土星:衛星「タイタン」…40億年前、隕石衝突で大気

2011年5月9日 2時1分 更新:5月9日 7時25分

米欧の共同探査機カッシーニが2004年撮影した衛星「タイタン」の姿。大気によってもやがかかったように見える=NASA提供
米欧の共同探査機カッシーニが2004年撮影した衛星「タイタン」の姿。大気によってもやがかかったように見える=NASA提供

 太陽系で地球以外に唯一、厚い窒素の大気圏を持つ土星の衛星「タイタン」について、大気が生じたのは40億年前に巨大な隕石(いんせき)が衝突したためとの研究成果を、東京大の関根康人助教(惑星科学)らがまとめた。なぜタイタンにだけ大気があるのかは謎だったが、隕石衝突によって地表のアンモニアを含む氷が解けて窒素ができたと想定、レーザーによる実験とコンピューターシミュレーションで、この想定の合理性を確かめた。8日付の英科学誌「ネイチャージオサイエンス」電子版に論文が掲載された。

 ◇東大助教ら研究成果まとめ

 地球では、星の形成時の高温で、アンモニアから窒素が生成したとされる。ところがタイタンは過去に高温になっておらず、アンモニアがあっても同じ仕組みでは窒素は生じない。一方これまでの研究で、月の地表の分析から、40億年前に太陽系内で多数の巨大隕石が生じ、惑星や衛星に何度も衝突した可能性が高いことが分かっている。このため関根助教は、隕石衝突時に窒素が生じたのではないかと考えた。

 実証のため、タイタンの地表に似せたアンモニアを含む氷に、レーザーを使って金の合金をぶつける実験装置を開発。隕石の衝突速度に近いと考えられる秒速10キロでぶつけると、ほぼ100%のアンモニアが窒素に変わった。関根助教は「タイタンでは、地球とは異なる仕組みで大気が生じ、他の星より(窒素が気体として存在できる)温度の条件が整っていたので大気の状態で残ったのだろう」と話している。【野田武】

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