３病院受け入れ拒否　富山

骨折で搬送の７３歳死亡

　富山市内の県道で６月３０日夜、自転車で横断中の女性が軽自動車にはねられる事故があり、救急車で搬送される際、市内三つの病院で受け入れを断られ、約３時間後に死亡したことが富山市消防局などへの取材で分かった。

　富山中央署によると、女性は同市藤木、無職瀬川浜子さん（７３）。同日午後７時半ごろ、富山市開の県道で自転車に乗って横断中、同市小杉、自称トラック運転手飯山俊孝さん（２４）の運転する軽自動車にはねられた。

　市消防局によると、救急車が現場に到着したのは事故から約１０分後。女性は意識はあったが足を骨折していたため、すぐに、夜間担当病院だった富山市民病院に受け入れを要請したが、「外科医が救急患者の手当ての最中で対応できない」などと断られた。２分後に県立中央病院、その４分後に富山大付属病院に要請したが、いずれも断られた。

　救急隊は再度、午後７時５１分に富山市民病院に、午後８時に県立中央病院に要請したが、回答は同じだったという。そのため、高岡市内の厚生連高岡病院に受け入れを要請、「受け入れ可能」の返答をもらった。　女性の容体が悪化したため、いったん県立中央病院で応急処置し、厚生連高岡病院に搬送した。到着したのは事故発生から１時間半たった午後９時だった。女性は、同１０時半に出血性ショックで死亡した。

　県は４月１日から「傷病者の搬送および受け入れの実施に関する基準」の運用を始め、この事故のケースでは、要請が４回となった場合に県立中央病院が調整する必要があった。基準通りの運用がされなかった可能性もあり、県が事実確認を進めている。