仙台は戦い方が徹底していた。守るときはDFとMFの8人がゴール前でブロックをつくり、グランパスのボールを奪ってカウンターという、いわゆるリアクションサッカー。名古屋は前半、MFの攻守の切り替えが遅く、何度かあったピンチの1つを決められてしまった。いわば相手のペースに乗せられていた。
しかし後半開始時の選手交代で、永井が前線に入り小川が2列目に下がってからは流れを取り戻せた。永井がサイド奥のスペースを使い、中盤の切り替えも早くなったからだった。唯一の得点はオウンゴールだったが、これも永井が左サイドを破り、いいクロスを上げたから。仙台の堅守を崩せたと言えるだろう。
全体的に見れば、勝てた試合だったと思う。ペースを握られた前半も開始早々にケネディ、20分過ぎに小川と決定機があった。どちらか決まっていれば違う結果だった。後半は完全にグランパスのゲームだっただけに、運がなかったとも思えるし、勝ち点3が取れなかったのは痛かった。
1つ注文をつけるとすれば、この試合の後半38分以降のように終盤に闘莉王を前線に上げたときに永井をどう生かすか、だ。どうしても中央のターゲット2人(ケネディ、闘莉王)にロングボールを合わせる攻撃が多くなるので、永井がサイドに張っていてはボールに触れる機会も減る。
あくまでも永井をサイドでスペースに走らせるならばそちらへのパスも必要。あるいは、永井がプレーする位置を、2人のターゲットをサポートするように中央寄りにするか。FW闘莉王という、是が非でも1点を取る策には、そんな工夫も必要だ。 (キム・イッチョ 元グランパススカウト)
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