震災から一週間が経過した仙台と石巻へ救援物資を届ける為に行ってきました。オレが行ったところで何にも出来ないだろうという気はずっとしていたけれど、やはり自分の目で確認しないと何も始まらない気がしたのと、たぶん同じ気持ちだったと思う友達が会社の名前で高速の走行許可書をゲットできたということを聞きつけ便乗させてもらう事にしました。テレビから途切れる事無く流され続けていた情報を見ていたし、そこに想像を過剰にプラスしてだいたいの事はわかっているつもりでいたが、防災訓練で想定してあった津波を遥かに超える津波がやって来たのと同じ様に、オレが想像していたこの災害の大きさを遥かに超えた現実がそこにありました。特に石巻で見た光景はきっと生涯忘れる事の無い景色になるだろうと思います。直視する事など到底出来ず直ちに全てを理解する事など出来るはずも無い過酷な光景でした。あまりの恐怖の光景で逃げ出したくなりました。オレも写真家なのでもちろん目の前の光景を映したい気持ちはあったのですが、覚悟を持って向き合う気の無いオレにいい写真を撮れるはずはありません。一部の暴徒化した人々がバールや鉈を振り回し車を襲ってガソリンや食料を奪っているなどという情報も地元の人から入っていたので極力車外には出ない様にしていたので、ここに掲載した写真は移動中の車の中から撮影したモノがほとんどです。災害復興に関わり被災者の方達と正面からちゃんと向き合っている写真家の方がきっといると思うので、その方の写真がきっとリアルな被災地を伝えてくれるでしょう。オレは辛うじて撮れた写真とその時やその後に考えた事を文章にして伝えてみようかと思います。先にも書いた石巻の高台から見た風景は本当にヤバかった。絶句しました。津波のパワーの大きさとそれに対してのいろんな意味での自分の小さささ、無力さ、愚かさ、恐怖、失望、、、、。考えても考えてもどうしていいのかわからなかった。どこかで見た事のある戦争している国の悲惨な光景に似た景色が、どこかなんかじゃなく目の前にありました。泥だらけで瓦礫だらけの町の中ではうつろな目をした人たちが何も考えずひたすら瓦礫の山を片付けていました。ただただ絶望するばかりの景色を見せられてしまった今回の旅だったけど、実はそんなに落ち込んではいません。この旅の間で出会ったいくつかの希望が今のオレを何とか保っているのだと思います。1つめは、仙台に着いた夜、みんなで飲んで騒いで遊んだ後に友達が『あーオレ地震が来てからはじめて腹痛いくらい笑ったー』と一言言ったことです。オレが救援に行っても意味ないんじゃないかとずっと思っていたオレは『ああー来てよかった。』と心から思いました。友達から貰うパワーはやはり絶大です。オレもそうだしみんなにもそうしてあげられると改めて確信しました。2つめは、泥と瓦礫だらけの石巻市街を車で通り抜けようとした時でした。地元の友達がスコップ作業をしている知人を見つけました。車を降りていって話しかけ、オレたちが救援物資として渡してあったタバコとスペシャルおやつ1個を友達は分けてあげました。その時その人が見せた笑顔は、石巻の現実を見せられ暗く沈んでいた車内に暖かい空気を生み出しパーッと花を咲かせてくれました。声はもちろん聞こえませんでしたが『ええー!!いいのー!?』って言っていたんだと思います。最高の笑顔でした。ボロボロになった町でこんな素敵な笑顔を見せられて、まだまだいけると感じました。そして何よりだったのはやはりスケートボード。何となく不謹慎さを感じながらもプッシュでの移動の途中で立体駐車場へ上り、ダウンヒル。最高に楽しかった。今の状況なんて全て忘れていました。これだー!と改めて強く思いました。原発がどうなってしまうのか誰にもわからない状態の今、世の中にはいろんな情報が飛び交っています。パニックを恐れる政府は国民に対して流す情報を可能な限り押さえようとし、それに同調してテレビに出てくるたぶん原発推進派であろう学者やジャーナリストたちは無責任な安心をばらまき『直ちに健康を害する事はありません』『数値的には問題はありません』などの言葉を連呼しています。インターネットではリアルジャーナリストを自称しそうな人たちが政府の対応を愚民政策だと批判し、テレビに出ている学者やジャーナリストたちを奴らは偽物だとバカにしているけれども、だからといってこの危機的現状を打開する案を示しているわけではないようにも見えます。もう、何が本当でどれがデマなのか全くわかりません。だんだんそんなことはどうでもよくなってきました。確かなのは、おれはまた笑ってビールを飲みながら大好きな仲間たちと大好きなスケートボードをしたい。それを取り戻すまでは前向きにいこうか思います。

(おれにはスキル不足で無理ですが今のこの日本で新しいトリックを生み出し名前をつけてしまうのはどうでしょうか?例えば『バックサイド・ツナミ・ディザスター』とか『フロントサイド・ホウシャノウ・エアー』なんてどうでしょう?)

     

Skateboarders never die!!
スケーターは決して死なない!!

 

東京の水道水が汚染されたと発表された日に、、、、            

2011.3.23
Wadapp

 

モドル