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望川林田力新聞 相続

 

相続紛争... 1

土地所有権移転登記の登記申請書を閲覧した... 1

弁護士への委任状の杜撰... 4

相続紛争で、何でもありの弁護士交渉... 5

 

相続紛争

土地所有権移転登記の登記申請書を閲覧した

登記 不動産 法務局

登記原因証明情報に思う

東京法務局中野出張所(中野区野方)にて土地所有権移転登記の登記申請書を閲覧した。

通常の場合、例えば不動産を購入する場合などは登記簿謄本(全部事項証明書)を取得する。これによって土地についての権利関係を確認できる。登記には権利推定力が認められている。即ち、登記簿の内容は実際の権利関係に合致していると推定される。このため、登記簿の内容は一応、信頼できる。

しかし、現実には実際の権利関係とは異なる登記は存在し得る。これは登記手続きでは形式的な書類審査しか行わないためである。住民票や実印、印鑑証明書、権利証(登記識別情報)を無断で借用または偽造できるならば、登記できてしまう。この結果、自分名義の筈の土地が登記簿上は譲渡されてしまったり、抵当権が設定されてしまったりという事態が起こりうる。このようなことを行う犯罪者は地面師と呼ばれる。

このような場合、先ず登記簿を調べることになるが、登記簿に記録された権利変動に不審点がある場合、どのような形で登記申請がなされたのか調べる必要がある。調査の必要は相続問題でも生じうる。故人(被相続人)の所有(相続財産)と思っていた不動産が、相続人の一人または第三者に所有権移転されていたということもある。そのような所有権移転登記の原因となる契約などが実際に行われていることを相続人が知っていれば問題ないが、そうでなければ実体がないのに勝手に名義を変更したのではないかという疑いが生じる。

例えば相続対策として特定の相続人に不動産を生前贈与する例は少なくない。全相続人了解の下で生前贈与したならば問題ない。しかし、そうではない場合、同居の相続人が勝手に親の権利証や実印を利用して、被相続人の知らないところで登記したという疑いが他の相続人から生じ得る。このような場合に登記申請書を閲覧する必要がある。

登記簿は不動産に関する権利関係の公示が目的であり、誰でも確認できるものである。一方、登記申請書は登記申請するために申請人(の代理人)が作成し、法務局に提出した書類であり、閲覧は利害関係のある人に限られる。たとえば前述の相続の例ならば相続人である。閲覧中にメモをとることや写真撮影は認められるが、コピーをとることはできない。

法務局のカウンターで登記申請書の閲覧を希望すると、受付の人では対応の範囲を越えるためか、別の人に担当が代わった。最初に、どの申請書の閲覧を希望するのか尋ねられる。問題の不動産登記の全部事項証明書を提示し、閲覧したい登記申請の受付年月日・受付番号を答える。

続いて利害関係を聞かれたため、予め用意した戸籍全部事項証明書と身分証を提示し、土地所有者であった被相続人の相続人であることを説明する。申請書を渡されるので記入し、法務局内の印紙売場で購入した登記印紙(収入印紙とは別物)を貼り付けて提出する。しばらく待つと閲覧できる。

登記申請書は大体、以下のような内容になっている。

・登記申請書

・印紙貼付台紙

・登記義務者(不動産の譲渡人)の住民票

・登記義務者の印鑑証明

・登記義務者・登記権利者(不動産の譲受人)の司法書士への委任状

・登記原因証明情報

・登記権利者の住民票

・固定資産評価証明書

申請書を閲覧することによって、どの司法書士に依頼したのか、いつ司法書士に委任状を提出したのか、署名の筆跡などを確認できる。

閲覧する上で最も肝心な資料は登記原因証明情報である。これは不動産登記法第61条に定めた「登記原因を証する情報」である。登記の原因となった事実や法律行為を示す情報である。具体的には売買ならば売買契約書が相当する。売買契約書だけでは権利移転日が不明な場合、例えば契約書で残金支払い時を権利移転時と定めた場合は、売買契約書に加え、残金の領収書も必要になる。「登記原因証明情報」という名前の文書が求められている訳ではない。

前述の通り、登記官は書面審査しか行わないため、登記申請の内容が正しいか否かは、この登記原因証明情報の内容が申請内容と矛盾しないか否かによって判断される。これによって、書面審査しか行わないながらも登記の信頼性を高めることができる。

