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【芸能・社会】海老蔵復帰 「日々の舞台に全身全霊で」2011年7月3日 紙面から
海老蔵はこの日、「本日より、舞台復帰をさせて頂きました。久しぶりに舞台を踏ませて頂き、お客さまから温かいご声援を頂戴しました。とてもありがたく、また身の引き締まる思いです。こうして舞台に立たせて頂けることに感謝をし、日々の舞台に全身全霊で挑んでまいります。今後ともよろしくお願い申し上げます」とのコメントを出した。 昨年11月に飲酒トラブルで顔面に重傷を負うなどして謹慎していた歌舞伎俳優市川海老蔵(33)が2日、東京・新橋演舞場で七月大歌舞伎公演の「勧進帳」など4演目に出演、約9カ月、278日ぶりに舞台復帰した。 午前9時半ごろ、都内の自宅から自らハンドルを握り、これまで通り車で劇場入りした海老蔵。今月中に出産予定の夫人・麻央(28)の姿はなかった。 正午すぎ、「勧進帳」が開幕してすぐに下手から富樫役の海老蔵が姿を見せると、盛大な拍手が沸き起こった。抑制の利いた低音でゆっくり、慎重なセリフ回し。最初に名乗りをあげるくだりを終えると、「待ってました」という女性客の掛け声や「成田屋」の声が飛び交った。 きりりとした長ばかま姿、舞台映えする白塗りの二枚目ぶりは、相変わらずの美しさ。左目に広がっていた赤い血の跡は影をひそめ、顔の表情も自在に見えて“後遺症”は感じさせない。劇場空間を瞬時に華やかにするオーラは健在で、やはり歌舞伎界に必要なスター俳優であることを見せつけた。 弁慶を演じた父・市川団十郎(64)の勧進帳読み上げの後の見得もしっかりキメてみせた。「山伏問答」や「詰め寄り」と言われる見せ場も次々こなし、ブランクを全く感じさせない。 強力(ごうりき)に“変装”した義経(中村梅玉)を見つけられ、主君を打擲(ちょうちゃく)してまでかばおうとする弁慶の振る舞いを見て、見逃してやる場面では、胸中に去来する思いに深みが増し、けいこの跡をうかがわせた。 いったん上手からはけた後、再び下手から登場し、最後は右手をあげて弁慶を見送って幕。この時も盛大な拍手が海老蔵に送られた。 この日の昼公演のチケットは、わずか10分で売り切れ。団十郎と親交のある小泉純一郎元首相(69)も観劇。「さすが千両役者だね」と満足そうに劇場を後にした。 15年ほど海老蔵を見続けているという歌舞伎ファンの中村千左さん(46)は、「前と全然違う富樫だった。セリフ回しに工夫が感じられた。仁左衛門さんが大病して大きな役者になったように、これから成長してほしい」。都内から来たという年配の男性は、「さわやかで力強い富樫でした。(事件を)あんなに報道されて、ちょっと気の毒」とかばっていた。 昼夜とも客席は歓迎ムードいっぱい。「(事件を)クスリにしなきゃ」(中野区・小池美知子さん)とのファンの思いに、海老蔵は応えていかなければいけない。公演は26日まで。9月に大阪松竹座、10月に名古屋御園座、11月博多座に出演する。 (本庄雅之) PR情報
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