セグメンテーション 4つの階層区分

これまでの背景

 経営戦略やマーケティング理論の中にも「階層区分」というものがあります。所得別に4つの階層に分けられ、それぞれの階層によってものの考え方、消費の動向など非常に興味深い内容になっています。

 一番上に位置するスキミング層とは、所得にして全国平均で年収2,000万円、関東圏では3,000万円を超える高額所得者のことを言います。その特性は、金銭的に余裕があり、自分にとって価値のあるものだと判断すれば、金額の大小に関わらず消費をする人達です。しかし、その反面、「見る目」を持った人達でもありますから、売り手にとっては手強い相手となります。いくら安くても価値の低いものには関心がありません。いわゆる「価値優先客」です。また景気の動向に左右されることが少ない人達でもあります。

 2番目の階層のイノベーター層は、以前はその下のフォロアー層であり、そこから這い上がってきた人達です。弱者だった過去を持っています。そのため、スキミング層に対する対抗心とコンプレックスの裏返しの自己顕示欲を強く抱いています。所得にして全国平均で700万円、関東圏で1,000万円を超える高額所得者を言います。サラリーマンの平均年収430万円からすると高額所得者になりますが、この層の下限所得者(700~1,000万円)は至って普通の消費者であり、区別がつきません。ただ、これは大事と思える時は一般サラリーマン層より、大きな金額を消費する人達です。

スキミング層(上澄み 5%) イノベーター層(革新 15%) フォロアー層(追従 35%) ベネトレーション層(低価格 45%)

フォロアー層とベネトレーション層

 上から3番目のフォロアー層は、追従層と言われ、成長期の担い手でもあります。スキミング層が全体の4〜5%、イノベーター層が15%であるのに対し、35%にも達します。所得にして全国平均で400万円、関東圏で500万円を超える人達を言います。一般的には中流層と言われる層です。この層の特性としては、流行には敏感ですが、すぐに飛びつくようなことはしません。周囲で買っている人間が出てくると、自分も買いたくなる人達です。商品の浸透とともに、やがて流行を追う中心的存在になっていきます。導入期の担い手がイノベーター層であるのに対し、成長期の担い手となるのがこの層です。ただ、景気低迷が長引くと、その下のペネトレーション層と同じ消費行動をとるようになります。

 4番目のペネトレーション層は、浸透層と言われ、所得にして全国平均年収400万円、関東圏で500万円以下層にあたる人達です。数では45〜46%と最も多い層です。近年では50%に達していると言われています。この層は、安ければ買うという、価格で動く傾向にあります。安ければどこのブランドでもかまわない、中古品でもかまわない、という安さがすべてに優先する人達です。いわゆる「価格優先客」です。大安売りとか特売といった言葉に敏感で、しかも、景品付き、オマケ付きといったインセンティブに乗りやすい特徴があります。また有名人などの広告に弱く、「沢山売れているものは良いものだ」という判断基準を持つなど、後光効果にも影響されやすく、過激なディスカウントの誘惑に弱い人達です。売り手側のNLP手法やエモーショナル(感情操作)に上手く乗せられる人達でもあります。

 以上が4つの階層の特性ですが、自社の商品やサービス、またこれから立ち上げる新製品や新たなサービスがどの階層に適しているのか、所得層という階層を無視することが出来ない時代になってきています。「誰に何を何処で売るのか、そしてどうやって売るのか」が経営の戦略的決定事項になります。まさに「誰に」を決める際の最初の決定事項が所得層になります。「自社の商品やサービスが購買可能な所得層は何処か」という決定が必要になるのです。これが間違っていると、「無い袖は振れない」という客層にアプローチして、集客コストをムダに使ってしまうことになります。経営全体にとっても大きなロスになります。


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