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インドネシア:サウジで家政婦処刑 大使館に連日抗議デモ

ジャカルタ市内のサウジアラビア大使館前で、インドネシア人家政婦の死刑執行に抗議する人たち=インドネシアで2011年6月22日午後、佐藤賢二郎撮影
ジャカルタ市内のサウジアラビア大使館前で、インドネシア人家政婦の死刑執行に抗議する人たち=インドネシアで2011年6月22日午後、佐藤賢二郎撮影

 【ジャカルタ佐藤賢二郎】サウジアラビアで働くインドネシア人女性が死刑判決を受け今月18日、執行された。斬首刑のうえ、インドネシアの家族は執行後、初めてその事実を知らされたことから、国内で反発が広がっている。ジャカルタのサウジ大使館前では連日抗議デモが続き、両国関係の悪化が懸念されている。

 処刑されたのは、聖地メッカで家政婦として働いていたルヤティ・ビンチ・サトゥビさん(54)。昨年1月、雇用主の女性から暴行を受け、逆にナイフで刺して殺害。今年5月に死刑判決を受けた。

 ルヤティさんの家族には死刑執行後の19日にインドネシア外務省から伝えられた。マルティ外相は「執行前の報告義務を無視したことは遺憾」とサウジ政府を批判。22日、インドネシア駐在のサウジ大使と面談し、抗議文を手渡した。大使は通知しなかったことを謝罪した。マルティ外相は、すでに死刑が確定しているインドネシア人の死刑囚についても、賠償金による減刑を求める交渉に入るという。

 サウジでは80万人を超すインドネシア人女性が働き、NGO(非政府組織)「ミグラント・ケア」によると、一昨年1年間で1000件以上の暴行被害を受けた。性的虐待や賃金不払いなどの問題も生じている。

 こうした待遇に家政婦らが反発して起こした事件も相次ぎ、「ミグラント・ケア」によると、昨年末の時点でインドネシア人労働者計1050人が収監された。これまでに24人が殺人罪で死刑判決を受けているという。ルヤティさんも以前から、インドネシアの家族に暴力や賃金不払いなどを繰り返し訴えていたといい、劣悪な労働環境が背景にあったとみられる。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、サウジでの斬首による死刑執行が急増していると発表。即時中止と死刑囚の減刑を求めている。

毎日新聞 2011年6月22日 20時06分(最終更新 6月22日 23時19分)

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