しかしながら、制度には抜け道もあり、登記原因証明情報という名前の文書を作成して登記申請されることが多い。これは登記の原因についての事実を記載したものに当事者が署名押印したものである。

例えば「乙は、甲に対し、平成××年×月×日、本件不動産の所有権を贈与し、甲はこれを受諾した」と書かれた登記原因証明情報と題する文書に譲渡人・譲受人が署名捺印するものである。文面は司法書士が用意し、当事者は署名捺印するためとなる。登記のために用意された文書であり、登記の原因となった契約などを調査するのは難しくなる。

売買契約書ならば売買代金、手付金の額、その他の契約条件など詳細な内容が書かれていることが多く、閲覧によって契約の内容をつかむことができる。しかし、「乙は甲に本件不動産を売却し、それによって権利が甲に移転した」というだけの登記原因証明情報では契約の実体は不明である。

以下、登記申請のために登記原因証明情報という文書を作成することの得失をまとめたい。

先ず社会的要請である。そもそも契約は意思表示によって成立するものであり、契約書の存在は必須ではない。口頭でも契約は有効に成立する(但し、宅地建物取引業者には書面の交付が義務付けられている。宅地建物取引業法第37条)。そのため、登記申請のために登記原因証明情報を作成する必要が生じる場合は否定できない。

一方で登記原因証明情報の添付が登記の信頼性を高めることを目的としていることを考えると、登記原因の実体を把握できる資料の方が望ましい。可能な限り生の資料を添付することが社会的要請といえる。

次に登記申請人(契約当事者)の立場で考えてみる。契約当事者にとっては登記とは関係ない売買代金のような情報を、法務局に保管される登記申請書に添付したくないという思いがある場合もあるだろう。この場合、登記申請に必要最小限の情報を記載した登記原因証明情報を新たに作成する方が望ましいことになる。

一方、契約書のような資料を登記原因証明情報とすることは申請人の権利を守るものでもある。契約書とは別に登記申請のために登記原因証明情報を作成するということは、契約書と異なる内容になってしまう可能性がある。相手方当事者と司法書士の悪意が介在すれば不可能ではない。その結果、契約書で意図したものと異なる内容で登記されてしまい、損害を被りかねない。

登記原因証明情報も自らが内容を確認した上で署名捺印するのだから自己責任と主張されるかもしれないが、実際問題として契約書に署名捺印する時ほど熟慮して、登記原因証明情報に署名捺印することはないだろう。専門家である司法書士に登記手続き上必要な書類と説明されれば「そういうものか」と署名捺印してしまいがちである。契約書を登記原因証明情報にすれば、たとえ司法書士に如何なる悪意があろうとも、契約書と矛盾する内容での登記はできない。

この点については記者に苦い経験がある。記者は東急不動産から購入したマンションの売買代金返還を求めた訴訟で、売買代金の返還を受け、登記原因を「訴訟上の和解」で所有権移転登記をするという訴訟上の和解を成立させた。ところが、和解の履行時期になって東急不動産側は登記原因を「和解」とする登記原因証明情報への署名捺印を要求してきた(参照「東急不動産、「和解成立」後も新たなトラブル」)。

http://www.ohmynews.co.jp/news/20070530/11614

これに対し、記者は和解調書を登記原因証明情報とし、和解調書どおりに登記申請することを主張した。最終的に記者の正論が通ったが、東急不動産の主張に従っていれば、和解調書とは異なる内容で登記されてしまうところであった。

最後に申請手続きを行う司法書士の立場を考える。司法書士にとっては登記申請用に作成したとは限らない契約書を使用するよりも、自ら作成した定型的な「登記原因証明情報」に記名捺印させた方が楽という発想がありうる。

しかし司法書士の職業倫理からすれば、登記の真実性を高める方法を選択すべきである。真実性を高めるとは単に自分が正しいことを行うというだけではなくて、第三者が事後的に確認できるように証跡を残しておくことも必要と考える。そうでなければ唯我独尊に陥ってしまう。

このように考えるならば登記原因証明情報に相当する資料が存在する場合は、それを登記原因証明情報として使用するのが法目的に合致すると考える。建築不動産業界には「手続きが通ってしまえば、それでいい」という発想が強いように感じられる。その極端な例が耐震強度偽装事件であった。登記申請のために作成された「登記原因証明情報」ばかりが利用されるならば、登記においても上記傾向に汚染されていることになる。

 

弁護士への委任状の杜撰

弁護士 委任状 相続

相続人でない者が相続問題を委任?

