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[28636] 【習作】吸血鬼の従者(ネギま×オリ主)
Name: ちぶさん◆324603d9 ID:870f574a
Date: 2011/07/02 11:23
初めまして、ちぶさんと申します
SS投稿は初めてですが、よろしくお願いします

このSSはネギまの二次創作で、オリ主がエヴァンジェリンの幼なじみ兼従者として物語が進んでいきます

何番煎じかわかりませんが……

注意事項としては

転生オリ主ではありませんので、原作知識は持っていません

原作では書かれていない所から始まるので、ある程度進むまではオリジナルの展開になります

時代背景に合わない物が出てくることがあります

あまりご都合主義にしたくはないのですが、物語を進める上でせざるを得ない所があります

諸事情によりパソコンのネット環境がないので、携帯からの投稿です
したがって更新ペースは非常に遅くなると思います

ちなみに自分は単行本派ですので、新しい設定が出てきたらその都度内容を変えていきたいと思います

それでは、よろしくお願いします




[28636] プロローグ
Name: ちぶさん◆324603d9 ID:870f574a
Date: 2011/07/03 01:14
プロローグ




夜、月が夜空に浮かび輝きを放つ時間。空には満月と無数の星があり、やさしくあたりを見守っている。
月明かりに照らされる森の中に一人の少女がいた。
年は七、八歳前後だろうか、まだ幼さが色濃いが月の光で輝く煌びやかな金髪、少しつり上がった大きな目、端麗と言っても過言ではないその顔立ちからは、どこかのお姫様のような印象を受ける。
そんな少女が夜で前もうっすらとしか見えないというのに服が汚れるのも気にせず、息を荒くしつつもどこか楽しげにある場所へ向かって一心不乱に走っていた。

少しの間走り続け、額に玉の汗が浮かびつつも少女がついたのは森の中の開けた場所。
少女は足を止めて周りを大きく見回し深呼吸をした。
そこには様々な草花が生える花畑と彼女がお気に入りのある花が咲く木があたり一面に広がっていた。
そのどれもが月によって照らされ、幻想的な情景となっていた。
ここは少女の秘密の場所。何かにつけて此処に来ている。
少女は顔を綻ばせ、木のそばまで近寄り上を見上げる。
青々とした葉に薄く紫色に色づいた花、風に揺られてさわさわとやさしい音を奏でている。
少女が好きな花……それはライラック。少女はここに咲くライラックの花が大好きだった。
少女の名前はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。
「福音」をその名に有している。

ひときしり眺めた後、エヴァンジェリンはどこかそわそわし始めた。
ちらちらと自分が走ってきた方向を見ている。まるで誰かを待ちわびているように。
しかし、誰も来る気配はない。月によって少しだけ照らされた森が見えるだけである。
少しずつ、少しずつ彼女の顔に不機嫌の色が浮かび始める。

「もうっ!遅い!遅すぎるわ!」

ついに我慢ができなくなったのか声を上げる。
すると、願いが通じたのか、彼女が走ってきた方向から声が聞こえてきた。

「お嬢様〜エヴァンジェリンお嬢様〜!どこですか〜?」

どこか情けないが、しっかりとした声量で聞こえてくる少年の声。
その声が聞こえた途端エヴァンジェリンの顔はパッと輝き、声が聞こえた方を向こうとして……思いとどまった。
何か良いことを思いついたような意地悪な笑みを浮かべている。
段々と声が近くなってくる。それでも彼女はそちらを向こうとしない。
ついに少年が入り口に姿を現し、花畑まで入ってきた。
背丈はエヴァンジェリンよりも少し大きいほどで、髪は少し茶色がかっている。顔は整っており、利発そうだが、どことなく頼りない印象が伺える。
すぐにあたりを見渡して背を向けているエヴァンジェリンを見つけると、近くまで駆け寄った。

「ハァハァ……こちらにいらっしゃいましたか……。エヴァンジェリンお嬢様、旦那様と奥様が心配しておられますよ」

そう声を掛けた少年は走ってきて苦しいのか、肩を上下に揺らしながら息をしていた。

「……」

しかし、エヴァンジェリンは少年の方を振り返りもせず、黙っている。端から見ても不機嫌なのが伺える。
そんな彼女の様子を見て少年は恐る恐るといった感じで再び話しかける。

