『我が一生をかけた発明発見の全てを此処に書き残す
但し此れを読む者 秘伝を他人に漏らすなかれ
この禁に従わざる時は大いなる災いを招くべし……』
「奇天烈大百科」序文
発明家を志す一人の少年がいた。名を木手英一。
彼の発明に掛ける情熱は常軌を逸しており、周囲からは「キテレツ」のあだ名で呼ばれていた。
だが、彼にとってみればそれは誇りだった。
尊敬する祖先「奇天烈斎」と同じ呼び名であり、歴史に名を残す事のなかったものの彼は世界で初めて飛行機械を作り出した天才なのである。
(少なくとも英一はそう信じていた)
英一はある日、父から奇天烈斎の残したとされる白紙の書を受け取る。
それこそが奇天烈斎の残した「奇天烈大百科」であり、偶然秘密を解き明かした英一はその英知に触れる事になった。
そこに記されたのは現代科学を超えたオーバーテクノロジーの数々。
魂の物質化、質量・重力操作、時空間の移動、自立人形の作成法…
英一はそこに記された一体の絡繰人形を作り上げる…名をコロ助。
機械の身体にて純粋な魂を持つ侍。この物語の主人公である。
生み出されて数年、生まれた当初は幼児のような思考だったコロ助も数々の経験を経て心の成長を遂げていた。
ある日奇天烈斎が幼くして亡くした我が子を思って己の設計を行ったことを知り、キテレツと別れ奇天烈斎の元で暮らしたいと考えるようになる。
キテレツは悲しみはしたものの止めはしなかった。
それが過去を改変する事になると知っていてもだ。
「飛行機械を生み出した奇天烈斎は怪しげな術を用いて世を騒がせたとして幕府に捕らえられ獄中で発狂死を遂げた」
父から聞かされた尊敬する祖先の悲惨な末路。
それを変えたいと小学生の少年が思ってしまったのは罪だったのだろうか…
(科学は…人を幸せにする為に生まれたんだ。それを証明して欲しい)
コロ助が航時機で過去へ戻り、奇天烈斎と暮らし始めて数年。物語は始まる…
注:コロ助が奇天烈斎の元に行くのはアニメ版独自の設定ですが本作は漫画版も参考にしています。