘の天才として生まれてきた織斑マドカはこうまで拮抗できる戦士と会ったことが無かった、故に始めて抱いた感覚
惜しみもなく声を上げる

「フフフアハハハハハハッ、楽しい、楽しいぞ!ディスタンス・ディザスター!!」


一方、システムサポート状態のクレイドは焦りを感じ始めていた

【もう少しでOSSが切れます、決着を!】
「わからいでか!こいつ超強いぞ!」

先ほどから被弾こそしていないものの幾度斬りかかっても当たりはしない、
クレイド達はいつの間にか精神的に敵に追い詰められていた
隙を付いている筈なのに何故当たらない・・・・!?
オマケに追加ブースターと化した<ノブレスオブリージュ>の活躍ができる場所で戦っているはずなのに・・・!

「ゼラァアァァアアアァァッ!!」
「イィヤアァァアアァァァァッ!!」

ギィンッ、ガァンッ、バシュウッ、バシュンッ
繰り広がられる銃撃と剣戟の応酬、そこに終止符を打ったのは

【限界時間です、オーバードサポートシステム強制終了します】
『M、時間よ、引きなさいな。』

二人に関係ない都合によるものだった
マドカは舌打ちし、言い残す

「・・・・・貴様とは決着を付ける、いつか、必ずな。」
「・・・・・・。」

別れる両者、どちらも直感していた、いずれコイツとはもう一度会うことになる、と

−−−−−−−−合流まで76日

<あとがき>

・・・・オータムさんの扱いが思ったより酷いかも?
でもそんなの関係ねぇ!、いっつまいじゃすてぃす
気に入ってないってわけでも無いですし、
展開的に彼女にはああなってもらってほしかったダケー
フロム脳がつげている、オマケを出すべきだと・・・・

てなわけで<オマケ>

「ふええええん・・・、すこーるぅ・・・・、マドカがひどいんだぁ、みんなしてわたしをいぢめてくるぅ。」

幼児退行したオータムを割と本気で愛でているスコール、どうやらボコボコにされてきたらしい

「おちついて?オータム、ほら、ココアを飲みなさい?落ち着くわよ。」
「うん、すこーる、やさしい・・・。」
「落ち着いた?」
「うん、すこーる、今日は隣でねても・・・いい?」

そう言って小首を傾げるオータム、普段の気丈な彼女がこんな事・・・・

愛らしすぎてスコールがオータムを抱きしめながら鼻血を出して寝ていたのは後日談となる

−−−−−−−−−−−−−本日のまとめ、ギャップかぁいいよギャップ



[28619] IS<インフィニットストラトス> the other part6
Name: 青い虫さん◆c2b4dfe9 ID:bba67529
Date: 2011/07/05 00:02
久々の我が家、フォートマン家にクレイドは帰っていた
どうやらあの戦闘の後、再度サイレント・ゼフィルスが強襲し、機密物資<剥離剤(リムーバー)>が奪われたらしい
もちろんA国は俺に対していちゃもんをつけてきた、しかしあらかじめ用意していた予防策、契約書を突きつけると
まぁこれも予想通りだったが−−−−−モルモットの癖に何を言う!と憤慨した様子で剥離剤を開発した研究員が当り散らしてくる

『ほう、私の息子が、モルモット、と?』

すぐさま親父がその憤慨した研究員を睨め付ける、・・・・やりたか無かったが少しは自由を持たせろって事だ
取り合えずその研究員には精神的に痛い目に会ってもらった
まあ研究所から遠ざけるくらいだ、やり方は親父に任せたのでどうなっているかは知りたくもないが
回想を終え、ところ変わって俺の部屋、ガチャリ、と扉を開け親父が入ってくる

「気分はどうだ?クレイド。」
「ああ、なかなかいい気分だよ、親父、ありがとな。」
「そうか、嬉しそうで何より、私も一肌脱いだ甲斐が会ったというものだ、・・・・さて、父さんは用事があるのでな、またゆっくり話そう。」
「・・・・・ああ。」

親父が”用事”と言うときは大抵良くないことが起こる、俺への加害者に
・・・・まぁ実はこういう事も有るから、できるだけ後ろ盾は使いたくないのだ、もちろんみっともないという面も有るが
できるだけ自立したいって事も有るけどやりたいことをするためには手段は選ばない、それが俺のポリシーだ

しかし、せっかくの休みを得たと言うのにクレイドの目はサイレント・ゼフィルス、クエイク・ファングとの戦闘データに注がれていた

(・・・・前者はOSSのサポートが有ったからこそのこれだけの善戦)
(後者は機体の装備に助けられただけだ、同じ条件だったら・・・・・やはり勝率はかなり低い、か・・・)