「あの……お嬢様、なぜ僕を無視するんですか?」
「名前。それと敬語」

ピシャリと言った彼女の言葉に、少年は合点がいかなかったのか黙り込む。
しかし、すぐに意味に気づき焦ったように三度話しかけた。

「お、お嬢様、確かに言いつけはされましたが……」

そこまで話したところで言葉が止まる。するとずっと背を向けていたエヴァンジェリンが少年の方を向いた。

「もうっ!クロードは言いつけの一つも守れないの?二人っきりの時は『キティ』って呼んでって言ったじゃない!」
「も、申し訳ありません……キティお嬢様」
「敬語もなし!それとお嬢様もよ」
「う……ごめんキティ」
「そう、それでいいの。それにしても……あなたはいつも謝ってばかりねクロード」
「そ、そんなことないよ!あ……う、ごめん」
「ほらまた……まぁいいわ」

ふぅっと一息ついてクロードと呼ばれた少年を見据える。
じっとクロードの瞳を見つめ何秒か経った後、突然エヴァンジェリンは笑顔になった。
突然変わった彼女の様子に不思議そうにクロードは口を開く

「えっと……キティ、どうしたの?」
「ねぇ、クロード。あなた私の言いつけを破ったわよね。それに私を見つけるのも遅かったし」

エヴァンジェリンの顔は笑顔。しかしその顔はクロードの目にはひどく意地悪な物に見えていた。

「それはキティが僕の目を盗んでいなくなったから……」
「言い訳しないの。言いつけを守らなかったのは本当のことでしょう?」
「うぅ……」

クロードは何も言えなかった。確かに彼女を見つけるのに時間が掛かってしまったし、言いつけを守らなかったのは事実だったからである。

「だ、だからね、罰として私と一つ約束して」

少し上ずった声でそう言ったエヴァンジェリンの頬は少しだけ朱に染まっていた。

「約束?」
「そ、約束。言いつけなんかじゃないとっても大事なことよ」

先ほどの意地悪な笑みとは違った、少しはにかんだ可愛らしい笑顔で彼女は話す。
彼女の笑顔を見てクロードは気恥ずかしくなり、何も言えなくなってしまった。
あまりにも魅力的な笑顔だったからである。
そんなクロードの様子を見て、エヴァンジェリンはさらに言葉を続ける。

「……ねぇクロード。あなたは私の何かしら?」

クロードは一瞬その問いかけの意味がわからかったが、すぐに答えた。

「キティの従者……かな」
「そうね。あなたは私の使用人でもあり、従者でもあるのよね」
「じゃあ、従者の役目ってなんだかわかる?」
「えっと……主人にお仕えすることだよね?」
「ええ、そうよ……」

そこまで言ってエヴァンジェリンの頬はさらに赤くなる。
そして少し目線を泳がせながらも、意を決して口を開いた。

「じゅ、従者はずっとご主人様のそばにいなきゃいけないの!私が大人になっても、おばあちゃんになっても、ずっと、ずーっとそばにいるの!だから、だからね……」

そこまで彼女なりの精一杯の大声でまくし立てて、一息すぅっと息を吸う。彼女の頬はもう熟れたトマトのようになっていた。

「『これから先どんなことがあってもずっと私のそばにいること!』」

そして彼女は約束の言葉を紡いだ。
じっと上目遣いでクロードを見つめるエヴァンジェリン。興奮しすぎたのか、目は少しだけ潤んでいた。
そしてその言葉を聞いたクロードは彼女をじっと見据えて言った。

「わかったよ……キティ。約束するよ、僕はずっと君のそばにいる」

この瞬間、彼は鎖に縛られた。他人には見えない、約束という名のとても固い鎖に……





――それは幼い頃の思い出の一つ




――満月が見守る中、ライラックの木の下で交わされた約束




――その約束は小さく、儚いものだったが




――二人を繋ぐとても、とても大事なものだった……









あとがき

というわけでプロローグです
なんというか、ベタベタな感じがしますが、幼なじみ=約束が頭にありまして……
エヴァンジェリンの幼少期の性格はもっとおとなしめにしようと思ったのですが、主人公と似たような性格になってしまうのでおてんばな感じにしました。
ライラックが十四〜十五世紀に生えていたかどうかはわかりませんが、あまり深く気にしないで下さい。
ちなみにこの小説を書くきっかけになったのは少し前に札幌で行われたライラック祭りです。
そこでライラックを見たら妄想が止まらなくなってしまって……
三人称で書くのは不慣れなのでおかしな点が多々あると思います。
どこか表現のおかしなところや、誤字脱字を見つけたら、遠慮なく知らせて下さい。
逐一直していきたいと思います。
次回更新は未定です。





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