敦賀1号機:ベントの設備 福島第1原発事故で設置決める

2011年7月4日 2時30分

 沸騰水型原発の事故時、放射性物質を含む原子炉格納容器内の蒸気を外部に排出し容器の圧力を下げる「耐圧強化ベント」の設備が、日本原子力発電(原電)の敦賀1号機(福井県)だけには設置されていないことが3日分かった。

 沸騰水型原子炉は改良型を含め30基ある。敦賀1号機以外で、運転段階の原発は2000年前後に、その後新設された炉にも随時設置されたが、原電は「格納容器の圧力が上がって破損する確率は小さく、優先度が低い」として見送っていた。福島第1原発事故でベントが必要になり、原電は敦賀1号機に設置することを決め、福井県などにも連絡した。

 原電によると、格納容器が壊れる事故の要因を分析すると、蒸気による圧力上昇が原因となる確率は約1%と低い。敦賀1号機には格納容器を冷やす専用の系統が二つあることなどが理由という。このため「原子炉を停止できない場合の対策など、確率が高いものを優先した」としている。ただ敦賀1号機と型式が同じ福島第1原発1号機も、この確率は約1%。原電は今回の事故を受け「想定外の事態が起きた」として設置することにした。

 敦賀1号機は1970年に運転を始め、国内で現在最も古い。今年1月から約1年2カ月間という長期の定期検査中。

 日本の商業用原発のもう一つのタイプ、加圧水型炉は沸騰水型炉より格納容器が非常に大きく圧力が上がりにくいことや、圧力を逃がすのに使える排気筒を備えていることなどからベント設備はない。

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