弾き出されたシュミレートデータを見てクレイドは嘆息する、そこには
対サイレント・ゼフィルス戦、勝率、10.725
対ファング・クエイク戦、勝率、12.0648
正直認めたくはない数字が表示されていた
どっかのバカみたいに女に負けてられるか、とかそんなプライドはクレイドにはない
ただ、これは正直結構くる、5ヶ月も地下にこもって練習していたのだ、それなりに自身はついていた
まぁたったの5ヶ月で最初は0%だった勝率を国家代表と最強の称号を持つ物のコピー相手にここまで引き上げたのだ、相手はそれの数十倍もの時間を費しているのに

だが事実は事実、クレイドは非常に落ち込んでいた
それを見かねたのか自我を持つISコア、白銀はフォローを開始する

【落ち込まないでください、クレイド、元々このISはOSSや追加パックの使用を前提とした試作機です】
【機体に組み込まれている物も見捨てられていた技術を使ったものが殆どであり扱い易さとは対極に位置したものです】
【故にそんなISを乗りこなしている貴方はレベルが高い、と私は思います】

「・・・あ、ああ、ありがとう、白銀。」

フォローされている事に気づくクレイド、白銀の口調がコンピュータの様な説明口調とはいえ
素直にレベルが高い、と言われたのだからいくら鈍感でも褒められていると気づくだろう

【それに、貴方らしく無いですよクレイド、今日を楽しみにしていたのですから、今日は色々挨拶に回るつもりだったのでしょう?】
「・・・・そうだな、いつも通りやろう、さ、いくぞ、白銀。」

だが

『悪いっ!補修で会えん!』

早速第一の親友に裏切られる、そして追い討ち

『昔の友達連中も俺と一緒に補修してるぞ?』
「はあ!?な、何したんだよ!?お前ら!」
『いやあ・・・それがさあ、バカやってて勉強忘れちゃってさぁ、テストボロボロなんだよ、・・・てへペろ!』

そうだった、いつもテスト直前で俺のところに駆け込む程馬鹿だった
おかげでいっつも何とか赤点を免れている様な感じ
俺が馬鹿だったんだな・・・・、放心状態になった俺は頼む勉強教えてーとか喚く携帯の通話状態を終了させる

「・・・・・どうしよう、早速計画破綻かよ・・・。」

そう言ってなすすべもなく部屋をぐるりと見渡す、そこで目に止まったのは-----かつての幼なじみととった写真だった
あまりのショックですっかり忘れていた

クレイドには週一の日課と月一の日課が有る
週一は親父との定期連絡、そして月一の日課はIS学園に入学した幼馴染ティナ・ハミルトンとの他愛もない会話だった
罪悪感は有るものの、自分がISを操縦出来ることは国からのお達しで話してはいないが
二人は紛れもない親友で、今も交友を続けていた
あの馬鹿供よりは確実だろう、と電話をかける、この前話した感じだと
・・・・今はポテチ食いながらティーンズ雑誌でも見てるんだろう、と勝手な見当を付け電話をかける
数回のコールのあと相手は出てくれる

『はい、もしもしハミルトンですが。』
「もしもし?オレオレ!」
ブツッ
あれ?回線を切られた、何か怒られるようなことしたっけ?気のせいであれば良いと思いつつもう一度電話をかける

『・・・・ハミルトンですが。』
「ティナ?クレイドだけど、今暇か?」
『・・・、最初っからちゃんとそう言いなさいよ・・・。』

呆れた様なティナの返事が返ってくる、・・・・俺何かしたかなあ・・・、テンション上がってた事は確かだが、ワン切りは酷くね?

『で?なに?』
「ん?例のごとく一ヶ月ごとの連絡だが?」
『今日は日のある内なのね、そろそろだとは思ったけど今回はやけに早かったわ。」
「ああ、暇をもらったからな、いくら難しい勉強でもそう毎日勉強づけじゃ人間腐るだろうって事で休暇をもらった。」
『で、あいつらに連絡したら赤点づけでどうしようもないから私に連絡したって所かしら?』
「・・・・・。」

図星だった、相変わらず第6感はさえているようだ

『あいつらもいつも通りなのねー・・・・、あ、うんじゃあねー鈴。』
「鈴・・・・ルームメイトか?」
『そ、よく覚えてたわね、今からデートだーって張りきってるわ。」
「んー・・・IS学園内なら男は一人だしそいつがノーマルなら相手は織斑一夏って所か。」
『あー・・・だから昨日織斑君がここにきたんだ、鈴には悪いことしちゃったかもねー。』
「・・・・はぁ、どうせ確信犯なんだろ?話しても仕方ない。」
『なかなか読みが良いじゃない、その通りよ。』

