リビア:反体制派支配下の2油田 生産再開めど立たず

2011年5月10日 17時57分

 【ベンガジ(リビア東部)和田浩明】リビア情勢を巡り、政府軍の先月の爆撃で損傷した同国最大級のサリール油田など反体制派の支配下にある2油田で、生産再開のめどが立たないことが分かった。反体制派はリビアの東半分を支配しており、2分割された形の国営石油会社(NOC)の反体制側の責任者、ワヒド・ブガイギス氏(74)が毎日新聞に証言した。

 原油は反体制派の主要外貨獲得源やエネルギー源で、生産停止の長期化は、政府軍との戦闘継続や市民生活の維持にとって大きな打撃となりそうだ。

 反体制派支配地域の南部には、サリール、メスラの2油田(原油確認埋蔵量計約150億バレル)がある。政府軍は4月4~5日に両油田を攻撃し、日量10万バレルとされる生産は完全に停止した。

 ブガイギス氏によると、両油田では依然「損害を調査中」だが、「修理を再開できる状況にない」。施設周辺には反体制派の警備部隊が展開しているが、再び政府軍が攻撃した場合、防御できるかは不透明だ。「(油田がある)砂漠地帯は広大だが、政府軍は少人数の部隊に分かれて移動しており、攻撃を防ぐのは難しい」という。

 反体制派は、支配下の同国東部の原油積み出し港トブルクに貯蔵されていた原油約100万バレルを輸出して約1億ドル(約80億円)を得たと見られるが、2油田の生産途絶により、新たな収入を得る見通しは立っていない。

 ブガイギス氏によると、戦闘などの資金はカタールやクウェートなどの支援でしのいでおり、当面の石油需要は賄える。ただし「国連決議で凍結されたリビア政府資産の利用が許容されることが望ましい」とし、「戦時なのに市民のガソリン消費などに規制はなく、今後個人の努力を含め消費を抑えていく必要がある」とも述べた。

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