おいしい水道水が人気
おいしい水道水が人気 06/30 20:12

北九州市で水道の給水が始まって今年で100年となり、これを記念して水道水のボトル缶を販売したところ、市民の評判も上々だということです。

そして、この100年で培った技術を活かして北九州市は、今年、海外の水道事業への参入を果たしました。

●ボトル缶販売の水道局職員
「北九州の水道水です。井手浦浄水場の冷たいお水ですよ。いかがですか」

おいしそうに飲まれているボトル缶の飲み物。

中に入っているのは、水!
しかもミネラルウォーターではなく、北九州市の浄水場でつくられた水道水なのです。

●小畠記者
「小倉南区の井手浦浄水場です。こちらでは、ダムから取水した水でわさびが育つなど、非常にきれいな水を使っています」

この浄水場は、紫川の上流にある鱒渕ダムから取水しています。

わさび栽培やヤマメの養殖ができるほどきれいな原水をさらに浄化し、ボトルに詰めているのです。

●北九州市・北橋健治市長
「(水道水を味わって)…ばっちりです。焼酎の水割りなら、もう最適です」

この水道水の入ったボトル缶「北九州水道」は、水道の給水をはじめて100周年となるのにあわせて、北九州市のPR用に5万本が製造されました。

その後、市民からの問い合わせが相次いだことから、今年度10万本を増産し、1本100円で販売することが決まりました。

●購入した人
「水道水よりも、おいしい感じですね。ミネラルウォーターと変わんないですよ」

初めて売り出したイベント会場での反応は上々で、一日でおよそ700本を売り上げました。

北九州市門司区の小森江浄水場の跡地です。

100年前、この場所で北九州市の水道事業は始まりました。

●水道の蛇口(水が出る音)

蛇口をひねるだけで安心して飲める水が出てくる。

100年かけて培ってきた水を供給する確かな技術と、水道事業を運営するノウハウを活かして、北九州市は今年、日本の自治体としては初めてとなる海外の水事業への参入を果たしたのです。

世界遺産・アンコールワットで有名な、カンボジアのシェムリアップ市。

実は北九州市は、1999年から、JICAを通じてカンボジアで無償の技術協力を行なっていました。

この関係を活かし、今年3月、シェムリアップ市の浄水場の設計を受注しました。

●北九州市水道局・木山聡海外事業担当課長
「日本の国内で言いますと、自治体がこういうことをやったという最初の事例になりますので、やはり、それは意義深いことだと思います」

高い技術力を誇る日本の水道事業の輸出を、国は成長戦略の柱の一つに据えていて、いま、東京都など多くの自治体が、新興国などをねらって水道事業の輸出にしのぎを削っています。

●日本水道工業団体連合会・坂本弘道専務理事
「巷では80兆とか、100兆ぐらいの仕事があるんじゃないかということで言われていますが、世界の人口、増えてくるし、水の需要も増えてくるということから言えば、今まで石油だったのが、今度、水のほうにシフトしてくるということは間違いないことだと思いますね」

北九州市は、いま、シェムリアップ市だけではなく、ベトナムや中国とも下水道整備に関する技術協力の覚書を締結するなど、上下水道技術をほかのアジアの国々にも売り込もうとしています。

●北九州市水道局・木山聡海外事業担当課長
「下水であるだとか、水道の拡張、施設の拡張というのは、たくさん出てきます。水ビジネスといいますけれども、必ずしももうけだけではない。相手国が成長するにつれて、我々自身も成長していくというような真の意味の成長戦略というものを、きちんと守っていきたいなと考えています」

水道発足100年を迎えた北九州市。

積み重ねられた技術と実績を売り込む、北九州市の水ビジネスは動き出したばかりです。