2011年5月9日 19時53分 更新:5月9日 21時30分
東日本大震災で壊滅的被害を受けた宮城県南三陸町で9日、仮設住宅への入居が始まった。10日には公立小中学校の始業式がある。住民の多くが家族や自宅、仕事を失うなかで生活再建に向けた一歩を踏み出した。
同町では津波で1173人が死亡・行方不明になり、約3900戸の民家が流された。仮設住宅は、同町戸倉の「県志津川自然の家」敷地内の81戸で、冷蔵庫や洗濯機などを備えている。
被災者らは鍵を受け取った後、衣類や台所用品などを搬入。「やっど畳の部屋さ寝られる」「友達がいっぱいいたらいいな」と話し、笑顔を見せた。
津波で自宅を失った三浦徳義さん(47)は母かつ子さん(72)、妻芳子さん(46)、町立戸倉小6年の長女智香さん(11)の3人と入居した。長男の辰徳君(当時13歳)は町立戸倉中の生徒で唯一、津波の犠牲になった。
三浦さんは「建築制限にかかり元の地域に家を建てられないのは歯がゆい。地域住民と集落の再建を考えたい」と語った。
町によると、計1850戸の仮設住宅が必要だという。1000戸分の公有地を確保しており、残る敷地を海岸近くの民有地で賄おうと、地権者らとの交渉を続けている。【中尾卓英】