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2011年7月3日(日)付

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節電と照明―適光適所を考えよう

窓外の夏の風景が心なしかまぶしい。室内を見やれば、蛍光灯の列が間引かれている。東京電力と東北電力の管内で電力使用制限令が始まった。冷房控えめの暑さはともかく、明かりを落[記事全文]

東北観光支援―高速無料より旅の補助

仙台七夕まつりに盛岡さんさ踊り、福島わらじまつり。さらに、青森ねぶた祭と秋田竿燈(かんとう)まつり、山形花笠まつり。東北地方の6大祭りが今月中旬、仙台市に集結し、パレー[記事全文]

節電と照明―適光適所を考えよう

 窓外の夏の風景が心なしかまぶしい。室内を見やれば、蛍光灯の列が間引かれている。

 東京電力と東北電力の管内で電力使用制限令が始まった。冷房控えめの暑さはともかく、明かりを落とした生活に多くの人は、じき慣れるのではないか。

 そもそも日本の照明は明るすぎる――。海外から来た人がよく口にすることだ。

 東京の夜景をながめれば、町全体が白く輝いている。ビルの蛍光灯や水銀灯の集合が、専門的にいえば「色温度が高い」光景を演出する。欧米の街なみは火や夕日に近い、オレンジ色の暖かな明かりである。

 オフィスや公共空間のたっぷりすぎる照度も、特徴だ。

 日本工業規格(JIS)の照度基準は、安全や作業効率上必要だとして、何度か引き上げられてきた。現行の事務室の推奨照度は750ルクスと、諸外国より高め。しかもオフィスではギラギラと、隅から隅まで等しく照らすのが主流だ。

 日本で環状の蛍光灯が登場したのは1953年。そのころから、明るさ=(イコール)豊かさだと信じ、ひたすら光の足し算を重ねてきた。それを支えたのが、電力の安定供給だったのだろう。

 3・11後、この国の明るさはどこへゆくのか。

 「光の過食症」を正し、光の量から質へと見直す機会だというのは、照明デザイナーの面出薫(めんで・かおる)さんだ。「○○%削減」と一律に、乱暴に暗くせず、メリハリを利かせ、気持ちのよい照明環境を工夫する。

 地下の通路で天井灯を減らしても、案内表示の照明がちゃんとついていたり、壁面が明るかったりすれば、暗さはさほど感じない。スーパーでも商品棚の明かりを残しておけば、買い物の楽しさは損なわれないはずという。オフィスなら、全体照明と手元を照らすスタンドとを組みあわせる方法もある。

 他方、防犯のための明かりや弱視の人、高齢の人への配慮は維持すべきだろう。要は、賢く光の引き算をすることだ。

 省エネ光源や照明の制御技術は次々生まれている。パソコン普及で仕事の環境も変わった。

 JISの明るさ基準を見直してもいいのではないか。東京都の石原慎太郎知事が国に求めたほか、日本建築学会も、節電の下ではJISから一段階下げた照度でかまわない、とする提言を5月に出している。

 しばらく続く節電時代。苦難と思うだけなら芸がない。「適光適所」や「適温適所」に知恵を巡らせ、限りがある暮らしを考えるもよし、である。

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東北観光支援―高速無料より旅の補助

 仙台七夕まつりに盛岡さんさ踊り、福島わらじまつり。さらに、青森ねぶた祭と秋田竿燈(かんとう)まつり、山形花笠まつり。

 東北地方の6大祭りが今月中旬、仙台市に集結し、パレードや物産展が催される。名づけて「東北六魂祭」。大震災の試練を乗り越え、東北が元気を取り戻すきっかけにしようと、初めて企画された。8月にあるそれぞれの祭りの宣伝も兼ねる。

 東北の復興に向けて、観光業は大きな役割を担う。観光客がおカネを落とせば経済が活発になる。ボランティア活動と観光を組み合わせたツアーは、直接・間接支援の一石二鳥と言えるだろう。東北への人の流れを後押ししたい。

 国土交通省が検討している対策は、東北地方の高速道路の無料化だ。すでに被災者やトラック、バスを無料にした。さらに、全ての車種と利用者に無料化を広げるという。必要な予算は年1200億円だ。

 ちょっと待ってほしい。5月に成立した1次補正予算では、財政事情が厳しいため、「休日上限1千円」や全国の地方路線の約2割で実施していた無料化実験を中止し、年3500億円を浮かせたばかりではないか。

 ここ数年、手っ取り早い景気対策として高速料金が頻繁に変更されてきた。割引や上限制、無料化は一定の効果があり、運輸業や観光業は潤った。

 一方で、料金体系は複雑になり、しばしば渋滞を引き起こした。鉄道など高速道と競合する公共交通機関は割を食った。疑問や批判の声が絶えない。

 ここは高速料金頼みと縁を切り、東北への旅行を広く後押ししてはどうか。たとえば1人1泊あたり一定額を助成する。旅行業者や宿泊施設などにおカネを出し、その分、旅行者の支払いを減らすことにすれば、対応できるのではないか。利用する交通機関に関係なく、旅行者は平等に恩恵を受けられる。

 こうした検討は、自治体が先行している。東京都は1人1泊3千円、5万泊分を助成する方針を打ち出した。被災地3県で最低1泊することなどを条件に、具体案を検討中だ。東京都品川区も東北へのツアーに参加する区民らを対象に、区内で使える商品券1千円分を配る。

 自治体の案を参考に、国も知恵を絞ってほしい。ボランティアツアーの参加者は宿泊の有無にかかわらず助成の対象とするなど、工夫の余地もある。

 2次補正予算案には数千億円の復旧・復興予備費が盛り込まれる。これを使って8月の観光シーズンに間に合わせたい。

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