高年齢者雇用:「65歳定年」要請へ 厚労省研究会

2011年5月9日 23時42分

 厚生労働省の「今後の高年齢者雇用に関する研究会」(座長・清家篤慶応義塾塾長)は9日、法改正により定年年齢を今の60歳から65歳へ引き上げることを検討すべきだとする報告書の素案を大筋了承した。定年延長が困難な場合でも、65歳までの雇用を確保する「継続雇用制度」を守っていない企業名の公表など、規制強化を求めている。同研究会は6月に報告書をまとめる予定で、同省は報告書を厚労相の諮問機関、労働政策審議会に諮り、高年齢者雇用安定法の改正を目指す。

 同研究会が定年年齢を65歳に引き上げるよう求めるのは、かつて60歳だった年金の支給開始年齢が段階的に65歳へと引き上げられているためだ。男性の場合、13年度から基礎年金に相当する「定額部分」が全面的に65歳支給となり、「報酬比例部分」の支給開始年齢も引き上げが始まる。そこで素案では、定年年齢について▽13年度に65歳へ引き上げる▽年金の報酬比例部分の引き上げに合わせ、13年度から段階的に引き上げる--の2案を示した。

 一方、素案は経済界の反発を織り込み、定年延長ができない場合も想定している。現行の継続雇用制度は、再雇用などで希望者全員の65歳までの働く場確保を義務づけているが、労使協議で基準を設け、対象者を絞ることができるなどの「抜け穴」もあるため、基準制度の廃止や違法企業名の公表を検討するよう求めている。

 厚労省の調査(10年6月)では、全企業の96・6%が65歳までの雇用確保策を導入しているが、うち83・3%は継続雇用制度で対応している。【鈴木直】

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