違法な性行為を描いた漫画などに対する東京都の新たな販売規制が、7月から本格実施される。指定された「不健全図書」は、一般図書との区分販売が義務づけられる。都は出版業界に内容を説明してきたが、業界側の十分な理解は得られていない。溝が埋まらないままのスタートとなる。
「強姦(ごうかん)される女性が喜ぶ様子、近親相姦を楽しいことのように表現した作品。これらが規制の対象になります」
新たな規制の実施が決まった昨年12月以降、都は約10回、出版業界や漫画家団体を対象に説明会を重ねてきた。過激な性描写を「不当に賛美・誇張した作品」などと規制対象を定めた条例の条文が、「あいまい」と批判されたからだ。
だが、都の説明を聞いた日本雑誌協会の幹部は反論する。「読み手によって受け止め方は違うはず。作品全体は強姦を批判していても、一部シーンだけを切り取れば規制対象とされる恐れもあるのではないか」。どこまでが規制の対象なのか、両者の認識は一致していない。