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2011年 01月 10日
新年明けましておめでとうございます。どれだけ読者がいるかは判りませんが、今年はもう少し更新頻度を上げて行きたいと思います。今年も引き続きよろしくお願いいたします。
さて新しい年になったので、2010年のリーグテーブルに関するネタを1本書きたいと思います。リーグテーブルと言うと投資銀行各社が自分たちの順位を良く見せるために"創造的な"切り口を用いて、順位をひねり出している傾向がありますが、今回は極力恣意性を抑えたリーグテーブルで2010年の投資銀行ビジネスを紹介したいと思います。最初にリーグテーブルの切り口に関して説明し、その上でリーグテーブルを紹介し、最後に感想を少し述べたいと思います。 【1. 切り口】 今回のリーグテーブルはグローバル/日本のM&A/エクィティファイナンスの計4種類のリーグテーブルをブルームバーグより取得しています。それぞれより正確に説明すると、M&Aは2010年に発表され、ペンディングもしくは完了となった案件で、日本に関しては、買収者、売却者、対象企業のいずれかが日本企業の案件としています。エクィティファイナンスに関しては、グローバル株式とエクィティ・リンク債をグローバルとし、日本に関しては、日本株式とエクィティ・リンク債としています。(日本株であっても、グローバルオファリングは日本のリーグテーブルには含まれず、日本国内でオファリングした額のみが含まれます。) 多少細かく書きましたが、要するに極力範囲を広く取ることで本当に実績のある投資銀行を把握することをコンセプトにした切り口となっています。結局、投資銀行の実績には様々な測り方がありますが、投資銀行部門の実績を見るのであれば、今回のリーグテーブルは比較的本質に近い見方であると考えています。(財務諸表からでは、全社のほんの一部に過ぎない投資銀行部門の業績を見ることは難しく、各種アウォードやMBA卒業生ランキングは主観的だと思われます。) 【2. リーグテーブル】 (グローバルM&A) 1. Morgan Stanley 2. Goldman Sachs 3. JP Morgan 4. Credit Suisse 5. Barclays Capital 6. UBS 7. Deutsche Bank 8. Bank of America Merrill Lynch 9. Citi 10. Lazard (グローバル・エクィティファイナンス) 1. Morgan Stanley 2. JP Morgan 3. Goldman Sachs 4. Bank of America Merrill Lynch 5. Citi 6. UBS 7. Credit Suisse 8. Deutsche Bank 9. Nomura Holdings 10. Barclays Capital (日本M&A) 1. Nomura Holdings 2. JP Morgan 3. Daiwa Securities Group 4. Morgan Stanley 5. UBS 6. Bank of America Merrill Lynch 7. Goldman Sachs 8. Deutsche Bank 9. Citi 10. Barclays Capital (日本エクィティファイナンス) 1. Nomura Holdings 2. Mizuho Financial Group 3. Goldman Sachs 4. Sumitomo Mitsui Financial Group 5. Daiwa Securities Group 6. Bank of America Merrill Lynch 7. JP Morgan 8. Citi 9. Mitsubishi UFJ Financial Group 10. Barclays Capital Source: Bloomberg 【3. 感想】 色々とランキングを見ていると面白い点がありますが、その幾つかを取り上げたいと思います。まずグローバルで見るとまず目立つのはモルガン・スタンレーがいずれも首位であることが挙げられます。最近の業績や、国内外のメディアからはどちらかというとゴールドマン・サックスが最強の投資銀行というイメージがありますが、少なくとも投資銀行部門の2010年のランキングからは、モルガン・スタンレーの投資銀行部門の方が実績は上回っています。ただ、M&A、エクィティ・オファリングのいずれにおいても2位、3位にゴールドマン・サックス、JPモルガンが付けており、この3社の実力が伯仲していると考えて問題ないと思われます。 一方、国内に目を向けると野村の圧倒的な強さが目につきます。今回はシェアは割愛していますが、M&A、エクィティファイナンスいずれにおいても、野村が他を圧倒的に引き離していました。実際、私が投資銀行に勤めていた時も、国内での主幹事証券(大型のエクィティファイナンスであれば通常2、3社の主幹事を入れるのが通例)選びの際は、「野村を入れない理由が無い」というような風潮があり、不動のトップといった具合でした。外資という点においては、M&Aは2位にJPモルガン、4位にモルガン・スタンレー、エクィティ・ファイナンスにおいては、3位にゴールドマン・サックスとお馴染に顔ぶれとなっています。また、これは例年のことではありますが、外資系のエクィティ・ファイナンスの案件数はきわめて少なく、例えば今回3位のゴールドマン・サックスであれば、僅か5案件(みずほ、SMBC、INPEXなど)で3位となっています。(野村は52件。)結局、外資系の場合は、内資系に比べて(人件費が高いこともあり)、かなり小さい組織で業務を回しているため、大型案件狙いになる傾向が強く、このような結果につながっていると考えられます。 特に就職・転職活動の際は内定を得ることに焦ってしまい、外資系投資銀行ならばどこでもいい、と思いがちですが、やはり例年、リーグテーブルの上位に位置する会社と10位にもランクインしない会社ではかなり勝手がことなると思いますので、投資銀行選びの際は、リーグテーブルも一つの参考にするのは良いかもしれません。(ネットで検索してもそれなりにリーグテーブルは検索されます。) それでは。
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