July 4th, 1:09pm 2 comments

【続報】ホットペッパーがFBでスポットを作りまくっている件

おかげさまで、先日書いたエントリーが大反響となってしまいまして、公開して以来、20,000件以上のアクセスを頂いているようです。いただいた反応のほぼ100%が、ホットペッパーさん(以下HP)のやり方に対する批判だったわけですが、こちらもエントリーにした以上は、やはりリクルートさんの正式な見解などを聞きたいと思っておりました。

するとおかげさまで、FB上の友人を通じてリクルートの担当さんと責任者さんをご紹介頂けましたので、早速お二人にことの経緯や考えなどを聞いてみました。しかし、エントリーを書いた翌日には、それを手がける中の人に会えるなんて、ソーシャルってすごいすね。

 

【お話の概要】

日時:2011年7月3日 17:00
場所:豚組しゃぶ庵
出席者:リクルート社T氏&Y氏(ホットペッパーグルメの編集長と、カスタマーアクションの方です)

つくづく思うのですが、こういうとき、日曜だろうがいつだろうが、即アクションを起こして顧客の所に駆けつけるという、リクルートさんの行動力というかそういう社風には頭が下がります。

 

【お聞きしたこと(要旨だけを一部抜粋、順序も変えてあります)】

(質問)今回の一件は、FBと組んで行ったことですか?それともHPさんが独自に行ったこと?

(回答)FBは、この件には一切関知していません。HPが独自に行っています。

(質問)では、今回店舗の了承を得ずにスポットを作りクーポンを発行しているケースは、FBの規約上は違反状態にあるということ?

(回答)その通りです。なので、現時点で了承を得ていない分については、早急に飲食店の了承を確約を取り付けるか、スポットを非公開/削除する必要があると考えています。豚組さんについても、例のブログを拝見した当日の夜には、クーポンとスポットの両方を削除済みです。

(質問)このスポットとクーポンは、FBのチェックインクーポンの仕組みを使っている?

(回答)その通りです。(中村注:おそらく、ウチのクーポンがFBから拒否されたのは、これによってクーポンが競合したことが理由だったと思われます)

(質問)現在、きちんと了承を得ずにスポットを作り、クーポンを提供してしまっているお店はどのくらいありますか?

(回答)現在把握しているのは豚組さんだけですが、まだスタートした直後ですので把握し切れていない分があると思っています。それについては、今後フォローアップしていく予定です。なお、それ以外の内訳は以下の通りです。

  • 加盟店:約50,000店
  • アクティブな加盟店:40,000店(ここにすべて、「FBのスポットを作りクーポンを配布しますので、不要な方はご連絡ください」という趣旨のDMを発送)
  • 掲載不要を表明した店舗:300店舗
  • 慎重にやりたいとして、ペンディングになっているところ:3,000店舗(主に大手)
  • スポット重複:30件(現時点で分かっている分)
  • そんな案内知らないよ!というお店:豚組のみ

(質問)今回、飲食店にはどのように告知し承認を得て掲載に至ったのか、そのプロセスを教えてください。

(回答)まず、6月7日から、営業が接点を持っている20,000店舗に対し、営業マンが直接訪問して事前説明を行いました。さらに、6月17日には、営業がフォローできない20,000店舗を含め、ほぼ全店舗にDMを送付しました。(件のAPカンパニーさんなど、営業が説明に行っていることが確実な大手さんなどについては、DMを送っていません)それら告知の結果、約3,000店舗については「掲載不要」または「ペンディング」となったため、それを除いた37,000店舗の掲載を行いました。なお、豚組さんは、後者のDMのみで告知した店舗に該当していますので、送付がどこかで漏れてしまったか、開封しないで捨てられてしまったか・・・。

(質問)飲食店からきちんと委任された上で、スポットを作りクーポンを出していることが明確になっていなければ、FBの規約上、またユーザーに対する信頼の面においても問題だと思うのですが、その委任については、飲食店と個別にドキュメントを交わしていますか?

(回答)交わしていません。これまでのリクルートの考え方に則り、そこで万が一トラブルが発生した際に飲食店から責任を追及されたとしても、そのリスクは全てリクルートが負うという覚悟で行っています。よって、今後もそのような契約を交わすことは考えていません。

(質問)今回、なぜこのように乱暴かつ拙速なやり方をとってまで、いきなり数万店舗のスポットとクーポンを掲載することにしたのでしょうか。「拒否したお店を掲載しない」ではなく「掲載して欲しいと申請したお店だけを掲載する」という方針にしなかった理由は何ですか?

