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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】東北の高速無料化 これではバラマキ復活だ
東日本大震災の被災者らを対象に東北の高速道路を無料にする新料金制度がスタートして2週間近くが経過した。
被災地の復旧・復興を支援する新制度の狙いそのものに異存はないが、被災認定の基準が曖昧なこともあり、利用現場では混乱も見られる。
政府は新制度を、いずれ全車種、全利用者に拡大する方針というが、財源のめどはついていない。これでは、バラマキ4Kの一つと批判される従来の高速無料化と何ら変わらない。政府は、真の被災地支援とは何かという原点に立ち返り、新制度についても必要な見直しは行うべきだ。
6月20日に始まった新制度の適用エリアは、常磐道の水戸インターチェンジ以北と東北地方の高速道路20路線だ。被災者や避難者が乗る全車種と、中型車以上のトラック、バスが対象となる。
被災者らがこの制度を利用するには、身分証明書と合わせ、料金所で市町村が発行する被災・罹災(りさい)証明書を提示する必要がある。
問題は、その発行に明確な国の統一基準がないことだ。自治体によっては停電や断水まで発行対象にしているところがあり、不公平との批判は被災者からも噴出している。大畠章宏国土交通相は「節度ある形で対応してほしい」と安易な発行を戒めているが、当然、予想された事態だ。
係員が料金所で書類を一台一台チェックするため、利用する被災者らはETC(自動料金収受システム)がない一般レーンに延々列を作る不便を強いられている。
震災で車を失い、買い直しもままならない被災者が少なくない。これでは何のための無料化だという不満の声も聞かれる。
無料化の財源について、国交省は、当面は高速道路会社が負担するため、国費からの支出はないと説明している。だが、道路会社の収入減は、国へのリース料支払いが減る形で、結局は国民負担となるのである。
政府方針通りに対象車種を拡大するには、年間1200億円の予算措置が必要だという。
そもそも、本年度当初予算で計上された高速無料化向けの3500億円は、その後の震災対策で凍結され、補正予算財源として転用されたはずだ。
あの判断は何だったのか。バラマキの復活だという指摘に対し、政府はどう答えるのか。
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