2011年5月10日 18時6分 更新:5月10日 23時47分
【カイロ斎藤義彦】北大西洋条約機構(NATO)主導の多国籍軍は10日、リビアの首都トリポリの政府施設を空爆した。カダフィ政権側は子供4人が負傷したと非難した。NATO側は「証拠がない」と反論した。NATOは4月30日のトリポリ空爆で、カダフィ大佐の六男と孫3人を殺害して以降、政府の中枢施設を爆撃する威嚇作戦は控えていたが、10日ぶりに再開した。背景にはカダフィ政権の徹底抗戦を崩せない苦しい事情がある。
政権側によると、空爆で破壊されたのは児童関係の委員会が入るビル、大佐用図書施設、携帯電話の電波塔など。近くの病院の窓も割れた。爆発の破片で負傷した子供4人のうち男児(4)が重体。
NATO側は10日の会見で、「軍事関連の司令施設を空爆した」とし、子供を含む市民が負傷したとの情報は「確認できない」と述べた。大佐を狙った意図については「個人は標的でない」と否定した。
NATO側は先の大佐の親族殺害について「意図的な誤爆」(英BBC)との見方も出る中、中枢施設空爆を控え、明白な軍事施設だけを空爆してきた。
しかし、政府軍が各地で攻撃をエスカレートさせている。NATO側は大佐親族誤爆後も「やるべきことはある」(ラスムセン事務総長)と攻撃強化姿勢を変えていない。