2011年7月5日0時39分
九州電力玄海原発2、3号機の再稼働を巡り、佐賀県玄海町の岸本英雄町長が九電に再開容認の判断を伝えた4日、町には反原発団体による抗議が相次いだ。また、県は、容認姿勢を見せる古川康知事への抗議活動を警戒して県庁舎の一部の玄関を閉鎖した。
玄海町では、地元住民らでつくる「玄海原発対策住民会議」の藤浦晧会長が「住民、県民の誰一人として玄海原発の安全性が確認されたと考える人はいない」と、再稼働容認への抗議と撤回を求める文書を岸本町長の前で読み上げた。
同会の仲秋喜道・副会長(81)は「福島第一原発の3号機のプルサーマル発電の問題が全く解明されていない中で、同じプルサーマル発電をしている玄海原発3号機の安全が確保されたというのは、空疎な響きしかない」と語気を強めた。
また「玄海原発プルサーマル裁判の会」(石丸初美会長)と「プルサーマルと佐賀県の100年を考える会」(野中宏樹・共同世話人)も「周辺自治体の意向を無視し、再稼働を容認することは多くの人々の命を危険にさらすことになる」とする容認反対の要請書を町に手渡した。
県庁はこの日、反・脱原発団体の抗議行動に備え、朝から庁舎への出入り口を制限。本館と新行政棟の通用口など5カ所を閉鎖した。玄関にも警備員や職員が立って来庁者に用件を聞くなど警戒に当たった。
県ダイイン有志の会(味志陽子世話人)のメンバーは県庁新行政棟玄関を訪れた。担当者に2、3号機再稼働の認可をしないよう申し入れ、その後、ロビーに横たわってダイインしようとしたが、職員が取り囲んだため断念した。
味志世話人は「過剰反応で異常だ。こんなことをする知事を選んだのが恥ずかしい」と話した。有志の会が退去後、午後からは新行政棟玄関も閉鎖した。
また「再生可能エネルギーをすすめる会」(高柳淳子共同代表)は県庁近くの佐賀商工会館で、県職員に対し、知事宛ての玄海1号機停止などを求める要望書を手渡した。(田中良和、上山崎雅泰)
日本で起きた原発事故に、世界で最も敏感に反応した国がドイツだ。原発の運転延長を決めたばかりだったメルケル政権は、2022年までの全廃を決めた。脱原発へと百八十度かじを切った背景は?