発破サイレン授業妨げ 府教委、仮処分申請へ
京都市右京区京北下弓削町の山間部で、地元の鉱業会社がマンガンの探査をしており、発破を知らせる大音量のサイレンが近くにある京都府立北桑田高の授業の妨げとなっている。業者は「違法行為はなく、やめる必要はない」とするが、耳鳴りを訴える生徒もいることから府教育委員会は「学習の権利を侵害されている」として、改善されなければ音量の低減などを求める仮処分を京都地裁に申請する方針を固めた。
丹波マンガン記念館の前館長が社長を務める会社で、同高の敷地を含む3724アールの鉱業権を持つ。経済産業省の認可を受け、2009年9月に発破を始め、昨年7月にサイレンが加わった。同高によると、今年6月30日までに発破は293回、サイレンは156回あった。1回あたり最長で約10分間鳴り、最近は3~4分という。5月に教室内で測定したところ窓を閉めた場合は工場内で隣人との会話が難しい91デシベル、窓を開けると車の警笛音が近くで鳴る110デシベルに相当した。
発破現場から高校までは約80メートル離れており、公共施設から50メートル以内での作業を制約する鉱業法に抵触しない。サイレンは鉱山保安法に基づく同省の指導で鳴らされたが、音量や長さの規則はない。同省の中部近畿産業保安監督部近畿支部鉱山保安課は「この地域なら5秒で十分。周囲が迷惑を被っているのは知っているが、強制的に指導できない」という。鉱業会社社長は「10億円の価値があるマンガンが眠っている可能性がある。問題解決には、学校が引っ越すか、うちが補償金をもらって休業するかのどちらかだ」と話す。府教委管理課は「問題解決に向け、国が指導力を発揮してほしい」としている。
【 2011年07月02日 13時15分 】
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