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社会

がれき分担処理難航 「放射能」懸念 各地で住民反対 

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 東日本大震災で発生した大量の災害廃棄物(がれき)を全国の自治体で広域的に処理する国の計画が、福島第1原発事故による放射性物質汚染を懸念する被災地外の住民の反対で実施の見通しが立っていないことが分かった。国は2012年3月までにがれきを被災地内の仮置き場に移し、14年3月までに最終処分する工程表を発表しているが、受け入れが難航すれば今後の復旧・復興にも遅れが出る可能性がある。

 環境省によると、倒壊建物などのがれき量は、岩手、宮城、福島の3県で推計2400万トン。阪神・淡路大震災の約1・7倍にあたる。被災地内では処理が困難として、同省は4月上旬、運搬費などを国費で賄うことを条件に、被災地の岩手、宮城、福島、茨城4県と沖縄県を除く42都道府県を通じ、全国の市町村にがれきの受け入れを打診した。

 しかし、受け入れを表明した神奈川県川崎市には、一日で最大450件の苦情が殺到。他の自治体にも「放射能をまき散らす恐れがあるのでやめてほしい」などの苦情や要望が相次いだ。

 このため、同省は「福島県内の避難区域と計画的避難区域にあるがれきは県外に出さない」と方針を変更。5月上旬に再度、主に岩手、宮城のがれき受け入れを打診し、兵庫県内の29市町・一部事務組合を含む41都道府県522市町村・組合が「可能」と答えた。

 だが、その後も同省には「岩手、宮城のがれきも放射性物質で汚染されているのではないか」などの不安を訴える声や、市民の反発に苦慮する自治体からの問い合わせが後を絶たず、計画は足踏み状態となっている。

 事態を打開するため同省は、当初予定していなかった宮城、岩手のがれきについても放射線量を検査する方針。同省廃棄物対策課は「国民が納得できる形の安全確認ができた段階で計画を進めたい。広域処理の実施時期はまだ分からない」としている。(上田勇紀)

(2011/07/03 07:11)

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