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【社会】

子どものため「脱原発」を 広がるママのデモ参加

2011年7月4日 13時54分

脱原発を訴えデモ行進する上田佳奈さん=6月24日、東京都千代田区内幸町で

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 福島第一原発事故を受け、これまで市民運動や政治的な活動に無関心だったにもかかわらず、脱原発を訴えるデモに初参加する人が増えている。幼い子どもをもつ母親が「放射能から子どもを守りたい」との一心で参加。今後の初参加を考える母親も多く、さらに広がりを見せそうだ。 (中沢佳子、小野沢健太)

 「嫌なことをやめてほしいなら、言葉にしないと伝わらない。同じ思いの人と一緒に声を上げたかった」

 六月十一日、六カ月になる長男を連れて東京都内で開かれたデモに参加した世田谷区の主婦中川まり子さん(29)はそう語る。

 事故前まで原発には無関心だった。自分なりに調べ始めた原動力は、生まれて間もないわが子の存在。転校や避難で友人や家族と離されたり、外で遊べず深呼吸にも気遣う福島の子どもの現状はとても人ごととは思えない。「母として、子どもを犠牲にするような物はいらない」

 デモはインターネットで知った。行進前の集会で帰るつもりで、港区の芝公園に向かった。だが集会で福島の人たちの涙の訴えに心を駆り立てられた。

 国の対応の遅さに失望を感じる。でも一人では訴える手だてがない。だからみんなで集まって訴えることが大きな力になるはずだ。「『原発事故の時、お母さんは頑張ったんだよ』って、いつか伝えたい」。息子の寝顔を見ながらつぶやいた。

 板橋区の生協職員上田佳奈さん(33)は四月十日、インターネットで知った都内の脱原発デモに初参加した。

 原発事故後しばらくは、放射能の影響が心配で、外遊びをしたがる長男(4つ)を公園に連れて行けなかった。

 親族に広島の原爆被爆者がおり、以前から原発には抵抗感があったが、何も行動しないで過ごしてきた。自分たちの無関心さが今回の事故を引き起こしたのではないか。そう思えて、居ても立ってもいられなくなった。

 六月二十四日に都内で行われたデモで六回目。「本当に声が届くのか」と疑問に思うことも。でも、声を上げることがスタートラインだと信じて、訴え続けるつもりだ。

 これまでは参加できなかったが、「次の機会に」と考える母親は多い。中学二年の息子を持つ江東区の畠山恵美子さん(39)もその一人で「学校の放射線量や給食の食材を調べてほしい。でも一人で学校や区に働き掛けても動いてくれなかった」と訴える。友人で三児の母の奥田千佳子さん(38)も「行政の腰は重く、声に出さなければ考えてもらえない」と初参加へ意欲を示す。

(東京新聞)

 

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