弁護士に交付する委任状が、実に杜撰な形で作成されているかを示す例があるので紹介する。問題は私の母が関係する相続紛争である。私の祖母が2007年に亡くなり、祖父は既に他界しているため、祖母の財産は三人の子どもが相続することになった。長男・長女(母)・次女である。

ところが、祖母の死後に長男夫婦が発見したと主張する遺言書では、主要な財産が長男とその配偶者に生前贈与・遺贈されていた。遺言書記載通りになると、母の遺留分さえ侵害される結果になるため、母は20082月、長男及び配偶者の両者に民法1031条に基づき、遺留分減殺請求を内容証明郵便にて行った。

これに対し、313日付の内容証明郵便で東京弁護士会所属の4弁護士が、長男の代理人として委任を受けたことを母に通知した。母は長男の委任状の写しの送付を要求した上で、長男の配偶者に対しても遺留分減殺請求を行っている点をファックスにて指摘すると、319日に配偶者とも委任契約を締結したとの返信がなされた。ところが、あわせて送付された委任状の写しが問題であった。

318日付の委任状には委任の内容として「被相続人○○にかかる相続における交渉の一切」と書かれていた。これは先に送付された35日付の長男の委任状と同内容である。しかし長男の配偶者の委任内容としては不適切である。

長男の配偶者は相続人の配偶者に過ぎず、相続人ではない。長男の配偶者にとって祖母は被相続人ではないし、祖母の財産を相続することはない。従って長男の配偶者が祖母の相続について交渉権限を弁護士に委任すること自体があり得ない。

すぐに母は上記問題を弁護士に指摘した。配偶者本人宛も含む複数回の催促を経て、半月後の47日に法律事務所から委任内容を「○○にかかる遺贈における交渉の一切」と修正された委任状の写しが送付された。

本件で驚かされるのは基本的な事実関係すら把握することなく、弁護士が委任状を受け取っていることである。委任状は依頼者が作成して弁護士に交付するものだが、法律事務所で原型を用意し、依頼者は必要な箇所を埋めて捺印するだけという形になるのが一般である。書く内容も弁護士側が指導する場合が多く、間違えが生じないようにしている。それにもかかわらず、相続人でもない人間に対し、相続に関する交渉権限を委任させるのが信じ難い。

しかも修正前と修正後の委任状では依頼人の印鑑が全く別物になっている。修正前の委任状では印影の字体が印相体で、高級な印鑑を使用したものと推測される。一方、修正後の委任状では印影が三文判にあるような普通の字体になっている。

委任状は代理権を授与するものである。代理人の法律行為は本人に帰属する。たとえ本人が承知していなくても、代理権を委任した者の行為ならば本人が責任を負わなければならない。それだけ委任状の作成は慎重にしなければならないものである。

ところが本件では慎重さがみられない。依頼者は弁護士任せで、法律事務所側も定型的な処理として委任状を受け取るだけである。委任状の内容が適切であるか熟慮したとは思えない。

長男夫婦が委任した弁護士法人のウェブサイトによると、市民に身近な法律事務所を目指しているようである。普通の人にとって弁護士への相談は敷居が高いと指摘されており、結構なことであると考える。しかし敷居の低い法律事務所にした結果、本件のような杜撰な委任状が作成されるならば依頼人が損害を被る危険もある。弁護士のやることに間違えはないと思わない方が賢明である。

 

080318ininB.JPG 修正前の委任状

080407ininB.JPG 修正後の委任状

林田力(200869日スキャン)

 

相続紛争で、何でもありの弁護士交渉

弁護士 相続 交渉

弁護士のレベルってこんなもの?

