これはネット上で見つけたmoetron(キメこなちゃん)の二次創作小説です。無理やり翻訳したので微妙に言葉遣いや表現に微妙な部分がありますが楽しんでいただけたら嬉しいです。画像はイメージです。設定等は著者のオリジナル設定だとは思いますがGAIJINさんたちが2011年1月から行っているプロジェクト、「VN計画」に関連しているかもしれません。ご存知の方がおられたら情報提供願います。
【プロローグ】
2011年9月23日夜11時17分
とある県の山間の小さな町
中嶋教授は自身の書斎で直前の実験結果を見てほくそ笑んでいた。シートのグラフが指し示していたそれはこれまでの実験で得られたどんなデータよりも優れていたからだ。それもとびっきり。
そして雷がほとばしる暗雲を仰ぎ見、今夜こそが最後の実験に必要な要素を全て得る事ができる最高の日である事を確信した。
教授は叫んだ。「ついに!!!その時が来た!!!!!」
彼はシートをつかんで書斎を飛び出すと研究室へ向かった。研究室は三流のフランケンシュタイン映画から出てきたようなコンピュータと奇妙な機械で埋め尽くされていた。最も不気味なのは研究室の東側に配置された粘性の液体で満たされた五つの大きなガラスの筒でした。そのガラス容器は緑の光で輝き、液体の中にはパイプや数千のケーブルに繋がれた女の子達が居ました。五つのガラス容器とその中の全身のいたる所に傷を持つ5人の若い少女たち。教授は、数秒間それらを見つめました。
「我が娘よ!心配する事はない!オマエのために必要な条件は全て揃った!この偉大な中嶋宗一郎は長い研究の末についに生命を操る技術を手に入れたのだ!このマシンで私は人類の常識を超え、オマエを生き返らせてみせる!その功績で私は尊敬と名声を手に入れ『東大教授』として迎え入れられるだろう!!そしてオマエのゼリーのような笑顔を見るのだ!!ハハハハハハハハッ!!」
教授の高笑いは轟く雷の音でさえぎられた。
「地球が私に味方してくれている!願わくばこのまま嵐と雷雨が続かん事を!!」
教授は中央のコントロールパネルに行って、最後に女の子を見た。
「さあ、最後の実験の始まりだ!!」彼はボタンを押すとそう叫んだ。
機械は作動を開始し、小さなノイズが唸りを上げ始めた。
様々なパイプと流体保持デバイスが脈動し、蛍光灯や研究室の上の大きな帯電装置が充電開始を示した。
教授は、さらにいくつかのスイッチをオンに切り替え、実験を第二段階に移行し、機械の稼動が激しさを増した事を確認した。
「まて、これは何の音だ!?」
「中嶋教授!あなたがここに居る事は解かっています!今すぐにこのドアを開けてください!」
「くそっ!警察か!何故奴らがここにいる!?何故いつも私の邪魔をする!?」
教授は、機械を操作しながらそう言った。
警察はまたドアに激しく叩いた。
「教授!開けなさい教授!我々は貴方が何をやろうとしているかも解かっている!それは行ってはいけない事だ!貴方が開けないのなら、このドアを爆破する!それが嫌なら今すぐ実験を中止してドアを開けるんだ!!」
教授は出て行けと叫んだ。
「 私は人類の運命を変える全く新しい実験をやっている!キミたちの相手をしている時間はない!」
「教授!まだ解からないのか!貴方が最後に行った実験で少なくとも10人が死んだ!あの惨劇から貴方は何も学ばなかったのか!?」
「彼らの犠牲は無駄にはしない!!今度の実験は完璧だ!邪魔はさせん!この娘達は生き返り新たな人生を歩むのだ!!」
「『娘たち』だと!?あなたは誘拐までしたのか!?」
「それがなんだ!キミたちに私の邪魔をする事は出来ない!!」
「くっ!」
警官達は話し始め、しばらく沈黙のあと
BOOOOOOOOOOOOM !!!!!
