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測定と除染を急げ/児玉龍彦東大教授に聞く

2011年07月01日

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 福島原発事故は広島原爆20個分の放射性物質を飛散させた。もはや「どこが安全か」という議論をしている時ではない。線量をきめ細かく測り、高い所から表土を取り除くなど効果的に除染することが急務だ。

 飛散は一過性で、除染でかなり減らせる。微粒子なので一律には舞い落ちていない。高濃度の場所は、県全体でも自治体の中でも、個々の校内でも存在する。

 福島県内での測定の経験では、平均で毎時0・5マイクロシーベルトの幼稚園で、雨どいや滑り台の下などは5〜10倍になった。園内にミニホットスポットが存在する。

 幼いほど放射線の影響を強く受けるので、除染の優先順位が高いのは保育園と幼稚園だ。続いて小中高。子どもが接触する所の除染を急ぎ、各地域、各施設で安心できる空間をつくる。妊婦や病気の人にも放射線がかからないよう努める。室内を毎時0・1マイクロシーベルト以下にするのが目安だ。

 測定は園内をなめるように詳しく見ること。線量計を持って回れば高い場所は簡単にわかる。各地域で園や学校の先生方が担うほかないとすれば、講習などで学んでいく必要がある。お母さん方は、除染で数値が低くならなければ安心できない。3月15日に大量飛散した物質でも土壌の表層2〜3センチにあり、5センチ削れば大半が取り除ける。

 低い線量による内部被曝(ひ・ばく)の危険性も直視しなければならない。福島で母乳からセシウムが1リットルあたり2〜13ベクレル出た。チェルノブイリ原発事故で長期被曝が前がん状態を作り出したという研究報告と同レベルの濃度だ。行政の言う「ただちに健康に危険はない」という次元ではなく、異常な事態だ。食品の放射線量をチェックすることも極めて重要だ。

 除染に関する現行の法体系は、少量の高い放射性物質が前提で、今回の実情と合っていない。国の各種指針は専門的な知見を十分に反映しておらず、低い線量の放射性物質の膨大な飛散への対策は、国任せにしてはおけない状況だ。子孫への責務を果たすためにも、関係者が総力をあげる必要がある。

◆こだま・たつひこ 東大先端科学技術研究センター教授(システム生物医学)でアイソトープ総合センター長も務める。福島県南相馬市で学校などの放射線量測定を続け、市に調査や除染を指導している。

(聞き手・吉村成夫)

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