2011年7月3日0時32分
十分なおかずがそろわない「簡易給食」が続いている被災地の小中学校。多くは2学期以降に元に戻る予定だが、石巻市と南三陸町はいまだに見通しが立っていない。このままだと児童・生徒合わせて1万4千人以上が影響を受けそうだ。
石巻市立貞山小学校の6月30日の給食のメニューは、バターロール、ハンバーグ、冷凍桃、牛乳、コーヒーのもとの5品。子どもたちはハンバーガーにしてかじりついた。今野陽文(はるふみ)君(9)は「おいしかったけど足りない。温かいおつゆが欲しい」と話した。
朝日新聞の調べでは、6月末で岩手、宮城、福島の3県の13市町村が簡易給食のまま。大半は、2学期以降は「完全給食」に戻る予定だが、石巻市と南三陸町は「現状では非常に厳しい」としている。
石巻市では、教職員分を含めた約1万5千食の7割を調理していた給食センター3カ所が震災で使えなくなった。別の3施設で市内全体をカバーしているため、十分なおかずを供給できない。簡易給食のカロリー摂取量は、国が必要と定める基準の7〜8割で、ビタミンは「必要量の10分の1程度」(県スポーツ健康課)という。
5月からは国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」がファミリーマートやカゴメの支援を得て、野菜ジュースやゆで卵などの配給支援を始めた。週1日は仕出し弁当も出しているが、「お弁当や栄養が足りた食事を毎日提供するのは無理」という。
南三陸町では、教職員分を含む約1600食を作っていたセンターが壊滅。町外からパンと牛乳を調達し、6月以降はNGO「ワールド・ビジョン・ジャパン」からおかずや弁当の提供を受ける。ただ、2学期以降も支援を得られるかどうかは分からないという。
給食センターがあった地域には建築制限がかかり、再建のめどは立っていない。町の担当者は「町の復興計画の中身次第だが、新設には3年程度はかかるだろう」と話す。
文部科学省は今年度第1次補正予算に、調理施設の復旧費に加え、給食費の補助や弁当などの費用支援を盛り込んでいる。ただ、石巻市の担当者は「栄養バランスの改善は施設が復旧しないと難しい」と言う。(吉田拓史、中村信義)
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