(2011年7月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ジョン・ポールソン氏率いるヘッジファンド、ポールソン・アンド・カンパニーが、2008年の米リーマン・ブラザーズ破綻直後から2千回以上取引した同社社債を巡り、5億5400万ドルの利益(訴訟費用の差し引き前)を得ることになった。フィナンシャル・タイムズ紙の裁判資料分析によって明らかになった。
■2億9000万ドルで額面40億ドル分確保
史上最大の経営破綻となったリーマンの債権者間の係争はポールソン陣営の熱心な交渉もあって合意に達した。資産380億ドルの同ファンドはここ数カ月、運用成績の低迷や判断ミスが目立っていただけに待望の勝利だった。
最終合意によると、債権者はリーマン社債の額面1ドルあたり21.1セントを受け取るという。リーマン側は当初、17.4セントを提案していた。
ポールソンが保有する同社債の平均取得価格は1ドルにつき7.3セント。純額で2億9000万ドルを支払い、額面40億ドル分の社債を手に入れたことになる。
同社は2008年9月15日に1ドルにつき35セントでリーマン社債を購入した。その後価格は下落し、2年半の間に8億9000万ドルを投入して額面68億ドル分を買い増した。2009年後半に一部を利益確定のために売却し、ポジションはさらに改善した。
これに対して、ヘッジファンドのファーツリーは差し引きで3億4000万ドル、1ドルにつき22.7セントの支払いで額面15億ドルのリーマン社債を保有。タコニック・キャピタルは同様に21.0セントで額面20億ドル分を保有している。
■利益がさらに膨らむ可能性も
1日の市場で同社債は26セントを付けた。債権者間の合意や社債売却成功に伴いリーマンの残りの資産価格が上昇し、債権者全員にとって市況回復が進むとの期待が背景にある。ポールソンがこの価格でリーマンの社債を売却できれば、利益は7億8000万ドルに上昇し、運用成績の暗転に悩まされてきた最近の流れを断ち切ることができる。
ポールソンは、会計の粉飾疑惑で提訴された中国の木材事業会社シノフォレストへの投資で、5億6200万カナダドル(5億8500万ドル)の損失を被った。また昨年10月に発表した英食品大手プレミア・フーズの12%株式取得では、先月30日の業績下方修正後、株価が約23%も下落した。
リーマンの経営破綻を巡る利益は、久々の成果。ポールソンはリーマン社債保有者グループの一員で、他のメンバーには米最大の公的年金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)、世界最大の債券ファンドを運用するピムコなどがある。これら大手運用機関は2008年よりずっと以前に額面金額で社債を取得している。
By Dan McCrum and Telis Demos
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