1992年3月2日 夕刊 13頁 写真有
「低空飛行の関西弁」と奮闘 桜井幸子(フラッシュ)
桜井幸子=さくらいさちこ
何かと話題を呼んだ新版「君の名は」に続くNHKの朝の連続ドラマは、
橋田寿賀子原作・脚本による「おんなは度胸」。大阪制作のこの番組、
「ダブルヒロイン」という珍しい形式をとっており、18歳の桜井は、
泉ピン子と共に主役を務める。
舞台は関西の首都圏にほど近い架空の温泉地。
とある旅館に、東京から後妻として嫁いできたのが泉で、
桜井演じる次女は「旅館業には無関心な銀行のOLなんです。
別に泉さんをいびるというわけではなく、だれにも頼らないで生きてきた
女の子なので、どうぞ勝手にやってくださいという感じですね」。
筋書きでは、やがて泉のおかみとしての奮闘ぶりに感銘し、協力し合って、
家業をもり立てる、はず。
600人近い応募者の中から彼女が選ばれた決め手は、「堂々としていたこと」だったそうだ。
すでにいくつかの単発ドラマで、主演したこともあるせいか。
ただ、少々のことで動じない彼女も「関西弁のせりふ、特にイントネーションの難しさには
本当に参ってしまいます」という。
「指導の人にせりふを録音してもらい、それをカセットレコーダーで聞いてるんですが、
ホテルに戻って1人で長く聞いてると、気がめいってきて」
「千葉県の外房の方」の生まれの桜井には、関西弁は外国語より相性が悪いようで、
記者会見で泉がバラしてしまった「低空飛行の関西弁」の克服はなかなか難しそう。
「東京から持ってきた音楽のカセットに取り替えるのが、とりあえずの気分転換」らしい。
(写真家・富山治夫)
【著作権者】朝日新聞社
アンダーライン:裕子
赤部分は、勝手な裕子の感想。(『美しい水車小屋の乙女』の真似)なんだけど…。
さぁ、「勝手な」の形容詞は何処に懸っているのでしょうか?)
「だれにも頼らないで生きてきた
女の子なので、どうぞ勝手にやってくださいという感じですね」。
役の中の話とは言え、桜井さんの「堂々とした」性格がよく表れている。
「ホテルに戻って1人で長く聞いてると、気がめいってきて」
オーディションで勝ち残ったという強運の持ち主
(というか本当に綺麗だから、当然の結果か。)の彼女だが、
そのひたむきな姿勢にはなんだか感動してしまう。
「東京から持ってきた音楽のカセットに取り替えるのが、とりあえずの気分転換」
桜井さんて、音楽好きなんだ♪
(当時の)高校生らしいリフレッシュの仕方に爽やか印象倍増♪
<総括>
泉さんと桜井さんの書き方がすんごく違ってて、それぞれの性格が表れている。
「サバサバ言ってのける」感じの泉さんに対して、桜井さんは言葉を選びながら、ゆっくり
インタビューに応じているんだろうな、という印象。