彼らの起こした大規模な爆発が、研究室のドアを破壊した。
飛び込んだ警察官たちは教授に向けて銃を狙いを定めた。
「実験を中止するんだ中嶋教授!私はこの少女たちを知っている!『死を崇めるカルト教団』によって拉致され行方不明になった娘たちだ!せめて彼女たちの遺体を家族の元に返すんだ!死者をこれ以上辱めるな!貴方の実験で彼女たちを生き返らせる事など出来はしない!」
「刑事君!キミには理解できまい!私はこの為に人生を捧げてきた!この実験が成功すれば我々は失ってしまった大切な者を生き返らせる事ができる様になるのだぞ!そうとも!刑事君!キミにもこれが必要なのではないかね!?たしかキミの奥方も事故で亡くなられたのではなかったかな!?この技術があればキミの奥方も生き返らせる事が出来るのだよ!!」
「黙りなさい中嶋教授!私の妻について貴方に言われる筋合いは無い!確かに彼女は死んだ!テロリストの手によってな!だが私は他の誰かを犠牲してまで彼女を生き返らそうとは思わない!!!私は貴方を止める!!貴方のこの邪悪な実験を止めてみせる!!」
だがもう教授は彼を見ていませんでした。
教授はその実験の最終段階を設定するのに忙しかった。研究室内すべてのデバイスが移動する準備ができていた。
「さあ、いよいよ最終段階だ!!!」彼は叫ぶと同時に、大きなスタートボタンを押した。
部屋中の機械が最終段階に移行し、メーター類が発光を開始。
カプセルの中の少女達は液体ごと激しく泡立ち、帯電装置は特定のポイントに充電した電力を集中させた。カプセルは、より多くの光を激しく発するようになった。
警官たちはあまりの光景に何一つ言う事ができず立ち尽くしていた。
「見るがいい神よ!中嶋の作り出した新しい生命の誕生だ!!」
「はっはっはっは!喜びたまえ刑事君!!キミは新しい命の誕生と、人類の新しい時代の幕開けの生き証人となったのだ!!」教授は高らかに笑った。
「いや…まて、なんだこの臭いは?」
教授は周りを見回した、上部のキャットウォークの何かが燃えていた。
「くそっ!過負荷か!」そう叫び消そうと近づいた教授を、突如爆発した機械が数メートルも吹き飛ばした。
「中嶋教授!!」刑事はそう叫び教授に駆け寄った。
「みんな機械を止めろ!!」刑事はそう叫んだ。
「……めだ……めるな……」
「教授!貴方は…貴方が!」刑事は教授になにか言おうとしましたが、最後まで言うことができませんでした。
彼は銃声のあと、倒れたのです。続く機器の爆発と銃声。
警官たちを殺した教授は充電装置を見ました。
彼が最後に見たものは、カプセルの中の緑色の血漿ボールでした。
そして教授の意識は闇に閉ざされました。
後数時間、かろうじて意識を取り戻した教授は屋根が吹き飛んだ研究室の中に雨が吹き込んでいるのに気付きました。そして教授はすぐそばで彼を見つめる2つの輝く青い点を見た。雷の光に照らし出された事で、教授はそれが女の子である事に気付いた。
彼女はうつろな目をして、彼を見つめていた。
教授は笑った。
「成功…か。なんと…なんと嬉しい事か。ふふ…ふふふ…やはり私の理論は正しかったのだ…ゴホッゴホッ!」
そう言うと教授は激しく咳き込んだ。
「聞きなさい、我が娘よ…この部屋はいずれ彼らに見つかってしまうだろう…そしてすべてを持ち去ってしまうだろう…だが彼らにこの研究は理解できまい…この研究は永遠に封印されてしまうだろう…。逃げるのだ娘よ…彼らに見つかってはいけない…そうすれば彼らがこの研究室を訪れた時、実験が成功だったか失敗だったかを知る術は無い…彼らには機械を再構築する力は無い…私が死ねばオマエが生まれたことを知る者は居なくなる…」
少女はまだ、彼を見て何も言わなかった。
「オマエは自由だ…実験動物や研究対象などではない…自分の好きなようにオマエ自身の人生を歩みなさい。さあ、行きなさい…そしてどうか…どうか幸せになってほしい…それが私の最後の願いだ…」
研究室の残骸はあとからかけつけた警察の応援によって発見され、3人の警察官の死体と重症の刑事ひとりが発見されたが教授の遺体はどこを探しても見つからなかった。しかし近くの町では「失われた少女」の物語が、今まさに始まろうとしていた。
END
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