他界した祖母の相続紛争に登場した驚くべき弁護士の主張を紹介する。

相続人は長男、長女(母)、次女の三人だが、長男夫婦が祖母の死後に発見したと主張する遺言書では、主要な財産が長男とその配偶者に生前贈与・遺贈されていた。

相続財産の大部分を占有する長男夫婦が協力しないため、正確な相続財産の目録も評価もできていないが、遺言書通りとなると母の相続分は遺留分の1/3弱となる。そこで母は遺留分減殺を請求した。遺言書そのものの真贋も問題であるが、遺留分減殺請求には消滅時効があるためである。

これに対し、長男夫婦は同一の弁護士法人に所属する4人の弁護士を代理人として委任した。弁護士は当初、会って話をすることを提案したが、母が都合の良い日時・場所を返信すると、弁護士から当面はスケジュールが埋まっているため、書面のやり取りをしたいとの回答が2008319日になされた。

その後、現在に至るまで一度も面談交渉はなされていない。母が別記事で書いた委任状の問題などを粘り強く指摘したために、簡単に丸め込める相手でないと感じて慎重になっているのではないかと推測する(参照「弁護士への委任状のずさん」)。

http://www.ohmynews.co.jp/news/20080610/26179

弁護士は411日付ファックスにおいて、長男夫婦に100パーセントの寄与分があることを主張し、遺留分減殺請求には理由がないと主張した。「遺留分算定の際の相続財産は、被相続人の財産形成に寄与のあった相続人の寄与分を控除したものであるところ、Y1氏(長男)の寄与分を控除すればA氏(祖母)の相続財産は存在しない」と。

これに対し、母は以下のように反論した。

1に長男夫婦は祖母と同居していただけで、寄与の事実はない。寄与によって財産が増大したとの具体的説明もなされていない。

2に寄与分は相続人が対象であり、長男の嫁は対象外である。

3に遺留分額の算定に、寄与分の有無が影響を及ぼすことはない。寄与分があるから遺留分がないとの論理は成り立たない。

4に寄与分は相続開始時の財産から遺贈を控除した額を超えることができない(民法第904条の23項)。遺言書が有効とすると財産の大半が遺贈されており、母の遺留分を否定するだけの寄与分が成立することはない。

これに対する52日付の弁護士の再反論が粗末であった。第3の遺留分算定に寄与分は影響しないという点について、「簡明な説明のために厳密な表現を用いなかった」と釈明する。寄与分が認められるならば、寄与分に対しては遺留分減殺請求できないと主張したいようである。しかし、これでは先の主張(遺留分は相続財産から寄与分を控除して算定する)とは全く別の意味になる。

そもそも寄与分という法律上の言葉を使う以上、正しい意味で使用すべきである。分かりやすく説明したのではなく、法律を曲げて都合のいい主張をしたとしか思えない。もし母が「弁護士の主張することだから」と真に受けてしまったならば大損害を被るところである。

さらに驚くべきは弁護士による以下の文言である。「貴殿がY1氏やY2氏(長男の嫁)の寄与を無視した主張や要求をされることは、遺言に込められたA氏の思いを踏みにじるものであり、A氏は悲しまれます。」

相続人が法律上保障された権利(遺留分減殺請求権)を行使することで、祖母が悲しむと決め付ける。ここには法的根拠も論理性も存在しない。いったい、弁護士は生前に会ったこともない故人の感情を、どのような方法で確認したのか。

弁護士が所属する弁護士法人のウェブサイトでは、公正中立な立場ではなく、クライアントの利益を守るのが弁護士の責務という理念を掲げている。しかし顧客の利益を守ることは、全ての職業に求められる当然の責務である。弁護士が他の職業以上に世の尊敬に値する職業であるのは、顧客の利益を守る以上の要素があるためである。基本的人権を擁護し、社会正義を実現することが弁護士の使命である(弁護士法第1条)。

法律を無視し、相手方の権利を踏みにじり、ひたすら依頼人の利益を追求することが弁護士の責務とは到底思えない。実の親の感情を勝手に決め付けて攻撃する弁護士のやり方に、母は非常に腹を立てており、懲戒請求も視野に入れていると語る。

 

コメントありがとうございます

反対尋問における弁護士の嫌らしさはご指摘のとおりです。人間性を疑います。私は東急不動産との裁判で原告本人として尋問を受けましたが、東急不動産側の弁護士による反対尋問は卑劣でした。尋問に名を借りて、東急不動産から仕入れた私の年収や管理組合の理事長を務めていることを暴露しました。当然のことながら人間として許せません。

 

 

 

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