何というか・・・、取り合えず鈴とやらご愁傷様

「お前は・・・・相変わらずだな、まぁ安心したよ、いつも通りで。」
『私はいつでもこんな感じじゃない、忘れちゃったの?』
「忘れたくても忘れらんねえよ、一体何回それでからかわれたと思ってんだ。」
『えーと・・・・確か会った日から4362回ね。』
「出鱈目だろうが数えんな、趣味悪いぞ。」

こんな調子で表面的にはローテンションな会話を続けていく

「・・・・・っと、もう夕方か、ずいぶん時間が経つのが早かったな。」
『そうね、あんたと話しててこんなに続くのも久しぶりかもね?』
「茶化すなよ、そうそう、暇だから明日あたりそっち行こうかねぇ?」
『勝手にどーぞ、私は構わないから、どうせ明日も暇だし。』
「張り合いねーなぁ・・・・、まあいいや、んじゃ。」
『んー。』

顔を上げて時計を見る、時計は五時を指していた

「ずいぶん話してたんだな、一日の予定が全部埋まった、ってあれ?」

嫌な事に気づいてしまった

「こんなに話してたら通信料ヤバくね?しかもさりげなく国際通話・・・・、これは・・・。」

通信料ドン!更に倍!ってやつでは?・・・・・、ああ、次の定期連絡に般若の顔をした母さんの顔が見える・・・・
・・・・・俺オワタ?

あとがき

いつもどおり絶好調で妄想が逆流している青い虫さんです
今回、ちょっとテンションがまずいことになってます主に私が

楽しく書けたのかな・・・・、今更心配するって相当チキンっすよね
あはは・・・・




[28619] IS<インフィニットストラトス> the other part7(part6後編)
Name: 青い虫さん◆c00e24c6 ID:bba67529
Date: 2011/07/05 22:58

夜はまだ更けない。

----------

---やってしまった事はやってしまった事だ、そう開き直るクレイド。
フォートマン家は電話代だけで傾くほど軟ではないが、躾というものが徹底している。
これだけ使えばケジメをつけるもの、という考え方がために今この瞬間俺は覚悟を決めた。
事実寂しいが故に長電話をしたのは俺だ、非は完全にこちらにある、甘んじて罰は受け入れねばなるまい。
だが、

「…ただ今は許してくれ、母よ。」

良くも悪くも往生際が悪いのがクレイド・フォートマンの性格だ、今、こんな状況の様に。
折角この日常に戻ってきたんだし、遊びに行ってもいいよね!
……客観的に言えばダメ人間、と言わざるを得ない考え方だった、緊張感がまるで無い。

この街は夜からが本番なので今から外に出ても怪しまれはしない。
中学時代はよく悪友たち、もとい親友たちとこの辺をうろうろしていたものだ。
しみじみとしながら昔歩いた道をたどっていく、ここは国の中でも比較的犯罪率は低いので路地裏には屯してる奴なんか居ない。
ネズミだの野良猫をちらほら見かけるだけだ、普段は近道にするぐらいが関の山だろう。

「はろー。」
「はろー。」

なんか居た気がするけど気のせいだろう、挨拶されたし返しとくぐらいでいいか。

「むっ、この束さんを無視するとはいい度胸じゃないか、よし、解体してもいいってことだね?そこの君!」
「……は?」

突拍子もない事をのたまう通行人Aもとい、篠ノ之束博士。
いつも思うけど服装がアウトだよなぁ、今回はアリス…かな?相変わらずセンスが分からん。

「…相変わらずですね、篠ノ之博士、とりあえず謝りますから、後ろのそのでっかいのしまってくれません?」
「だが断る。」
「危ねぇっ!?」

バックステップをして巨大なアームを避ける、先ほどまでいたその場所には立派なクレーターが出来上がっていた。
間違いない、この女俺を殺す気だ、目が冗談じゃないくらい坐ってるし。

「あっはー、やだなあ、私が君を殺すわけ無いじゃないかぁ。」
「いやそれ殺気満々で殺しにかかってきた人の台詞じゃないですよね?」
「まあ肩の力を抜きなよ、久々の再会だよ?」

再会の挨拶で殺しにかかる人が居るものか、殺人狂じゃあるまいし。
目の前にいるのは篠ノ之束博士、ISを開発した張本人だった。
俺との付き合いは親父の開発室にたまたま居すわっていたところを結構な時間話しをしただけ。
しかし彼女の方は俺を気に入ったらしく、名前を覚えて貰えた。
しかし、今大事なことはそんなことじゃない。

