バンコク(CNN) 3日投開票のタイ総選挙(定数500)で、タクシン元首相派の最大野党・タイ貢献党がアピシット首相の民主党を下し、過半数の票を獲得した。これを受け、元首相の妹インラック氏が女性初の首相として就任する見通しとなった。
貢献党は同日夜、開票率90%余りの時点で262議席を確保。アピシット首相はインラック氏の勝利を認め、敗北を宣言した。インラック氏は最終結果が発表されるまで勝利宣言はしないと述べる一方、「まず取り組みたいのは経済状況の改善だ」と語った。
貢献党本部の前では、支持者らがタクシン元首相の姿を描いた旗を振って勝利を祝った。元首相は軍の無血クーデターで失脚して汚職の罪などで訴追され、海外で逃亡生活を続けてきたが、同党は今も元首相を熱烈に支持し、帰国を望んでいる。インラック氏は元首相の指示通りに動くだけだろうとの見方もあるが、同氏はこれを否定してきた。
タクシン元首相は滞在先ドバイで記者団に「帰国したいのはもちろんだが、機が熟すのを待つ」と語った。
元首相派と反元首相派の対立は同国社会に大きなしこりを残しているものの、国民にとっては経済問題が最大の関心事だ。これを反映して、選挙戦では両党とも経済回復、教育無料化、最低賃金の大幅引き上げなどを掲げた。一方専門家の間には、これらの公約をすべて実行するには同国の国家予算の5倍の費用がかかるなどとして、現実性を疑問視する声もある。