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必ず陸前高田に戻る 被災の酔仙、一関・千厩で酒造り再開へ

被災した陸前高田市の本社跡地を眺める金野社長=30日

 東日本大震災の津波で酒蔵などを失い、休業している岩手県陸前高田市の酒造業「酔仙酒造」が一関市千厩町の酒蔵を借り、酒造りを再開する。いったん陸前高田を離れることになるが、同社の関係者は「必ず陸前高田に戻り、再建を果たしたい」と話している。
 酔仙酒造は約2万5000平方メートルの敷地全体が津波にのまれ、酒蔵や事務所などの施設が流された。従業員も57人のうち7人が亡くなった。敷地は現在、津波被害に遭った車両の置き場となっている。
 被災後、一関市千厩町で事業を再開するため、国に酒蔵の移転免許を申請し、6月29日に交付された。新たな酒造りは、同市が所有する「千厩酒のくら交流施設」内にある蔵を使う。
 酒の仕込みは8月下旬に始め、10月の新酒出荷を目指す。これまで日本酒は年間、一升瓶換算で約60万本を出荷してきたが、本年度は半分程度を目標としている。
 金野靖彦社長(64)は「事業再開を望む多くの声や支援の動きがあり、勇気づけられた。自分たちの手で造った酔仙の酒を、多くの人に届けなければいけないという気持ちになった」と話す。
 同社は移転はあくまで一時的で、最終的には陸前高田に戻る考え。被災した本社跡地には、酔仙をアピールするため、仮設事務所を設ける。
 以前のように陸前高田で酒造りをするには、水の質の確保など課題が山積している。それでも、金野社長は「街の復興とともに、陸前高田で酒造りを再開したい」と前を見据える。


2011年07月01日金曜日


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