「で、神出鬼没な貴方がわざわざ俺の方に来るってことは…。」
「うん、何故君がISを操れるのか、だよ?いっくんにも聞いたけど、さっぱり分かんないから解体させて?ミリ単位まで。」
「何考えてんのか分かりませんけど、とりあえずお断りします、いまここで解体されるわけにはいきませんから。」
「えー。」

いや、えーじゃないでしょ、常識通じないのは知ってるから突っ込まないけど。
それに気にかかることもあった。

「篠ノ之博士。」
「束さんとお呼び。」

ベゴン、アスファルトに穴が開く、いい加減にしまえと。
ちなみに威力については知っているので高速で反応して回避済みだ、わざわざ当たる必要もない。

-------------

さっきの場所では落ち着いて話せないので場所を変えた、あるさびれた店の玄関口で腰を下ろす。
先ほど買ってきたジュースを差し出す。

「野菜ジュースとコーラです、どっちがいいですか?」
「ん、野菜ジュースで。」

俺は手っ取り早くコーラを飲みほし女性らしく野菜ジュースをちびちび飲んでいる束さんに本代をぶつける。

「束さん、ここに来たのは他のこともありますよね?」
「どういう、意味かな?」

すうっと束さんの目が細くなる、うすら笑いを浮かべてはいるが目は全く笑って無い。
”ビンゴ”だ。

「白銀の事ですよね?」
「ふう…、ふぉーちゃんにはかなわないね、その通りだよ。」

ふぉーちゃん…?え?俺?お構いなしに束さんは話しを続ける

「私が作った”ネクストコア”、白銀はネクストコアとしては完成されてたんだけど、本当の意味でマッチングする人が居なかったんだよね。」
「本当の意味で…?」
「うん、白銀は今までに無い私の最高傑作、でも廃棄しようとしたのはこれが理由なんだよ。」

そう言って、母親の様な大人びた表情で俺の首元にあるネックレスをなでる束さん。

「本当にマッチングする人がいて良かった、…”これ”は計画に絶対必要なものだから…、っとなんでも無いよ?」

そう言って二コリ、と笑う束さん、最後の方は俯いて呟いたので良く分からなかったが、不吉な予感を体に刻みつけられる。
ある意味束さんのこの笑顔だけは絶対に信用がならない。

「そう言えばフォーちゃんは白銀の声が聞こえてるんだっけ?」
「あ、ええ、話しましたっけ?」
「ううん、盗聴した~。」

にへへ、とか言ってるよこの人、よくもまああの要塞に盗聴器つけれたな。
あとで処理してもらわないと。
まぁそんなことは二の次で良い、気になる事を束さんに聞く。

「とりあえず、声が聞こえてるって何かあるんですか?」
「ああ、うん、それが本当に同調してる証なんだよ、よかったよかった。」
「…まあ、白銀とも友達になれましたしそう言う意味でも良かったとは思いますけど。」
「そっか、友達、か。」

………?なんか引っ掛かる言い方だな、寂しげに微笑んでいる。

「ノブレスオブリージュ、って言葉の意味、分かる?」
「”選ばれた者の義務”ですか、それがどうしたんですか?」

バレンタインデイ、チョコを渡された男がホワイトデイにその女の子にチョコを返す、という義務、とかに当てられる言葉だったかな?

仏語で直訳は高貴さは義務を強制するという意味だけど、まあこんな感じの捉え方でいいだろう。

------しかし、何のことだろう、アンロックユニットの名前もあるだろうけど、命名が束さん---とか?

対する束さんは満足そうに目を細めて笑ってくるだけで何も答えない。
相も変わらずこの人は何を考えているのかさっぱり分からない。

「たばねさ……。」
「さて、私はもう行こうかな、あ、そうそう。」
「………なんです?」
「そんな邪険にしないでよ、フォーちゃん。」
「はい。」











「------------------?」









その言葉をつぶやくと同時に、束さんは忽然と姿を消していた。

「……………言われなくたって分かってますよ。」

少し拗ねたように俺は呟き、帰路につく。
束さんが残した言葉を胸に刻んで。

――――――――――――――――――――――――――――合流まであと75日

<あとがき>

なんか私は逆流しすぎておかしなことになってきました。
束さんはミステリアスなキャラが良く似合いますね、
キャラがふわふわなキャラは結構扱いが難しい気がします。
無能?……ですよね……orz

白銀には今回は黙って貰うことにしました、
この子が噛むと一気にややこしい事になっちゃうから
やっぱり私が無能なだけですけど




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