福島原発:想定外地震・津波への対策不十分…浜岡停止要請

2011年5月8日 9時10分 更新:5月8日 10時35分

 政府が浜岡原発(静岡県御前崎市)の運転停止を中部電力に要請したことについて、「他の原発についても運転を止めて抜本的な安全対策をすべきだ」との指摘が専門家から出ている。政府は、国の地震調査研究推進本部(推本)が公表した各原発付近の地震発生確率の中で浜岡が突出していることを根拠としたが、近年は想定外の被害が相次いでいる。電力各社が国に提出した津波に関する緊急安全対策も、最長で3年がかりの取り組みとなり、その間に起きる想定外の地震や津波に対する防護策としては不十分なのが現状だ。

 浜岡原発に停止を要請した理由について経済産業省原子力安全・保安院は、30年以内に震度6強以上の地震が発生する確率が「84・0%」とした推本の予測を公表。他の原発に比べて10倍以上高いためと説明した。しかし、「原発震災」の危険性を警告してきた石橋克彦・神戸大名誉教授(地震学)は「浜岡ばかりに目を奪われていると他の原発の危険を見落とす可能性がある」と指摘する。

 今回公表したのは、今年1月時点で推計した全国17カ所の商用原発と高速増殖原型炉「もんじゅ」付近の確率で、最も高いのが浜岡の84%。他は東北電力女川原発の8・3%、日本原電東海第2原発の2・4%など。福島第1は0%だった。

 保安院は推本の評価を「一番信頼性の高いデータ」としてきた。だが、00年10月の鳥取県西部地震(マグニチュード=M=7・3)や08年6月の岩手・宮城内陸地震(M7・2)など、被害を伴う内陸地震の多くが未知の断層で発生するなど、「想定外」も相次いだ。4月11日に福島県東部で起きた、東日本大震災の余震とみられるM7・0の地震も、推本が評価対象から外した二つの断層が原因であることが、土木研究所などの調査で判明している。

 石橋名誉教授は全国の原発について▽活断層の有無や連動性▽津波の規模--などを多角的に分析し、第三者機関が公開で議論することが望ましいと提案する。【比嘉洋、八田浩輔、飯田和樹】

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