富山市内で先月30日夜に車にはねられた女性(73)が市内の3病院に受け入れを断られ、約3時間後に搬送先の病院で出血性ショックで死亡した問題を受け、県は2日、「富山医療圏の救急医療にかかる緊急連絡会議」を開いた。受け入れを拒否した3病院の関係者が、当時の態勢について説明した。【岩嶋悟】
県が今年4月から運用している「傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準」では、消防から病院への照会回数が4回以上か、連絡開始から30分以上になった場合は、3次救急医療機関の富山市の県立中央病院か、高岡市の厚生連高岡病院が受け入れ調整を行うとしている。
女性は富山市内の3病院に受け入れを断られた後、事故から約30分後に県立中央病院に搬送された。そこで応急処置を受けた後、厚生連高岡病院へ同日午後9時に搬送された。
受け入れ拒否の経緯について、当日夜の当番だった富山市民病院の石田陽一副院長は「数人の患者を診療中だったため、受け入れるのは困難だった」と説明。一方、県立中央病院の飯田博行院長は「整形外科専門医がすぐ対応できず、応急処置で厚生連高岡病院に搬送するしかなかった」とした。
会議では各病院の受け入れ態勢の課題をさらに検証するとした。終了後、県立中央病院の飯田院長は「基準の内容を変更する必要はないが、職員との連絡態勢を密にして緊急召集をかけるようにしなくてはならない」と述べた。
毎日新聞 2011年7月3日 地方版