(回答)HPとしては、今までのようにゆっくり一件一件コツコツと取り組んでいても、飲食店のITリテラシーはいつまでたっても向上していかないと考えています。また、せっかくスタートしたFBのチェックインクーポンも、いつまでも普及しないだろうと思いました。そこで、その流れや認知を一気に変えたかった。そのため、ある種のインパクトや話題性を提供することも含め、一斉登録が必要だと考えた次第です。実際、豚組さんからはこのようなご批判は頂いていますが、現時点ではお店からは「ありがとう」という声が圧倒的ですので、どちらかというと好意的に受け止めて頂いているのではと認識しています。

質問)それにしても乱暴すぎると思うのですが、店舗に対するきめ細かいフォローアップとか、飲食店個別にどれだけ意識を高めて運用してもらうかとか、その辺をしっかりした上でないと、むしろせっかくのチェックインクーポンの仕組みや信頼が破壊されると思うのですが、そこはどうお考えですか?

(回答)そこはとても重要と考えていますので、今後、一件ずつ丁寧にケアしていくことになっています。

(質問)あくまでもFBなりチェックインクーポンは他社サービスなワケで、そこまでHPさんが無茶して必死にやらなければならない理由は何ですか?何のメリットがあるのですか?これのマネタイズはどのように考えているのですか?

(回答)現状では、短期的なマネタイズは考えていません。また、FBページの運用代行のような商売も、あまり可能性がないと思っているので、それで儲けようとも思っていません。現時点では、とにかく飲食店のITリテラシーを高めたり、ネット集客を普及させていきたい、という一点だけです。マネタイズについては「いずれ長期的に、なにかお金に結びつくのではないか」というレベルでしか考えていません。また、中村さんがブログで書いていた、「クーポンの発行数を増やすため」のような動機もありません。そこの誤解だけは解いておきたいと思っています。

(質問)その志は立派だと思うのですが、その回答だけでは僕の方が気持ちが悪いのですが…リクルートさんがそんな高尚な理由だけで、ここまで入れ込んでやるとは思えないし、説得力もないのですけれど。たとえば、「チェックインクーポンと言えばHP」という想起を高めて何らかの形でニーズを刈り取っていくとか、「飲食店がネット集客をしたいと思ったとき、まず相談しようと思うのはHP」みたいなポジションを取りに行きたいとか、そういうことを考えているとかなら、多少なりとも理解できるのですが。

(回答)それは確かに考えています。HPとしては、「お店までお客さんを連れて行って終了」というのが今までのクーポン事業だったわけですが、昔から「送客したあとの取り組み」の領域に踏み込みたいというのが悲願だったのです。そして、それがようやくできるようになりつつあるのではないか、というのが私たちのソーシャルに対する期待です。ですので、今までできなかった「来店後」をサービスとして取りに行きたいとは思っています。そして、そのための一歩として取り組んでいるという次第です。

 

【僕の感想】

FBクーポンのおもしろさは、単なる今までのクーポンと違って、グループでチェックインするともらえるとか、何回か通ってチェックインするとサービスが受けられるとか、そういう点にあると思っています。それをどのように活用したら、新規を獲得したり常連さんを増やしていけるのか。そういう意味では、今後、店舗に対してクーポンプランニングのようなサービスが求められることになっていくのかもしれません。HPさんが本当にそこを狙っているのだとしたら、確かにそれは「アリ」だと思えました。

しかし、それを本気でやりたいなら、きちんと飲食店に説明したり、お店のニーズを把握した上で最適なクーポンを提案すること不可欠なはずです。丁寧なサポート体制も必要でしょう。FBでの最大の目的は、単にクーポンで集客することではなく、それを出発点にして、いかにお客様とコミュニケーションを取っていくか、にあるはずですから。しかし今回のHPさんの動きは、あまりに乱暴で画一的。きめの細かい対応は全くありませんでした。このようなやり方をしている会社が、果たして店舗個別に、ある種コンサル的ともいうべきサービスを提供できるようになるのでしょうか。

そこが全く見えないことこそが、今回の多くの方々の拒絶反応にも繋がっているというのが僕の考えです。HPさんが今回採用した乱暴なアプローチでは、伸ばそうと思ったチェックインクーポンの可能性をつぶすことにだってなりかねないと思います。

僕のこのような懸念は、お話の中でも何度も繰り返しお伝えしました。そして、そこについては彼らも「理解してくれている」ように思いました。今後、彼らがどのようなやり方を採ってくるか。そして、それをどう僕らに見せてくれるのか。それに注目していきたいと思っています。

 

 

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