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ウナギ高騰 料理店悲鳴

2011年07月01日

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ウナギをさばく新玉亭の店員。後方では、たれの仕込みが続く=津市丸之内養正町

 かつて1人あたりのウナギ消費量が日本一を誇ったとのデータもある津市のウナギ料理店で、21日の「土用の丑(うし)」の日を前に、メニューの値上げが相次いでいる。稚魚の天然シラスの漁獲量が減っているためだ。店からは「値上げはやむを得ない。これでも適正価格だ」との本音が漏れる。

 「誠に心苦しいのですが6月1日より、価格改定をさせていただくことになりました」

 国産を売りにしている津市内の専門店では、今年5月末から、ホームページ上に値上げを示す「お知らせ」を載せている。店長によると、1999年の創業以来初めて、メニュー全体で平均1割の値上げに踏み切った。「今までもぎりぎりだった。でも、ウナギの品質と客からの信頼を落とさないことが一番だ」と話す。

 同市中心部の老舗「新玉亭」は1日から、かば焼き1切れあたり105円値上げする。2切れ入った並丼は945円から1155円に。これまでも安い問屋から仕入れたり、1切れの幅を短くしたりして値上げを回避してきたが、割に合わなくなったという。

 値上げが相次ぐ背景には、ウナギを養殖するための天然シラスの漁獲量が減っている事情がある。

 津市のウナギをPRする市民団体「津ぅのうなぎプロジェクト」を運営する同市職員の増田芳則さん(30)によると、ウナギ養殖には短くても1年弱かかる。ただ、昨年からシラスの不漁が続き品薄になっているため、養殖後の卸値が上がっているという。

 農林水産省のまとめでは、国産の天然シラスの推定漁獲量は、昨年の漁期(2009年12月〜10年4月)で9・2トン。一昨年の24・7トンから大幅に減った。担当者は「今年は昨年より、さらに減るかもしれない」と危機感を募らせる。

 同市内の卸売業者からは「昨年同時期と比べて2〜3割上がった」との声も。中国や台湾で、ウナギの需要が高まっていることも、価格高騰に影響しているとみられるという。

 ウナギ店側は、値上げ後も客足が離れないようにと工夫を凝らす。新玉亭の杉本賢一社長(62)は「従業員の接客態度などにこだわりたい」。5月から値上げに踏み切った別の店の店主は「市内のウナギ専門店を載せた地図のPRを通じて、さらに県外客を呼び込みたい」と話している。(井上翔太)

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