世界遺産:文化遺産に平泉、自然遺産で小笠原、登録へ

2011年5月7日 11時21分 更新:5月7日 12時44分

「平泉の文化遺産」が世界遺産に登録される見通しが強まり、笑顔で会見に臨む菅原正義平泉町長。後方は中尊寺金色堂内部のポスター=岩手県平泉町の同町役場で2011年5月7日午前10時、石井諭撮影
「平泉の文化遺産」が世界遺産に登録される見通しが強まり、笑顔で会見に臨む菅原正義平泉町長。後方は中尊寺金色堂内部のポスター=岩手県平泉町の同町役場で2011年5月7日午前10時、石井諭撮影

 世界遺産の登録への可否を専門家が事前に審査する国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス、本部・パリ)は7日(現地時間6日)、日本が再推薦した「平泉」(岩手県平泉町)について、世界文化遺産として登録を求める評価結果を勧告した。また、小笠原諸島(東京都小笠原村)は国際自然保護連合(IUCN)が審査、同じく自然遺産として「登録が適当」とする評価をまとめた。いずれも6月19~29日にパリで開かれるのユネスコの世界遺産委員会で正式に登録が決定される見通しで、決定すれば、日本の世界文化遺産は07年の「石見銀山遺跡とその文化的景観」(島根県大田市)に続く12カ所目。自然遺産は、05年の知床(北海道)に次いで4カ所目となる。

 平泉は08年の世界遺産委で「登録延期」とされ、政府が昨年1月に「浄土思想の表現」に強く関連する6資産に再構成し、再推薦していた。東日本大震災後、岩手県の達増拓也知事が「復興への象徴になる」と訴えるなど登録への期待が高まっており、復興を急ぐ被災地に希望を与えることになりそうだ。文化庁によると、震災で構成資産への被害はほとんどなかったという。

 平泉で推薦されたのは、12世紀に東北地方で繁栄した奥州藤原氏4代の遺体が眠る金色堂(こんじきどう)のある中尊寺など6資産。イコモスは、奥州藤原氏の居館だった「柳之御所遺跡」を外すなど、一部見直しを求めた。

 一方、小笠原諸島は都心から約1000キロ南にあり、南北約400キロにわたって大小約30の島々が連なっている。候補地は、自衛隊基地がある硫黄島などを除く陸域6360ヘクタールと海域1580ヘクタールの計7940ヘクタール。

 IUCNの審査では、同諸島が「東洋のガラパゴス」と呼ばれるように、動植物が独自に進化している点が高く評価された。植物の36%、昆虫の27%、マイマイなど陸産貝類の94%が他地域に分布しない固有種で占められている。また、起源が同じ生物でも、小笠原諸島内の生息環境の違いで遺伝子も多様性に富んでいる点も注目された。

 一方、島の外から持ち込まれた外来種が生態系を悪化させており、対策が課題だった。IUCNは「行政や住民、研究者の強い連携で成果が上がっている」と称賛した上で、今後も外来種対策に努力するよう要請。また海域の保護区の拡大の検討、観光客の増加による環境悪化影響を抑えるための措置も促した。【木村健二、江口一】

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