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きょうのコラム「時鐘」 2011年7月5日
コメの先物取引が来月にも72年ぶりに復活する。農家や流通業者が価格変動リスクを回避できるようにと、農水省が東京と大阪の「試験上場」の申請を許可した
江戸期に大阪の堂島で誕生したコメの先物取引は約200年以上続き、戦時中に姿を消した。その復活だから歴史的な出来事である。もっと論議されてもいい。JAは「投機的マネーゲームである先物取引は大問題」と反対、自民党も「将来に禍根を残す」と抗議している 堂島の米相場は加賀藩が北陸のコメを北前船で大阪に直接運んだことなどで市場が育った。いわゆる西回り航路が開発されるのが1672年、加賀藩はその30年以上も前から日本海・瀬戸内ルートで藩米を大阪に運んだ 折も折、震災支援のメッセージをのせて、青森から北前船の復元船が来月、金沢や富山にやってくる。2005年に進水した復元船の本格的大航海は初めてだという。かつて一航海で一財産を築くことができたという北前船は、遭難すれば損害も大きく、いわば「博打(ばくち)」だったという よみがえる米相場の夢が、経済の新たな博打にならないよう祈る。 |